金髪の少女もまた仮面の戦士であり、ただの人間ではなかった。少女の特徴も細かく伝承で伝わっており、それによると長い金髪の他、尖った耳とオレンジ色の瞳が特徴の美しい10代の少女らしい。
尖った耳に金髪・・・それはどう考えてもファンタジー世界のエルフそのものだった。
この話を聞いた一部の民俗学者の中には海外から伝わった話を基にアレンジした物語ではないかという仮説を立てた者もいた。
話を戻すが、金髪の少女は仮面の戦士のひとりの伴侶であらゆる生命を司る始まりの女と呼ばれる女神であるようだった。
そして始まりの女の夫は始まりの男と呼ばれ、その男の仮面の戦士としての姿は蜜柑に似せた鎧を持った和風の鎧武者だった。
始まりの男は数多く存在する仮面の戦士の中で多彩な鎧の姿を持っていた。状況に合わせて鎧を変えて鎧に宿る力のどれもが高い攻撃力を持っていたが、一番の武器と力は仮面の戦士達の絆だった。何より彼らはただ敵と戦うだけの力を持っているわけではなかった。
果実の鎧と仮面の戦士達は最初から互いの背中を預けられる仲間同士というわけではなかった。
細かい伝承によれば彼らは別次元に存在する世界の普通の人間だったそうだ。仮面の戦士としての力を手に入れた彼らはさらなる大きな力を求めて熾烈な戦いを始めた。その戦いで命を落とした戦士もまた数多く、最終的に蜜柑の鎧の戦士が始まりの男となり、戦いに終止符が打たれた。それから時は流れ、彼らはただの人間から神にも等しい仮面の戦士への昇格を果たした。
これは余談だが、「仮面の戦士」と称される存在は果実の鎧を纏う者以外にも数多く存在するとも始まりの男が言っていたとか。
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