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近親相姦 官能小説

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7
投稿者:コウジ
それから数日後の我が家の夕餉の食卓に、久しぶ
りに三人の顔が揃いました。
 学校の体育館が緊急の床工事か何かで使えなくな
り、部活動ができなくなった妻の由美が早く帰宅し
ていたのです。
 義母の特製の温かい豆腐鍋に舌鼓みをうちながら、
義母、妻、僕の他愛のない会話が続きます。
 こういう時の会話の主導権は大抵、妻の由美にな
ります。
 「…陸上部の男子生徒がね、体育館でふざけて砲
丸の玉転がせて遊んでたらしいの、昨日」
 「それでドスンと床に落としたってこと?」
 「昨日は雨でグラウンドが使えなくて、体育館が
部活の生徒たちでごった返してたのに、まぁ、生徒
に怪我なくてよかったんだけど、陸上部の先生、職
員室でも平謝りよ」
 「先生も大変だね…」
 僕と由美との掛け合いを、義母が静かに聞き入る
というのが通常の流れでした。
 それは僕と義母が特殊な関係になっても、特段の
変化はありませんでした。
 「由美の顔見るのがつらいの…」
 と以前に布団の中で二人でいた時、義母はそうい
って表情を曇らせたりしたのですが、家族の安寧の
ためにと、身勝手な僕がいった『美しい嘘』という
ことを、彼女は健気に守り通しているようでした。
 妻の由美はO型血液のせいでもないのでしょうが、
どちらかというと鷹揚な性格で、些細なことは気に
も止めず、人を疑うということもあまり知らない感
じでした。
 「そういえばね…あまりこのことは話したらいけ
ないんだけど…前に女子生徒の援交問題ってあった
でしょ?」
 由美の話はいつも急に変わったりするのは、僕も
義母も慣れっこでした。
 「うん?」
 「やっぱり、その子の家庭が複雑になってたらし
いの」
 僕と義母の顔がほとんど同時に、由美のほうに向
けられました。
 「ご両親の間で離婚問題が持ち上がっていて、お
母さんが家を出てってるらしいの」
 義母もおそらく同じ思いだっと思いますが、由美
の話は次第に嫌な方向へ進みかけそうな感じでした。
 「その子のお母さん、不倫か何かで家出してるみ
たい」
 僕の斜め前の義母の顔が見る間に曇り出している
のがわかりました。
 しかし、ここで由美の話を遮断する口実を、僕は
持ち合わせてはいませんでした。
 「その子のお母さんって、私と一つ違いの年齢ら
しいわ…何か、若い彼氏との駆け落ちみたいらしい
わ」
 違う意味で、僕と義母には耳と胸の痛む話でした。
 「娘さん、可哀想だね…」
 あまり深刻な顔をして黙りこくってしまうのも気
が引けて、僕は溜め息混じりに少し上ずった声で言
葉を挟みました。
 「大人の勝手な揉め事でいつも被害に合うのは、
子供なのよね」
 義母はそれまでずっと終始無言のままでしたが、
 「…そういうお話は、例え身内同士の場でもあ
まりするものじゃないわよ」
 と娘を嗜める親としての言葉を発しましたが、
心なしか気弱げで力のない響きに、僕には聞こえ
ました。
 「はぁい、ごめんなさい」
 由美は舌をぺろりと出して、幼女のように素直
に頭を下げていました。
 僕も少し以上に、気もそぞろでない気分で、義
母の特製の豆腐鍋の旨さも、正直なところ半減し
たような気分でした。
 その夜、夫婦の寝室でもう一つ薄氷を踏むよう
な思いに、僕は遭遇する羽目になりました。
 由美が食卓での話をまた持ち出してきて、あれ
これと思いの丈を話し出したのです。
 ほとんど僕は聞き役で、短い相槌をうつだけでし
たが、
 「不倫は絶対に許せない」
と語気を強めて僕にいった言葉に、風呂上りの身体
の肝が大きく冷え込んだのは間違いのない事実です。
 そして就寝前の闇の中で、由美がぽつりと独り言
のようにいった言葉に、僕はまた違う意味で胸がひ
どく痛んだのです。
 「お母さん…最近、元気ないように見えるんだけ
