風呂から上がると急ぎ夕食をかき込み空腹を満たした。後は部屋に籠って受験勉強である。机に向かい参考書と問題集に挑んでいる。いくら考えても頭に入らない事は分かっていた。何故なら、思考能力の大部分を彼女に締められていたからだ。(ああ~、駄目だ!問題を読み込むことすら出来ない…)杖を離れベッドへと横たわる。脳裏に浮かぶのは夕方に焼き付けたおばさんの姿だけである。(どうしたら良い…?もう少し話しをすれば救われるか?でも、余計に苦しくなるかな…?向日葵か…向日葵ね…) 余計な事を考えながら目を瞑る。思い出すのは昨年の夏に咲いていた向日葵の花。(もう少しで今年も咲くんだろうな…毎日成長し続けて…其れに比べて…)自分の不甲斐なさを嘆いても仕方の無いことである。(そ、そうだ!向日葵だ!) 寝そべっていた身体の上半身を起こした。(向日葵の観察をさせて欲しいと頼むんだ…理由はそうだな…学校に提出する研究レポートとか言えばいい…)僕は姑息な企みにも似た作戦を思い付いた。
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