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投稿者: 妄想屋
メモ書きされた文面に恐怖を隠しきれない女。

女は確かに過去に犯された…

しかし…

あの場に居合わせていた者の他に確かに存在する目撃者と言う存在…

しかも今になって明らかにされる事実。

女は忌まわしい事件の事が引き起こした数々の身に降り掛かった嫌な思い出が走馬灯のように駆け巡る。

あの事件以来…

周囲の厭らしい目が女を悩まし傷つけた。

中には強引に関係を迫る大人までもが噂を聞き付け現われた事もあった。

本人の意志よりも両親同士の憎悪の争いが更に女を傷つけ悩ませた青春時代。

その事で転校も強いられ挙げ句には頑張って来た新体操のトップ選手になる夢までもを奪われた。

女は そんな過去を引き摺りながら事件を胸の奥くに封印し懸命に生きて来た。

そして周囲からの偏見の目も噂も跳ね除けながら頑張った日々。

しかし…あの事件以来は異性と言う存在がトラウマとなった。

強姦された時期に相思相愛だった彼氏までもが偏見の目を向け遠ざかって行った。

何も信じる事も出来ずに異性との関わりを自ら閉ざし恋多き乙女時代と言う一時期を封印する少女時代であった。

しかし時が経つにつれ徐々に異性を受け入れて生きようとしていた頃に今の夫と知り合い今と言う幸せを掴み取った。

過去を頑な迄に封印し夫にも打ち明ける事も無く幸せを掴んだ女…

しかし…

もし…あの事が夫に知られていたならば…

今の幸せは無かったかも知れない…

そして今でも夫に知られたならば…

昔の時のように周囲から受けた偏見の目が再び女を悩ませる事になるやも知れない…

女は過去の己の境遇に苛まれ打ち明ける事を頑なに拒む。

せっかく掴んだ幸せを壊したく無い…

ただ それだけを想い過去の悪の産物に封印をしようとするのであった。

そして女は封書を握り締め幸せの為に迫り来る恐怖と向き合うのであった。

しかし…

女は本当の恐怖と言う物を知らしめられる事になろうとは今の時点では知る事も無かった。

そして不安を抱きながらも何事も起こる気配も無く数日が過ぎて行く。

周りの気配に気を配りながらの緊張を余儀なくされる生活が続く。

そんな頃…

薄暗い部屋に閉じこもり黙々とパソコンに向かい画像を編集する男がいた。

部屋中には女を盗撮した写真が所狭しと散乱する。

女の女学生時代のレオタード姿から現在の女の姿までもがコレクションの如く壁一面を覆っていた。

そんな部屋で男はパソコン画面を睨み微笑む…

「待ってなよ…」

編集する女の画像を厭らしく見つめ舌舐めする男。

この男…

女の同級生で あの事件を目撃し盗み撮った写真同好会の男。

あの衝撃の事件以来 女を想う気持ちが次第に大きくなり悶々とした日々を過ごしていた。

見てはいけない物を見た男の人生は あの日から歯車が狂ってしまったかのように歪み出してしまうのであった。

憧れの女の犯されし姿を目の当たりにした男は歪んだ欲望の谷を転がり落ちるのである。

毎夜のようにスクープした写真を見ながらの自慰行為が日課のようになり 次第に抑えが効かなくなって来る歪んだ欲望。

その欲望が次第に男を引き籠もり的な生活にと変えて行った。

外出する事も無く写真を貪る日々が男の生き甲斐となっていた。

絶えない噂を耳にする度に優越感に浸り己だけが知る禁断の事柄に溺れて行く。

そして…女が転校した事が引き金となり更に歪んだ欲望が男を支配して行った。

卒業しても尚も尽きる事の無い歪んだ欲望…

女を追い求め彷徨う人生が走り出すのであった。

そして長年に渡り探し続けた女を遂に見つけ出した男の欲望は更に歪んだ形に豹変するのである。

パソコンを睨み新たな女の画像をプリントし遂に越えては成らぬ一線を象徴する文面を添えて投函するのであった。

あの事件から全うな人生から転がるように堕ち定職にも就く事も無く今は借金溺れのフォトグラファーの男…

フォトグラファーと言えども官能雑誌の片隅にも届かぬ程の官能写真家…

そんな男の欲望が遂に動き出すのであった。

そして数日後…

女の手元に男が投函した封書が届く。

初めて送られて来た封書から数週間の沈黙を破り再び女の元に忌まわしい悪の郵便物が届けられた。

誰も居ない昼間に女は封書を握り締め固唾を呑んだ。

中身が何なのかは凡そ解ってはいる物の緊張する手は微かに震える。

封を開け中身を確認する女…

小刻みに震える手元が忌まわしい内容の物である事の証であった。

女の私生活を盗撮した写真に付け加え娘の写真までもが添えられている今回の忌まわしい封書。

確実に我が身だけでは無い被写体に女の不安が一気に高まった。

初めての封書が送られて来てから今までの間に秘かに盗撮されていた事実が女を恐怖に陥れた。

あれ程までに警戒しながら生活をしたのにも関わらず安易に盗撮されている恐怖…

そして…様々な不安を決定つける忌まわしい過ぎる文面を記したメモ…

女は絶句した。

【あの時の事を知人や旦那ましてや学校にまで知られたくは無いだろう?あの時のような偏見を二度と味わいたく無いなら1つだけの条件を了承しろ…】

そして…

【猶予は2日間…条件を受け入れる気があるなら猶予内に電話をしろ…その時点で条件を告知する…もし電話が無ければ即座に総てをバラ巻く…】

そして携帯番号が記されていた。

そして最後に…

【俺は人生の落第者だ…捕まっても構わないと思っている…しかし…もし…警察ざたにでもしようと考えて居るならば…覚悟はしておけ…写真の娘にも何らかの災難が降り掛かるであろうと言う事を…】