ど…娘としてもっと私がかまってやったほうがいい
のかしら…?」
 そして週末の金曜日の午後でした。
 僕の職場へある男から電話がありました。
 もう何年も会っていない、中学時代の同級生の小
村武で、義母も知っているあの町内会長の一人息子
です。
 たしか今はどこかの芸能プロダクションみたいな
ところに勤めているとのことのようですが、交流も
ほとんどなかったので、それ以上のことは詳しくは
わかりませんでした。
 同級生としての久方ぶりの挨拶のやり取りの後、
小村のほうから唐突に、
 「話変わるけどさ、浩二、お前…」
 とそういって少しいいにくそうに、一度言葉を区
切ってきました。
 その時、僕は直感的に嫌な予感みたいなものを感
じていました。
 「何だよ、相談って?」
 「お前さ、野村加奈子っていう女の子知ってるだ
ろ?」
 何年ぶりかで会う同級生の口から出た意外な人物
の名前に、一瞬僕は絶句しかけましたが、
 「野村加奈子?…あっ、ああ…それが?」
 「その子のことでさ、ちょっとお前に相談あるん
だけど、今晩でも会えないかな?」
 不吉で嫌な予感を拭い去れないまま、僕は小村の
依頼を断わり切れず、その夜、帰宅途中にある喫茶
店で会うことになりました。
 不吉な思いをずっと抱いたまま終業時刻を迎えた
僕は、車に乗り込むとすぐに野村加奈子に連絡を取
りました。
 加奈子は僕からの電話にすぐに出て、すぐに無邪
気で嬉しそうな声で応答してきましたが、会うこと
の話ではないと先に断わると、忽ち声を悄気させま
した。
 「君に少し尋ねたいことがあるんだけど…小村武
って男知ってる?」
 「コムラタケシ…さんですか?」
 「ああ、そうだ。歳は僕と同じ」
 「あっ…ああ、知ってます。つい最近までうちの
病院に入院してた人です。肩を脱臼したとかで五日
ほどの入院でしたけど…ああ、そ、そうです、私が
あなたのことつい話したら、あなたと中学の同級生
だって」
 「僕のことを?…どう話したの?」
 「あ、ごめんなさい。私とのこととか、そんなこ
と何も話してなんかいないですっ」
 加奈子は僕が露骨に嫌そうな声で問い質したのに
驚き、ごめんなさいを何度も繰り返してまた悄気た
声になっていました。
 「あの人、どこかのプロダクションかに見えて、
映画の監督してるとかいってて…それで、私に突然、
映画に出てくれって何回も誘われて…どんな映画な
のかもわからないので、お断りしました」
 「たった五日ほどの入院で、もう仲良しになって
るんだ…君は可愛いし」
 「ごめんなさい。私、始めからあなたのことなん
かいうつもりなくて…その小村さんもあなたのお義
母さんの教え子だったといってたから」
 加奈子はどこで電話に出ているのかわからなかっ
たのですが、鼻をぐすぐす鳴らしてもう半泣き状態
のようになっていました。
 「いいよ、いいよ。もうわかったから…」
 ここで加奈子をさらに強く詰問してもだめだと思
い、彼女の半泣きの声を信じるしかなく、僕は彼女
に、また近い内に連絡するといって携帯を切りまし
た。
 チェーン店化している大きく広いスペースの喫茶
店で、小村は僕よりも早く来ていて窓際の席で煙草
の煙りをくゆらせていました。
 小村とはたしか五、六年ほど前の同窓会で会った
きりでした。
 薄茶色に染めた髪を長く伸ばしていて、顎の下に
短い髭を生やし、ほっそりとした長身を黒革のハー
フコートに包んでいて、僕のような平凡なサラリー
マンとは、如何にも異質の世界の男のようでした。
 「…で、何だい、相談事って?」
 一頻りの挨拶言葉の後、僕は単刀直入に小村に尋
ねました。
  小村の相談事というのには、加奈子との電話で
の話から、僕には薄々とは気づいていました。
 「ああ…ごめん。電話でもいったけど、お前、野
村加奈子と親しいんだって?」
 「親しいって、そんなんじゃないよ。うちの義母
が病院に入院した時に、何度か話したくらいで…変
な勘繰りするなよ」
 「いや、俺もその病院につい最近まで入院してて
な。彼女が俺の病室の担当だった。彼女、可愛い子
