健二が単身赴任から戻ってからは、里奈は上杉を自宅には入れていないよう
だったが、昼間に会っている可能性は十分あった。というのは副社長となった上杉は
比較的自由に休みを取って社外に出て行けたからである。平日の午後に時間をつくっては、
里奈とデートを続けているのかもしれなかった。ある日週末にに里奈が女子会に
昼過ぎから出かけたいと言い出した。怪しいとは思ったが健二は許可した。
それは、里奈のハンドバッグに小型のボイスレコーダーを入れて、
本当に女子会に行くのか確かめようと思ったからである。午後2時に里奈は
めかしこんで家を出た。最近化粧品も高価なものを買っていて、健二の給料だけでは
そんな贅沢はできないはずだった。きっと上杉から小遣いもらっているのだろう。
その頃の健二は、里奈の浮気に抵抗する気力を完全に喪失していたのだった。
哀れにも自分を性的に満たしてくれるなら、上杉副社長と影で何をしようと許すように
なってしまっていたのである。パッとしない男と魅力的でセックス好きの若い妻との
組み合わせでは、仕方のない結末かもしれない。それでも二人だけの時は里奈は
健二に優しい妻だった。女子会に行くと里奈が外出した日、里奈は10時過ぎに
帰宅した。帰るとすぐにシャワーを浴びて、今日は少し飲み過ぎたから寝るね、と
言ってすぐに寝室で寝てしまった。里奈が寝入ったのを確かめると、
里奈のハンドバックから小さなボイスレコーダーを取り出し、
居間でノートパソコンにつないで再生してみた。移動する時の
電車や人ごみの音を飛ばして、30分ほどで何処かで上杉と
出会っていた。さらに移動してホテルのフロントで上杉がチェックインする
様子が分かった。さらにエレベーターで移動し部屋に入っていく様子が
録音されていた。おそらくシティーホテルの上層階の一室と思われた。
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