当然のように、ラブホテルの古ぼけたカーテンをロードスターが潜る。フロントにはランプが点灯したり消えたりしている部屋写真があった。物珍しく眺めているうちに片岡さんが部屋を決めてさっさとエレベーターへと進んだ。無言でついていく。
部屋を開けると、Xの形をした磔が鎮座していた。その端にはそれぞれ錠が眠っている。
「リラックスしてね」抱きついたままの片岡さんの言葉に「リラックス出来るわけない」と心の中で呟いた。
間接照明に照らされた磔を眺めていた。検分している訳では無かった。脳が、思考が停止していただけだ。
「はじめからそんなハードなのがいいの?」笑いながら問われると我に返った。うまく言い返せず、俯いた。
「大丈夫、今日は高橋くんを味見するだけだから」そういうと、鼻先で右耳の外郭をなぞった。片岡さんの静かに深い鼻息が、鼓膜を震わせる。身も、心も、ゾクゾクと粟立った。滑らかな舌が鼻先の通った轍を踏む。立ったまま抱きつかれた状態で、片岡さんの左手が、僕の右手を背中に回し、利き腕を使えなくした。
もう片方の手で左耳の耳たぶを撫でられる。耳がこんなに敏感になった事などはじめてだった。右の耳たぶを甘噛みされ、肩がヒクついてしまった。
「良い反応ね。素直になりなさい」
舌先が首筋をゆっくりと降りていく。少し顎を上げると浮き上がる筋を、ちろりちろりと寄り道していた。
指先が服の上から胸筋、腹筋を下ると、シャツの中に入ってきた。下ってきた指先がスッと上がった。硬直した僕の乳首。ピンっと弾かれた。ァッ、声が出てしまう。
「あら、もうここは開発済みなの。話が早いわ」
マッチングアプリで知り合った豊満なおばさんに、執拗に嬲られ、愛されて、そのうちに自分でする時も触らずにはいられなくなってしまっていた。
シャツとジーンズをスルスルとまくられると、ボクサーパンツだけの姿にされた。片岡さんは服を着たままだ。惨めな気分がやってくる。
「肩を開いて、胸を張って、そう」
言われるまま胸を張ると、後ろに回った片岡さんが後ろから手を回すと両手で硬くなった乳首を弄りはじめた。親指と人差し指で摘んだり、縁を描くようにこねた。左右同じ動きの時もあれば別々の動きで遊ばれた。
ボクサーパンツの中ではいつも以上に根幹が膨張しのたうち回っている。腰から砕けそうに、刺激を求めて腰を振ってしまいそうになる。
「あら、高橋くん。おちんちんが苦しそうね。」背中をキスして回ったあと、今しがた気付いたかのように呟く。ボクサーパンツの上から、張り詰めた竿を一筋なぞると、睾丸を優しく握った。
「こっちも、たまらないでしょう?」
玉と玉を優しく包み込み、擦り合わさって身悶えした。何も言わずボクサーパンツもするりと脱がされる。
露わになった根幹は普段よりも逞しく空を仰ぐようにみえた。先からは朝露が垂れ落ちていた。自由を得たまま自由を持て余すように、刺激を求め腰からふるふると震えた。
「あら、刺激が欲しいの。」
そういうと壁際に追いやられた。冷蔵庫の収納されている台に向き合う。腰を押されて、やむなく台の直角の部分にベニスが充てがわれた。ひんやりと、冷たい。
「腰、振ってもいいのよ」
乳首をこねられたまま、我慢の効かなくなった僕は思うまま腰を振り、杢目の台にペニスを押し付け擦り付けた。息が上がる。片岡さんの乳房がお尻に当たっている。心なしか杢目の台が温かくなってきたように感じた。人肌。竿の根本のポイントをぐいぐいと押し付けて、自分の高まりを抑えられない。
「見ててあげるからね、セクシーだわ」
そろそろ止めなくては、出てしまう。これでは物に欲情している気の触れた猿同然ではないか。思うまま、睾丸から竿を駆け抜けた精液が勢い良くぶちまけられた。三度、四度と白濁とした弧を描き、杢目を汚した。
心にもペニスがあるとすれば、心が吐精した、そう思った。
「こんなに溜め込んで。いやらしくて愛しい。」抱きとめられ、唇を奪われた。今度は自ら舌を差し入れた。もう、止められなかった。もう、再び欲しくなっていた。
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