だよな。…それが何かの話から、お前の名前が彼女
の口から出たんでな。…その時、でも彼女、すごく
嬉しそうな顔してたぜ」
 小村は口元に妙に揶揄的な薄笑みを浮かべながら
いってきました。
 「そんなことはいいから、相談って何?」
 僕が少し深いな表情になっていたのか、小村は慌
てて襟を正すように座り直して、
 「いや、相談事っていうのは、実はその野村加奈
子のことなんだよ。…俺、今ある芸能プロダクショ
ンに勤めてて、主にムービー部門の企画や製作担当
してるんだけどな、そこのモデル部門の責任者の奴
に、半分冷やかしで彼女を病院で撮った画像を見せ
てやったら、えらく興味示してきやがってな。スタ
イルもいいし、何よりも既製のモデルにはない素人
っぽいコケティッシュな顔立ちが素敵だとかいって、
かなりご執心なんだよ」
 「そうか…」
 狐のような細い目を一杯に開いて喋る小村に、僕
はわざと大袈裟に興味なさげな声で呟き返しました。
 「そいつは若い女の子向けのファッション雑誌の
カメラマンしていてな。…結構、眼力は確かなんだ
よ。今までにも何人かスカウトして、雑誌のモデル
かにもなってる。…それで、俺も何度か彼女にアタ
ックしてるんだけど、ああ見えて結構身持ちが固い
っていうかさ、難儀してんだよ」
 「それで…どうして僕なんだよ?」
 「いや、彼女と病院で話してる時、お前のことに
なるとすごく嬉しがっていたのが、強く印象に残っ
たもんでな。…何とか、彼女を説得してもらえない
かと思って」
 「そんなこと、できるわけないじゃないか。病院
で二、三度話したくらいで…それからは一度も会っ
ていないのに」
 「真面目なお前はそうかも知れんが、彼女は相当
に気に入ってるみたいだぜ」
 「よせよ…」
 「何とか頼めないか?俺も事務所で啖呵切ってしま
ったもんで、引っ込みつかなくなっちまっててな…
ああ、そういえば、お前の義理のお母さんってさ、
前に第二小学校で教師してたんだってな。実は俺も
そこの出身なんだ。その先生のことは担任でもなか
ったんで、申し訳ないがあんまり記憶にはないんだ
けど、野村加奈子の話ではかなりの美人だったみた
いだな」
 小村の話がまたあらぬ余計な方向に向かい出した
ので、僕は尚更に不快な気分になり、早くこの場を
去りたいと思っていました。
 僕のそんな不機嫌な表情を察したのか、小村はそ
れ以上無理強いすることはなく、また連絡するから
もう一度考え直してくれといって、自分から伝票を
取って先に出て行きました。
 僕はしばらくそこに座り込んで腕組みをしながら
考え込みました。
 目に見えない不安が心のどこかに湧き上がってき
ていました。
 野村加奈子の動向如何では大変なことになるとい
う予感が、僕の頭の中を駆け巡り、無意識に携帯を
取り出し、画面で彼女の名前を探していました。
 「もしもし、僕だけど…」
 と少し声を潜めながらいうと、
 「嬉しいっ…ずっと…ずっと、私、悩んでたんで
す。あなたを怒らせてしまって…私」
 加奈子の声はもう涙声になっていました。
 「まだ、仕事なの?」
 「いえ、もう家に帰ってます。あなたの電話の後、
気分悪くなって早退してきました。…あっ、あなた
のせいじゃないですよ。私が…」
 「今から…そっちへ行っていいかな?」
 加奈子の言葉を遮って僕はそういってました。
 口封じではないですけど、彼女に強くいい聞かさ
ねば、と僕は咄嗟に考えていました。
 加奈子のほうにその気はなくても、これからも小
村の強引なスカウト活動は続くと考えられ、どこか
で揚げ足を取られてしまう可能性があるかも知れま
せんでした。
 三十分ほどでそちらへ行くと約束して、僕は携帯
を切りました。
 外に出て駐車場の車に乗り込むと、妻の由美の携
帯音を鳴らしました。
 高校時代の同級生と久しぶり会って食事して帰る
けど、多分話が弾みそうだから遅くなるかもと、心
苦しい嘘をいって、僕は力なく携帯を切り、車を始
動させました。
 加奈子の室のドアを開けると、彼女はすぐ目の前
に立っていて、もう涙顔になっているのがわかりま
