私の存在はこちらから干渉しない限り、人間には見えない。私は自分にできる範囲のことをやろうと心に決めた。
この世界に来てしばらくして私は、私と同じく見えない存在が人間に悪さをしているところを目撃した。
そいつらは人間の負の感情から生まれた者もいれば動植物の念から生じた者もいた。その存在には覚えがあった。
どこでもない白い空間で魔の蛇と名乗る者が使役していた黒い化け物。そいつらと同一の気がある事を私は見抜いた。
力には強弱、大小の差異があり、幽体であっさり倒せる個体もいれば変身して戦う必要があるレベルの個体もいた。
もちろん、私の戦う姿は誰にも見られない。それでも私は孤独に戦い続けた。
いつしか私は奴らに名前を付けた。陰に隠れる魔物、魔獣、鬼の名の由来となったオヌと悪魔の魔、オヌマと。
オヌマがやってくる場所も突きとめた。奴らは人間には見えない『門』から出入りを繰り返していた。
私はその門の向こう側にも行ってみた。そこは地球に似ているだけのこの世あらざる異界だった。
そこにも名前を付けた。虚像のカクリヨと。
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