俺は悩みながら寝た。何度も考えた。
けれど、そんな事、どうやったら確かめればいいのか・・・・・
答えが見つからないまま朝を迎えた。その日もいい天気だった。
俺は昔、ミカさんと遊んだ川を見に行った。
川には変わらず綺麗な清流が流れていたが、コンクリートで固められていた。
「ひゃー、そっかー・・・あの川もこんなになっちゃったのか」
周囲には駄菓子の代わりにそこを改装した小さなコンビニがあった。川の橋もよく見ると新しい。
「虫取りしていた横の林も、もうなくなっちゃったんだね。なんか、淋しいなー・・・・」
「言ったでしょ?田舎だって少しずつ変わっていくもの・・・仕方ないのよ」
俺とミカさんの心は複雑になり、そこに何とも言えない風が吹いた。
「ミカさんは・・・ずっとここにいるの・・・?他のもっと・・・街の方へ出ていくとか・・・」
「んー・・・正直考えてるよ。もう何もない村だからねー」
「そんな・・・」
自分で言っておきながら俺はなぜか残念な気持ちになった。
ミカさんは今、薄い長そでにズボンという出で立ちだ。仕草がほとんど大人の女だ。
「ほんとよ。自然も中途半端でさあ・・・かといって便利でもない・・・何より出会いもないしね・・・フフッ」
自虐的にそんなことを言うミカさん。俺と同じく彼女も淋しげだった。
「さっさと出ちゃえばよかったのかもしれない」
「でも・・・じゃあ・・・・なんで・・・?」
「んー・・・タイミング・・・かな。ここに残した思い・・・多すぎるの」
残した思い・・・そういうとミカさんは大きく背伸びした。
「・・・なーんてね。フフ・・・ただ臆病なだけなのかもね」
田園に立つ電柱と鉄塔がある道を歩きながら俺達は思い出話に花を咲かせ、今と昔の違いに憂い、そのまま岐路についた。
スズムシの鳴き声を聞きながら俺は寝ようとした。しかし、その夜は綺麗な月が田舎を照らしていた。それはあの日の夜と同じだった。
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