【父の話】
「娘達の話すことが全てです・・。」
男は黙して語らず、脅しても透かしても、その態度に変化は無かった。
その態度には、いや、事態から推察すれば何かを隠していることは明白であった。
「何を隠してるのか、じゃなくて何の為に隠してるのかってことなんだよなぁ。」
事情聴取に携わった警察官達は、一様に同じ感想を漏らす。
診察とカウンセリングの結果、男は中程度のアルコール依存症と診断される。
家庭内における性的虐待があったことは確かだ。
だが、状況的に判断する限り、被害を受けた姉娘が抵抗をした形跡がない。
継続的、かつ中長期に渡り性行為の強要があった可能性は否めないものの、それは児童相談所の範疇となる。
家庭内における出来事であり、被害届が無い以上、警察が介入することは難しい。
三人の処遇は家庭裁判所に委ねられる。
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