◯イを出て三宮センター街を歩いていると、大学生らしい若い男の子2人が、綺麗な女の子2人に声をかけていた。
「若いっていいよなぁ」とつい口から本音が漏れた。
そのうちの1人が私に声をかけてきた。
「お姉さん、モデルさんですか?」
いきなりそう話しかけて来てくれたことに驚きを感じたが、モデルさんだなんて嬉しいこと言ってくれたので私はついつい有頂天になってしまった。
「やだぁ、お姉さんだなんて。クスッ。私結婚してるおばちゃんですよ。」
言葉とは裏腹に内心嬉しさでいっぱいだった。
「えっ、そうなんですか?全然見えない。僕らとおんなじぐらいと思ってた。」
「君たち何歳なの?」
「僕たち23歳です。お姉さん、まだ20代でしょ?」
この子達の会話は私を女として気づかされるほど嬉しい言葉で溢れていた。
「駅前にあるジャ◯カラに行きません?」
私は2人も誘いに乗り、自分の両腕に彼らの腕を通してルンルン気分で歩いた。
ジャ◯カラに着くと、まだ人気はそれほど感じられなかった。
薄暗い廊下を通って防音の効いたカラオケルームに案内された。
ここの部屋だけ廊下の突き当たりを軽く曲がったところに位置していたので、周りからは全然見えない部屋だった。
店員さんが飲み物の注文を聞いてきた。
「俺ソルティードッグ」
「じゃあ俺は鍛高譚」
「お姉さんは?」
一人旅で来ていたので、たまには羽を伸ばしてもいいっかと思い「赤ワインをグラスで」と頼んだ。
「でさぁ、俺はヒロト、こいつがマサト、お姉さんは?」
「私は華子」
「じゃあ華ちゃん。何唄う?」
正直結婚してからというものカラオケなんかに来たことがなかった。
最近の歌謡曲は聞いたことあるがサビの部分しかわからないし。
それに、若い子なんかにあわせられないし。
「じゃあ俺から!」
私の知らない曲だったけど、彼らはノリノリでダンスも披露してくれた。
店員さんが飲み物を運んで来たときは、彼らは恥ずかしいとも思わずダンスをし続けていた。
曲が終わり二人は一気に飲み物を飲み干して、それぞれアルコールを注文していた。
「お姉さんもグイッと飲んじゃって。」
気分が高揚してきた私は彼らに言われるがまま、赤ワインを一気に飲み干した。
「あぁ、美味しい。もう一杯もらおうかしら。」
彼らは部屋に備え付けられている電話で赤ワインを注文した。
いつのまにか5杯ほどワインを飲んでいた。
気分がハイになり彼らの唄う曲に合わせて身体を揺すっていた。
頭の中がグワングワンと響いていた。
だんだんと意識が遠のいていき、目の前が真っ暗になっていった。
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