「さぁ、忘れ物は無い?」
「大丈夫!」
火の元を確認し、揃って家を出る姉妹。
ヒカリと他愛も無い話をしながらも、コダマは上の空であった。
自宅から小学校までは、ヒカリの脚で十分、中学校まではコダマの脚で十五分。
五分少々、歩いた交差点で姉妹は別れるのが常である。
「「じゃぁね。」」
手を振って別れた姉と妹。
ヒカリの後ろ姿を見送ったコダマは、中学校とは逆方向に足を向ける。
時刻は未だ午前八時過ぎ。
道端に並ぶ殆どの商店は、未だにシャッターが閉まったままだ。
他人目を避けながら歩き続ける少女。
十分ほど歩いた少女は、更に人気の無い方向に進む。
周囲を見回しながら、コダマは開店前の一軒に向かって歩いて行った。
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