「そうか、そうだったのか…」
亮一は、ガックリとしてその言葉を繰り返した。
そして、「お父さん間抜けだな」と小さく笑った。
「でも、ばれなかったらその後はどうするつもりだったの?
だっておじちゃんとは会っちゃいけないって…最初で最後のつもりだったの?」
加奈子の問いに亮一はたじろぐ。「ああ…まあ」と曖昧に頷くと加奈子は真剣な顔で
亮一に詰め寄った。「だったらその後はまた我慢するの?一度で済む事なの?
うんと後におじちゃんのふりをまたするの?…それとも他の女の人…」
言いながら加奈子はシクシクと泣き出してしまった。複雑な感情で自分でも分からない。
急に泣き出した娘を見て亮一はオロオロした。「加奈子、どうした?ああごめん…
いろいろ悪かったな、お父さん」慰める為に娘に触れていいものかためらった。
なんせ二人は事が終わったまま、布団一枚で体を覆っているだけなのだ。
父親に優しい声をかけられ加奈子は一層しゃくりあげた。
「違うの、お父さんは…謝ることないの。可哀想。」そして「でも、他の女の人…いや。
でも、そんな事言っちゃいけないのに。…加奈子の方が悪い。ごめんね。
…お父さんは謝ることない。」そう言いながらワーンと亮一に抱きついた。
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