神社の本殿の中は整理も兼ねて空っぽだった。僕は木の板でできた床もしっかり丁寧に雑巾で拭いた。その時だった。
本殿の一番奥の床の一か所に小さな隙間を見つけた。隙間はよく見ないと見つけられないほど小さい。僕は神社の事にあまり詳しくないが、位置的に何かしらのご神体などが置いてあるはずの位置だ。神社の床に何かがあると思う人もそうそういないので見つかりにくいはずだ。
隙間は長方形の木の板の上に横長の穴を形成していた。こちらから下になる隙間の左右には丸い角があり、明らかに人工的だ。穴の縦は大きさからして人差し指がやっと入るサイズだ。何かを隠すための木の板。僕は宝物探しか、それに繋がる地図でも見つける気になり、さきほどよりもワクワクした。
覚悟を決めて隙間に人差し指を突っ込む。上に引っ張ると板はかなりの大きさになって外れた。その大きさは縦に長い長方形の木の板5枚分。
そこにあったのはチャック付きのポリ袋に入ったノートだった。表紙にはマジックで書いたのか、世界の秘密の日記と題されていた。
世界の秘密。その題名を見た僕は金銀財宝以上の価値があるものを見つけた気がした。
ノートは右開きで左手の親指に表紙を当ててページを捲った。
表紙とページの紙の感じからしてノートはつい最近書かれたものだった。文章からして毎日書いたというより、記憶を頼りに1日で書いたという感じだ。そしてその文章を書いたのは一人だけではない。一人称の使い方からして男女の二人だ。
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