破瓜の出血ではなかった。
初めてではなかった。
だが、初めてであろうと無かろうと、許されるものではない。
義娘の貞操を汚してしまったと思い込み、その事実に対する罪の意識に呻く父。
事実はその通りであり、それが今日の出来事ではないだけなのだが、今はそこに言及している場合ではなかった。
コダマは無言のまま、風呂場に向かう。
前回と同様、残り湯を使って陵辱された残滓を流し、シャワーを浴びながら、指を使って膣内に残った精液を掻き出す。
最後に全身にシャワーを浴び、処々にこびりついた褐色の血痕を洗い流す。
生理用品と生理用の下着で処置を施すと、バスタオルを躯に巻き付けた少女は、これまた前回同様、固く絞った濡れタオルを手にして玄関に向かった。
父は未だ肩を落として座り込んだままだ。
床に残された惨劇の残滓を拭き取りながら、訥々とコダマは告げる。
このことは妹には、、ヒカリには秘密である旨を告げる。
だが、このことについて話をしたい、しなければならない。
朝になったら、いつも通りを装って欲しい、いや、装わなければならない。
朝食を済ませたら、いつも通りに家を出よう。
姉妹は学校に、父は仕事に、だ。
だが、今日は仕事を休んで欲しい。
自分も学校を休む。
家を出た振りをして学校には行かず、密かに家に戻る。
ついては、学校にコダマが病欠する旨の電話を架けて欲しい。
頷く父に身体を洗うように告げると、少女は汚れたタオルをゴミ箱に捨てようとして寸前で想い止まる。
・・このタオルと自分・・・
どちらが汚れているのだろうか・・?
父に襲われ穢された自分の躯。
コダマに使われ汚れたタオル。
汚れたタオルは捨てるしかないのか。
堪まらなかった。
台所の流し台に立ち、風呂場から持ち出した風呂桶に水を張ったコダマは、タオルを洗い始める。
何度か洗剤を追加し、水を替えながら、、まるで何かに取り憑かれたように手洗いを続ける。
初冬の夜明け。
水道の水は既に冷たい。
当然、洗えば汚れは落ちる。
だが、それにも限界がある。
何度か繰り返し洗い続け、手が冷え切った頃に至ったその結論。
決して元通りにはならないのだ。
そう実感した瞬間、その場で少女は泣き崩れていた。
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