いよいよ仕事が始まる
入社式、、なんてのはなくて
すぐに仕事に取り掛かった
西野さんの会社はスマートフォン向けの情報誌を作る仕事をしている
まだまだ発展途上だけどもなかなか面白い
まだまだアイディアを詰め込んで
これからどんどん広げていくらしい
今、姉さんが企画している新しいコンテンツの会議に参加するためにある場所に向かってる
運転は僕
免許、とったけど車は姉さんのものを、、
マイカーなんてまだまだ先だろうな
姉さんが鼻歌を鳴らしながら知恵の輪をガチャガチャしてる
「ぜんっぜん分かんない♪」
なんで嬉しそうにしてるんだか、、
とあるマンションに来た
会社と言っても大きなビルを構えてるわけではない
部署ごとにバラバラだけどもテレビ電話などで頻繁に会議をしている
自宅で仕事をしてる人なんかもいる
集中できる環境で仕事するのが一番いいからねって西野さんも言ってた
直接会議するのもたまにある
じっくり話し合いたい時はそうする
部屋のドアを開けた
たくさんパソコンが並んでる
ここは開発部
雑誌の閲覧アプリ以外にも色々と開発をしている
姉さんの企画の会議はすぐに始められるように準備は整っているようだ
大きめのテーブルがある部屋に通された
席につく
こじんまりしてるけど会議室なんだよね、ここ
姉さんの顔がきりりとなる
仕事モードの姉さんはかっこいい
姉さんが開発部の人たちに書類が行き渡っているから確認した後、話始めた
「旅行代理店、地方ホテルなどと提携してもっと気軽に旅行を楽しめるようなスマートフォン向けのアプリを開発してはどうかなと思います」
姉さんが目で合図した
説明は僕がする
ちょっと、いや、かなり緊張します、、
概要を説明していく
うまく説明できたかな
何人か手を上げたので質疑応答する
「基本的にはどういった客層を狙うのですか?」
「はい、20代の若者から65くらいの年代の層を。日帰り、または一泊二日程度の日程のプランを用意していく予定です.気軽にふらっと参加できる旅行という事で広めていきたいです」
「週末旅行という感覚ですか、シニア層は?」
「お年寄り、シニア層はお金も時間もあるのですがスマートフォンに慣れていないでしょうし取り込むのは難しいかもしれません。まだ検討中です」
小一時間会議が続いた
手軽に旅行を
という方針で決まった
プランの紹介写真などは姉さんと僕で撮影する
予算を明確にし分かりやすくするようにしてもらう事に
会議が終わって夕方になった
西野さんのいる本社へ
本社と言っても小さなビルだけど
撮影スタジオもある
スマートフォン向けのファッション誌も作っている
なかなか好評のようだ
西野さんがデスクで仕事をしている
こちらに気づいて顔をあげた
「おかえり、どうだった?」
「うまく説明できた、と思います!」
西野さんはニコニコ笑って肩を叩いてくれた
はぁー、初仕事、、緊張した
バイトしてる時も似たような事はしてたんだけどな、、
気持ちの問題か、、、
姉さんが西野に経過を報告してる間に少し撮影スタジオを覗く
胡桃ちゃんがちょうど撮影をしていた
大人になってより綺麗になった彼女
ワガママは相変わらずだけど
撮影が終わり真っ先に僕に近づいてきた
ちょっとしかめ面で
「瑞希」
「胡桃ちゃんおつかれさま」
「うん、、、」
「今日初仕事だったよ。緊張感した」
「ふん、興味ない、、」
「だよね♪ね?今日の夜暇?」
胡桃ちゃんが急に顔を赤らめた
な、なに?
「暇だけど、、」
「良かった。一緒にゴハン食べよう?」
「ん、、」
「胡桃ちゃん?」
急に手を掴まれた
人気のない所に連れ込まれた
どうしたんだろ?
「瑞希、私ね」
「うん?」
「私、、、」
顔を赤らめてモジモジしてる
普段の胡桃ちゃんは強気でワガママで、、
こういうの見ちゃうと凄くキュンとしてしまう
「今度、買い物行きたいの、、」
「あ、うん」
「付き合って、、くれるなら、、行く、ゴハン、、」
「あ、うん!もちろん」
胡桃ちゃんは前より恥ずかしいがり屋になってしまったような
うるんだ瞳で見つめられる
まだ僕を好きでいてくれてる
何度も告白されて何度も断った
僕は残酷な奴だな
でも、僕は好きな人を裏切れないから
「瑞希、、」
また僕の腕を掴む
どうしてあげたらいいんだろうか、、、
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