ゴンドラが1周回り僕たちはさおりさんを抱えるようにして降りた。
僕と親父がさおりさんの脇の下に手を回して彼女を支えるようにして歩いた。
旦那は不安げにこちらの後をついてきていた。
さおりさんをシボレーアストロの助手席に座らせた。
彼女を寝かせている間に2列目、3列目のシートをフラットにし、横になれるスペースを確保した。
さおりさんを助手席から後部座席に移動させ、彼女の崩れかけている精神を元に戻すため催眠療法の中の退行催眠をかけることにした。
さおりさんの二面性は生育歴に関係があるのだと僕は考えた。
一度彼女の目を覚まさせ、睡眠状態から覚醒状態にさせた。
目が覚めたことで先程までのS性がまだ顔を覗かせていた。
僕は彼女の頚動脈を軽く抑えながらゆっくりと退行催眠をかけていった。
全身の力がフッと抜け、フラットにしたシートにゆっくりと倒れこむようにさおりさんを寝かせた。
数字を10から1まで順番に数を数えていった。
さおりさんの記憶は徐々に退行していき1という数字を数えた時には3歳のさおりさんの状態になっていた。
「さおりちゃん、聞こえるかな?」
「はい。」
「さおりちゃんの怖いものあるかな?」
「、、、」
いきなり確信をつくような質問はやはり潜在意識下においてもブロックされているようである。
僕は質問の仕方を変えてもう一度さおりさんに尋ねた。
「さおりちゃんは今何をしているのかな?」
「お母さんとおままごとしてるの。」
「さおりちゃんはお母さんと遊ぶのが好きなんだね?」
「、、、うん、、でも、、、」
さおりさんの反応が少し変わった。やはり親子関係に何やら秘密が隠されているようだった。
「さおりちゃん、お父さんはお仕事かな?」
「、、うん、、あの人嫌い、、いっつもお母さんを虐めてるんだもん、、」
僕はさおりさんの旦那に義父さんのことを訪ねた。
さおりさんのお父さんは県会議員でいつも会っても厳格で、旦那さんが結婚の挨拶を申し込みに行った時もしかめっ面で言葉などほとんど交わさない人だということがわかった。
ついでにさおりさんのお義母さんのことも聞いてみた。
さおりさんのお母さんはとても可愛らしい方のようで、お父さんと相反するぐらい社交的で腰の低い人だということがわかった。
ただ、お母さんはお父さんの発言にビクビクしているような印象を受けたと旦那さんが言っていた。
僕はDVかも、、、そう思った。
「さおりちゃん、お父さんはお母さんにどんなことしてるの?」
「お母さんのことをロープで縛ったり、火のついたロウソクでお母さんの体にロウを垂らしたり、あと、、、棒でお母さんのことを叩いたりしてるんだもん。でも、お母さんはいっつも、お父さんにもっとしてって言ったりしてるの。だから、さおり意味がわかんないの。」
さおりさんのお父さんがSM愛好家ということが今の発言から容易に推測された。
退行催眠で3歳まで戻ったさおりさんの口からそのような言葉が出るということは、おそらくほぼ毎晩のようにお父さんはお母さんを調教していたのだと感じられた。
さおりさんがM性を持っているのはお母さんの意味不明な発言を小さい時から何度も聞かされ脳に刷り込まれたものだと思った。
そして、S性についてはこの後意外なことがさおりさんの口から発せられるのであった。
※元投稿はこちら >>