女性に対する欲望はもちろん、異性はおろか同性同士まで無理やり行為に及ぼうとする者、親しい友人や同僚に対する激しい嫉妬や劣等感から殺害寸前までの痛めつける者など、犯罪の理由も様々だった。
事件は1週間に100件、ひどい時には200件も超えるほどで、死人がいまだにいないことが不思議だった。
いくら動機らしい動機があろうと暴力沙汰とはあまり縁がない人物が起こす暴行事件。明らかに異常だった。
一方、俺達が住んでいる村では住民らが連続無差別暴行事件をある話との共通点を見つけて怯えていた。
ある話とは村に伝わる昔話だった。今から数百年ほど昔、N県を含めた日本全国で理由があるようでまったくない争いが相次いだ。
争いが起こったのは戦国時代も終わり、江戸時代がはじまって100年ばかり経った頃だと聞く。そんな時代に何のメリットもない領地をめぐる戦いや他人に対して些細な理由で人を傷つける事件が立て続けに起こった。そして最悪な事に銃や刀と言った武器の規制が緩かった当時は多数の死傷者を出すことを防げず、表の記録にないだけで数万人規模の犠牲者がいたとも言われている。
そして、その事件には黒幕がいたそうだ。その黒幕とは人間ではなかったらしい。
黒幕の名は蛇の邪神・魔蛇。魔蛇は自身が使役する蟲に似た分身を使って人間の感情を操っていた。操った理由は闘争と戦争、殺し合う事が生命が生まれた理由で絶対の使命というとんでもないものだった。
魔蛇は人間を使って悪行の限りを尽くした。しかし、それも終わりを迎えた。
魔蛇を追って異世界から来た、金髪の少女と果実の鎧と仮面の戦士達がこの世界にやってきたのだ。
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