【ヒカリの話】
ある時を境に自分に対して家族、、父と姉が距離を置いているように感じ始めた。
何かを隠しているような、何かを知らせないようにしているような。
それが何であれ、自分だけが爪弾きになっている状況に納得がいかなかった。
だが、そこまでして隠さなければならない秘密を知ること自体が恐ろしい。
耐えられなかった。
そんな恐ろしい秘密が在る家に居ると息が詰まる。
自然、家以外の場所に自分の居場所を探すようになっていった。
良いことではないことも分かっていた。
自分が必要とされているわけではなく、自分の商品価値だけが認められていることも。
だが、他に行き場は無かった。
躯を許してから急落する自分自身の商品価値。
不承不承に屈辱的な要求を満たして尚、いや、満たせば満たす程、堕ちていく自分。
そして、それに伴う虚無感。
姉に謝ろうと思った。
姉は許さないかもしれない。
だが、姉は受け止めてくれるに違いない。
少なくとも眼を見ながら、真っ向から対峙してくれる筈だ。
そう想いながら自宅の玄関に入った瞬間、眼にした光景。
姉を助けなければならない、それ以外の想いは無かった。
※元投稿はこちら >>