した。
 ソファの前の小さなテーブル一杯に、急いで作っ
たらしい料理の盛られた大小の皿が並び置かれてい
ました。
 何からどう切り出していいのか考えながら、加奈
子の心尽くしの手料理の何品かに、僕は箸をつけ口
に運びましたが、精神的な動揺もあり、味の旨い不
味いはほとんどわからないままでした。
 加奈子はこの前に僕が、よく似合ってると褒めた
服装で、ショッキングピンクのざっくりとしたセー
ター姿でした。
 「加奈子、話があるからしっかり聞いて」
 ようやく気持ちを決めて、僕は加奈子にゆっくり
と事態の深刻さを説明しました。
 その前提条件として、決して加奈子が嫌いになっ
たのではないと、何度も諭した上での説得でした。
 小村武という異質の世界の男が、加奈子に相当以
上の興味を示していて、強引なスカウト活動に出て
くる可能性が高いこと。
 加奈子がモデルかタレントとして人生を再スター
トさせる気があるのなら、それは関知しない。
 しかしそうでないなら、毅然と断わること。
 その過程でおそらく相手側はあらゆる手段を駆使
してくる可能性があり、その中で自分と加奈子の関
係が暴露されることのないように最善の努力をする
こと。
 今後、彼らと交渉の場があったとしても、自分の
ことは一切口にしないこと。
 …そのようなことを、ある意味では身勝手にも自
分自身の保身ばかりを優先させたようなことを、僕
はさも大儀のように加奈子に噛んで含んでいい聞か
せました。
 僕のその身勝手すぎるどの言葉にも、加奈子は真
剣に耳を傾けて聞いていました。
 夕刻の携帯で僕を深いな気持ちにさせたことを、
こちらが思っている以上に深く後悔しているという
風な加奈子の所作でした。
 「どんなことがあっても、もう他の人にあなたの
ことは二度と話しませんっ」
 と加奈子は真摯な眼差しで僕にそう誓いました。
 それをさらに疑うというのは、それこそ下衆の勘
繰りになると思い、僕も彼女の言葉を信用しようと
心に決めました。
 加奈子が炒れてくれたコーヒーを啜りながら、何
気に腕時計を見ると、九時を少し過ぎていました。
 僕のその仕草を見て、斜め前に座っていた加奈子
の腕が素早く動いてきて、僕の片方の二の腕のあた
りを掴み取ってきたのです。
 「まだ帰らないでっ…」
 叫ぶようにそういって、加奈子が僕の掴み取った
二の腕のあたりに、そのまま細い上半身を預けるよ
うに倒れ込んできました。
 僕の顔を真顔で見つめながら、何かを訴えるよう
な加奈子のくるりとした目が泣きそうになっている
のがわかりました。
 僕の顔の下あたりに、さらに近くにじり寄った彼
女のふわりとした栗毛色の髪の毛が擽るように触れ
てきていました。
 若い女の子の清潔で石鹸に似たような匂いが、僕
の鼻腔を心地よく刺激します。
 まるで自然な流れのように、僕は加奈子の全身を
抱き締めていました。
 その時ふと、妻の由美と義母の愁いのある顔が脳
裏に浮かびましたが、馬鹿な僕はそれよりも動物的
本能が勝り、衝動的にすぐ目の前にあった加奈子の
唇を唇で奪い取りにいっていました。
 こんな事態でありながらも不覚にも、愚かな男の
本能が息吹き出してきているのが自分でもわかりま
した。
 言い訳にもなりませんが、会った時からの加奈子
の涙目が、僕を非常識極まりない男にしていました。
 不意に思い浮かんだ妻と義母の顔を振り切るよう
に、座ったまま僕は長く加奈子を抱き締めて、唇も
長く重ね続けました。
 全身の力を抜き僕に身を委ねたままの、加奈子の
息が荒くなり出していました。
 薄く毛羽立ったカーペットに二人の身体は抱き合
ったまま倒れ込み、僕はまるで焦った強姦魔ように、
荒々しく加奈子の衣服を剥ぎ取り、自らの衣服も慌
てふためくように脱ぎ捨てました。
 無駄肉のない細くくびれた腰と、滑らかにピンと
張り詰めた肌の感触、薄い胸板とは不釣り合いなく
らいに膨よかで、丸くかたちのいい乳房を目の前に
した僕の自制心が、ガラガラと音を立てて崩れてい
っているのを、僕は自らの下半身の変動で愚かにも
