集まったのはいつもの3人と私。相手は若すぎるほどの学生アルバイト四人だった。御歳暮商戦に雇った大学生とその後輩の高校生。総務の子が一目ぼれし合コンを企画。どうやらお互い欠員が出たようだった。
総務は体育会系の筋肉マン、ランジェリー売場の子は遊び人風に張り付き、書店の子は普通の学生らしい男子と盛り上がった。
メンバーを見てアルコールはキャンセルしたが、三組は素面ながら楽しんで場は和んでいた。
自然と高校生の話し相手が私になり、大学も決まり高校の先輩である筋肉マンから呼ばれたという。
『ごめんなさいね、おばさんしかいなくて』
と笑いながらジュースを注ぐと
『いえ……です』
と呟いた。
『ん?なあに』
と顔を寄せると彼は慌てて背を反らせる。
『そんな逃げなくても…』
少し本気でがっかりすると、
『あ、いえ…綺麗です』
『えっ!?いま、わたしに言った?』
黙ってうなずく彼の横顔がきれいに思えた。
『そうかぁ…そんな事、久し振りに言われたかも。おばさん嬉しい』
『おばさんじゃないです、絶対』
『あら、幾つに見える?』
『二十…5歳?』
『やだ正解』
と笑いながら背中をバシっとひっぱたいた。
『コラ、そんなわけないでしょ。三十路、30歳よ』
『うそ!?見えないですよ?』
『本当。あなたとは一回り以上離れてるのよ』
『そうなんだ…でもこの中で一番綺麗です。』
と私の目を見て小声だがハッキリ言ってくれた。
私の中で何か熱いものがドクッと流れた。
つまらない大人たちの口先だけの囁きより、シンプルな言葉が響いた。
『え、あ、ありがとう。』
動揺しながら言って彼の手の甲をそっと撫でた。
予定外のメンバーのため少し早めに切り上げようと提案すると、すでに組み分けられた安心からかあっさり受け入れられ、三組は夜の街に消えていった。
『今日はお疲れ様。じゃあ気をつけて帰ってね。』
『はい、あの…えっと…お店行っていい?』
『え!あ、うん。女性の服しかないけど見るのは自由だからおいで』
と私は笑顔で答えて手を振って別れた。
地下鉄の車内で彼の言葉や仕草を思い出していた。気付くと酒を飲んでいないのに頬が赤らみ身体が熱くなっていた。
『あの子…どんな顔するの…声出すのかな。今の子は知識過剰で…凄く激しいとか?まだ知らないよね…もし私と…』
妄想が膨み、ついバッグの取っ手を握る指を伸ばしてスカート越しにそっと刺激していた。
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