突然、近くの茂みがガサッと音を立てた。
「……!」
ゆりは息を止め、木の陰に体を沈めた。
心臓の音が自分の耳にうるさいほど響く。
数秒後、重くゆっくりとした足音が近づいてきた。
黒い影が、ゆりが隠れている木のすぐ横をゆっくりと通り過ぎていく。
執行人の「おにぃ」は皆マスクを被り、長い棒のようなものを手に持ち、
低い笑いを漏らしながら、半裸で周囲を窺っていた。
その視線が一瞬、ゆりの隠れている方向に向けられた気がして、
彼女は全身を硬直させた。
(見つからないで……お願い……)
足音が遠ざかりかけたその瞬間——
「おい、そこの女!」
低い野太い声が背後から響き、ゆりは口から心臓が出るほど驚いて振り向いた。
大柄で中年太りの男・まさるが、息を切らしながら立っている。
その少し後ろには、細身で目つきの悪い若い男・たかもいてた。
二人はこのゲームの参加者で、チームを組んで攻略をしているようだ。
まさるはゆりの美しい姿を見て、にやりと笑った。
20代後半か、非常にスレンダーで無駄な肉もない美女だ。
「危ねえぞ。ついさっきもおにぃがすぐ後ろを通ったばかりだ」
ゆりは慌てて逃げ出そうとしたが、脚に力が入らずよろけた。
まさるが素早く手を伸ばし、彼女の細い腕を強く掴んだ。
「ひっ……! 離して……!」
「声出すんじゃねえ!」
まさるは低く鋭く言い、ゆりを強引に近くの深い茂みの中に引きずり込んだ。
自分の大きな体で彼女を覆い被せるようにして隠れ、
太い腕でゆりの口を軽く押さえた。
ほとんど同時に、先程とは別のおにぃの足音が再び近づいてきた。
重いブーツの音。木の枝を踏み折る乾いた音。そして、低い、愉しげな息遣い。
おにぃは茂みのすぐ近くで立ち止まり、ゆっくりと周囲を見回した。
ゆりはまさるの胸に顔を押し付けられ、
心臓が破裂しそうなほど激しく鼓動していた。
まさるの汗の匂いと、体温が直に伝わってくる。
太い胸板が彼女の細い体を圧迫し、息をするたびに密着が強まる。
(動かないで……見つからないで……)
数秒が、永遠のように感じられた。
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