自覚させられていました。
 カーペットに細くすらりとした裸身を晒した加奈
子は、まるで少女のような愛くるしい喘ぎ声を弛ま
なく上げ続けていました。
 暖かい暖房の入った室で、僕は加奈子の身体を狂
った獣のように抱き締め、彼女の身体に深く覆い被
さったり、翻して胸板の上に載せたりして、唇とい
わず、耳朶から首筋、そして弾力豊かな乳房までを
激しく愛撫し続けました。
 「ああっ…こ、浩二さんっ」
 加奈子の一際高い喘ぎの声が上がったのは、仰向
けにした彼女の両足の膝を折り曲げて、身体を海老
折りのようにして、露わになった股間の漆黒の茂み
の中に僕が顔を深く埋めた時でした。
 加奈子のその部分からは、すでに熱くぬめぬめと
した滴りが溢れ出る寸前のようでした。
 茂みの中の肉の裂け目の頂点あたりにある、薄い
ピンク色をしてつんと突き上がった、小さな豆のよ
うな粒に舌先を当ててやると、加奈子はさらに大き
な声を上げて、全身を左右上下に揺り動かせ激しく
悶え狂うのでした。
 馬鹿な男の僕の下半身のものは、何の恥ずかしげ
もなく固くいきり立っていて、痛いくらいに獲物へ
の到達を急かしているようでした。
 暖かく柔らかいカーペットの上で、すでに我慢の
限界にきていた僕は、加奈子のしとどに滴り濡れた
箇所にいきり立った屹立を突き立て、一気に挿入し
たのです。
 加奈子のその部分の熱い滴りは、内部のほうも潤
沢に濡れそぼっていましたが、若い女としての狭窄
感は充分過ぎる刺激を、僕の屹立したもの全体に心
地よくめくるめくような快感を与えてくれていまし
た。
 「ああっ…浩二さんっ…いいっ…いいわ…死にそ
うっ」
 「加奈子っ…」
 「す、好きっ…大好きっ」
 「ぼ、僕もだよ、加奈子っ」
 「わ、私を…捨てないで…ああっ」
 ある瞬間のところで、加奈子を突き立てていた僕
のものの先端のあたりに、身体中の血液が一気に集
中する気配があり、僕は最後に強く一突きして、自
分のものを彼女の体内から抜き取り、大きく波打つ
彼女の白い腹の上に置くと、堪えに堪えていた迸り
がドクドクと激しく溢れ飛びました。
 僕の身体の下で唇に手を当て、ヒクヒクと顔を震
わせていた加奈子の目に涙が一杯溢れ出ているのが
見えました。
 加奈子のその涙を見て、言葉では表現のできない
やるせなさが、僕の胸を痛く覆いました。
 加奈子はまだ深い快感の余韻の中でしたが、僕は
違うことを考えていました。
 果たして自分は、この女とも、無事に別れること
ができるのだろうか、という不埒な思いが沸々と心
の奥底のあたりに湧き上がってきていたのでした。
 しかし、さすがにそんな不遜な素振りは加奈子の
前で見せるわけにはいかず、心苦しくも嘘の言葉で、
それなりに思いやりのある言葉を幾つか残して、内
心で気持ちを重くして彼女の室を辞したのでした。
 車に乗り時刻を見ると十一時前でした。
 妙に恐る恐るの思いで妻の由美に電話を入れると、
彼女は眠そうな欠伸声で、今から寝るところだった
ということでした。
 僕は予め用意していた言葉で、
 「五、六年ぶりに会った友人でさ、食事の後、パ
ブみたいなとこ連れてかれてね。勿論僕はウーロン
茶だけで、もうお腹がダブダブだよ。今から帰るか
ら先に寝てていいよ」
 と澱みなくいって携帯を切りました。
 由美は何の疑いを持つことなく、気をつけてと眠
そうな声でいうだけでした。
 夜の闇と同じで、僕の心も暗く沈んでいました。
 義母に連絡することはありませんでしたが、何だ
か二人に嘘をついている気持ちで一杯でした。
 加奈子の涙顔と義母の優しい眼差しの顔が、ハン
ドルを握る僕の脳裏で何度となく交錯し、浮かんで
は消え、消えては浮かびしていました。
 明日の休日には義母に思い切り甘えよう、と僕は
心の中でそう決めていました…。

         続く
  
 


※元投稿はこちら >>
15/08/06 22:26 (pvqe7/SY)
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