と、ここまで書いてこれが現実に起こる現象である事を知っている人物が聞けば戦慄すること間違いなしの話だが、今のところ、最後の「消滅」は魔蛇が初めてこの世界にやってきた際に確認された現象で、数百年経った今日(こんにち)まで消滅の現象は起こっていない。
魔蛇の封印が解ける年月はバラバラで10年に一度の場合もあれば、20年に一度。長くて数十年、短くてたった数年などまったく規則的ではないのだ。
これについては政府も含めて狗道家、西嶋家も未だに研究中だ。
魔蛇封印の儀が行われた記録は、現在から20年前にかほさんの両親によって行われた儀式が最後である。
かほさんも西嶋家に生まれた巫女としていつかこんな日が来る事を想定して覚悟を決めていたが、俺は大反対だった。
この封印の儀式には始まりの女の他、仮面の戦士達、始まりの男に当てはまるポジションが必要不可欠だった。
これまで封印の儀式は古来より日本に伝わる魔を払う儀、弓を使った鳴弦の儀に倣って行われた。
使われる弓は当然、ただの弓ではないが、見た目も木製の弓でもなければファンタジックな外見をした弓でもなかった。
外見は明らかにアーチェリー型の弓で弦も鳴らすだけではなく、特殊なエネルギーを変換して無限の矢を射る事ができる仕掛けもあった。さらに弓の鳥打(とりうち)に相当する部分には特殊な刃までついており、遠距離攻撃のみならず接近戦もできる。
その弓の色は赤く、矢と弦(つる)、本来ないはずの刃は半透明に青く、とくに弓のグリップに相当する部分の上部には錠前のような物を装填できるようなスロットまであった。その赤い弓矢の名前は音速の速さで敵を仕留める弓矢・ソニックアロー。
使用者によっては光速の速さで敵を射る事も可能とされ、外見こそメカニックだが、西嶋家に伝わる破魔の弓矢だった。
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