女はメモ書きされた文面に背筋を凍らせた。

あの時の己の置かれた境遇を熟知したかのような言い回しの文面…

そして女の心情の確信を突くような忌まわしい想いを綴る文行…

女の脳裏に浮かぶ【偏見】の2文字と娘への災い…

冷静に考えれば全うな対処の答えが出るはずの脅迫にも関わらず女の過去の呪縛が誤った判断をさせる事になる。

忌まわしい過去の呪縛が女を誤った選択に突き動かす。

悩み考える時間を費やす事も無く携帯電話を躊躇する事無く手に取ってしまう女。

条件が如何なる物であるかも考える事も無く呪縛からの解放と娘への無害だけを求め錯乱し取り乱すように誤動するのであった。

錯乱しつつ震えながらも書かれた携帯番号に自ら電話する女。

耳元に響く呼び出しのコール音を掻き消ほどの心臓の鼓動が女を襲う。

その頃…

男は部屋で宛ても無くゴロついていた。

そこに携帯の着信音が鳴り響く…

ディスプレーには登録に無い番号が表示されている。

「ん…? もしや…?」

男は発信先が女である事を直観的に悟った。

そして慌てる事もせず電話に出る男。

「も…も…もしもし…」

息が詰まる声の女の電話…

電話口から女の声がした瞬間に男の目がギラついた。

「やけに早い電話だな…」

冷ややかに語る男…

「あ…あなた…いったい…誰? どう言うつもりなの?」

「誰って…? 悲しい事を言うね…まぁ…無理も無いか…」

そして…

「そんな事より…電話を掛けて来たと言う事は条件を受ける覚悟は出来ていると言う事だな…?」

「あ…あなたのしてる事は犯罪でしょ…解ってるの…?」

「おやおや…お説教か…まだまだ立場が理解出来て無いのか?俺は本気だぜ…」

女は男の冷ややかで冷淡な受け答えに沈黙した。

そして沈黙を破るように震えた声で女が言う。

「条件を私が受ければ写真は総て返してくれるの?」

女の揺れ動いている心情を掴んだ男は透かさず答えた。

「あぁ…返してやるよ…後は…あんたの胸一つだな…」

「じょ…条件って…? いったい何を…?」

女は受け入れる意思表示として条件の事柄を男に問う。

「あぁ…条件か…? 簡単な事だ…写真を撮らせて貰うだけだ…」

「しゃ…写真…?」

余りにも意表を突いた条件に女は安堵しながらも戸惑った。

しかし…次に聞く男の言葉に女は絶句する。

「あぁ…写真だ…お前の裸のな…」

やはり女は脳裏に過った通りの展開に沈黙する。

しかし女の脳裏には写真だけと言う事が妙に引っ掛かり心が揺れ動く。

そして…

「裸の写真…だけ…撮れば良いの…?」

そして微かな願いを込めて更に問う。

「顔は撮らない…?」

男は揺れ動く女を畳むように答えた。

「それは…あんた次第だ…こっちが要求する被写体の事柄を総て受け入れるのならな…」

もう正常な判断すら出来なくなる程に追い詰められた女の心情を突く返答が冷酷にも告げられる。

しかし微かな想いを秘めた問いに完全否定される事の無い回答に女の心は戸惑う。

「早く決めな…あの時のように偏見を再び受けるか…それとも総てチャラにするか…あぁ…忘れてた…愛する娘を守るのも…あんた次第だ…」

畳み掛けるように最終決断を促す男…。

沈黙は暫らく続く…

そして…

「や…約束して…この一度だけにして…」

女の折れた心情を示す言葉が小さく囁かれる。

「あぁ…約束するぜ…」

そして続け様に…

「交渉成立だな…それじゃぁよ…あんたの気が変わらねえ内にやっちまうか…今から直ぐに出て来い…」

余りにも急な男の言葉に慌て戸惑う女。

「え…? きょ…今日…?そ…そんな…いきなり…」

最後まで女の話を聞く事も無く話の腰を折るように男は言った。

「あんた…まだ解って無いようだな…? こっちが要求する被写体なんだぜ…あんたはよ…? もう交渉決裂で良いのか…?」

男の言葉に窮地に追いやられる女。

そして…

「わ…解りました…」

女の言葉に電話口の向こう側で不気味に笑みを浮かべる男。

そして女に時刻と落ち合う場所を指定し1秒でも遅れる事が有れば交渉決裂と言う事だけを告げ一方的に電話を切るのであった。

不条理な要求を受け入れてしまった女…

冷静な判断をも忌まわしい過去が女にさせ無かった。

しかし…その誤った決断が女の新たなる悪魔の始まりになろうとは冷静を欠いた女には理解知り得ないのである。

一方で電話を切った男は不気味に笑みを浮かべ獲物を手中に堕とし入れた興奮を抑えつつ準備を整えるのであった。

しかし…

本当の男の目的が隠されている…

男の真の目的とは……

そんな罠が待ち構えている事など女は知り得ない…

だが…既に術中に填まった哀しき女…

そうとも知らず女は慌てながら指定された場所に出向くのであった。


続く。





※元投稿はこちら >>
10/07/23 00:06 (W9UH.RZ/)
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