「そんなことがあったのね。麗華先生なら昨日ここに見えられたよ。なんでも結婚して音楽の教師を辞めてから旦那さんから酷いことをされてるって風の噂で耳に挟んだんだけどね。」
やはり麗華さんは僕の小学校の時の音楽の先生で間違いなかった。
僕は白ネコヤマトで教えられた住所に車を走らせた。
そこは田んぼの真ん中にデンとそびえ立つ昔ながらの家であった。
僕は家の前に車を停めて表札を見た。
「花山院(かさんのいん)」と書かれていた。
麗華先生の旧姓である。
花山院麗華
その名前からも美しさが漂うのだが、当時新任だった麗華先生は児童からも保護者からも同僚からも圧倒的な人気だった。
それが今となっては、、、
僕はインターホンに指を当て、思い切ってチャイムを鳴らした。
門の中を見てみると一台のピンク色のヴィッツが停まっていた。
「はぁーい、どちらさまですかぁ?」
僕は彼女が外に出てくるまで黙って門の前で立っていた。
※元投稿はこちら >>