まっくらやみ
なにも、みえない
ここ、どこ?
目を開けた
目を開けたら眩しい
光が眼に入るのは久しいのか慣れるまでに時間がかかった
まわりを見た
色んな機械
様々なコードが私に繋がっている
なに?これ?
頭、いたい
女の人が入ってきた
看護婦さん?
びっくりしたような顔をして先生!先生!と言いながら出て行った
病院?
ここ、病院……
私、なに?
どうなったの?
体を触る
怪我はしてないようだけど
ああ、私の体は、いや、僕、男か、
しばらくして医師が入ってきた
「何か変な感覚はあるかな?」
「いえ」
「今、ご家族を……」
悲鳴のような声がした
そっちを見た
綺麗な女の子が僕を見てすぐに駆け寄ってきた
僕は抱きしめられた
女の子はすごく泣いている
嗚咽しながらも
医師の人が機械を見ている
なんだろ
なんなんだろ?
「瑞希くん、瑞希くんっ」
抱きついている女の子がそう呼ぶ
僕は頭に浮かんだ疑問を真っ先に彼女に問いかけた
「貴女は誰?」
女の子は僕の顔を見つめ
固まった
もう涙は止まり
ただ僕を見ている
医師は僕の手をとって問いかけててきた
「君、自分の名前は言える?」
「.......分かりません?僕は誰?」
「そうか、そうか……」
医師は静かに眼を閉じ
僕から離れた
固まっている女の子に問いかけてみた
「ねえ、僕はなんて名前なんですか?」
「……瑞希くん」
「みずき?」
「瑞希くん、私は君のお姉ちゃんだよ」
「お姉ちゃん?お姉ちゃんなんだ、お姉ちゃんは、なんて名前?」
「さやか、彩花お姉ちゃんだよ……」
僕のお姉ちゃん……
僕、なんで忘れちゃってるんだろ
どうしちゃったんだろ
……何も分からない、何も……思い出せない
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