いつの間にか解放された左右の手。
だが、コダマの両手が男に対する抵抗に用いられることはなかった。
そればかりか心が折れてしまった少女は、左右の手で両の眼を覆う。
何も見たくない、全てから眼を逸らしたい、そんな現実逃避の想いが無意識のうちにコダマの仕草として顕れているのかもしれなかった。
既に上衣のトレーナーは捲り上げられ、眩しい程に白い少女の肌が剥き出しにされている。
首筋からヘソにかけての白い肌。
その肌を持ち上げる双つの膨らみ。
その先端に尖がる乳首。
双つの未熟で固い膨らみ、その片方の周りには微かに鮮血が滲む。
乳房を揉みしだかれながら、男の爪に掻かれた傷であった。
白い肌に鮮やかなコントラストを示す紅の徴。
もう片方の乳房には何かの痕がついている。
それは歯型であった。
指先ほどの乳首、その周囲を微かに彩る可憐な乳輪。
乳輪の外側には、出血こそ無いものの、噛んだ者の歯並びがハッキリと分かる蒼黒い跡が残っていた。
男の手がコダマの穿いているパジャマのズボンを毟り取る。
ズボンを毟り取られた少女の下腹部を隠すもの、それは生理用の下着と生理用品のみだ。
弱々しくはあるが、初めて抗いの意志を示すコダマの手。
生理、そしてそれに伴う出血。
理由は分からないが、忌むべきもの、羞らうべきものとして、少女の意識に刷り込まれているそれら。
それらを自分以外の誰かの眼に晒すことには嫌悪の念しか抱くことが出来ない。
理由はコダマにも分からない。
これもまた、或いは呪いに類するものなのかもしれなかった。
ずるり
だが、無情にも男の手は、少女の下腹部を覆う最後の布切れをも毟り取る。
「・・嫌ァ・・ぁ・・。」
微かな悲鳴。
もはや囁き声にしか聞こえない叫び。
間違いなくコダマは蹂躙されていた。
肉体だけではなく精神をも、だ。
しかも、それは始まったばかりであった。
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