「君たち、何をしているの?」
梅田教頭先生だった。
四十路だが小柄で細身の女性だ。
いつも穏やかで縁無しのメガネをしているが和風の顔立ちをした中々の美人だ。
その後には二人の男性教師がいた。
「立川がわたし達にイヤらしいことを言ったんです。完全にセクハラでした。広田くんがそれを注意してくれて、、、」
マリナが応えた。
梅田教頭先生が冷ややかな目をして遼平を見る。
「そうだったんですね、、、立川くん、あなたを探してました、、、これから校長室に来なさい、、、」
「はあ?俺がなんで校長室なんかに、、、」
「立川、いいから来い、、、」
遼平のクラスの担任が腕を掴んで連れて行く。
「事情を聞きたいので広田くんには教頭室に来てもらいます、、、」
「分かりました、、、」
「わたしも行きます。証人になります。」
「わたしも、、、」
マリナと玲奈がすかさず声をあげる。
「分かりました。では行きましょうか?」
そう言う梅田教頭先生の目は立川に向けらたものとはまるで違う、いつもと同じ穏やかで優しい瞳だった。
純也達は事情を話した。
香織の話は気が進まなかったが公には絶対しないという梅田先生の言葉を信じ打ち明けた。
「そうでしたか、、、立川くんの言動は余りにも酷すぎますね、、、」
梅田先生の表情が曇る。
「彼は他の件でも問題を起こしています、、、まだ詳しくは話せませんが、かなり厳しい処分がくだされるでしょう、、、」
純也達はその後すぐに解放された。
教室に戻ると心配した3人の男子と香織が待っていた。
香織はひとり離れて自分の席に俯いて座っていた。
「広田、どうだった?」
「ああ、大丈夫だ、、、お前達が止めてくれたおかげだ、、、ありがとう、、、」
「気にするなって、、、でもまあ良かったよ、、、あんなに広田が怒るなんて初めて見たぞ、、、」
そう言うとチラリと香織を見た。
「じゃあ、俺たち帰るわ、、、今日のことは俺たちの胸にしまっておくから、、、」
そう言って3人は教室を出て行った。
気を遣ってくれたのだろう。
いい奴らだ。
それを待っていたかのように香織が立ち上がり純也の前に来た。
「違うの、、、違うんだよ、純也、、、」
何が違うというんだろう?
「お願い、、、二人だけで話がしたいの、、、」
「それはムリかな、、、」
「どうして?」
遼平の言っていたことなど信じたくはない。
しかし香織は何ひとつ反論しなかった。
それはウソだ、そんなことはしていないと、ヤツの前でいくらでも言えたはずだ。
それをしなかった、、、
いや、出来なかった、、、
その意味は明らかだ、、、
香織はヤツとのセックスを愉しんだ、、、
もう信頼出来ないオンナと二人きりになることは出来ない。
「わたし、脅されたんだよ、、、昔のことをバラすって、、、」
「そうじゃないかとは思ってた、、、でもどうして広田くんに相談しなかったの?」
マリナが尋ねる。
「そんなの、、、純也に嫌われたくなかったから、、、」
「嫌われたく無かったから、、、他の、あんな男とセックスしたの?」
「そうだよ、、、純也を失いたくなかった、、、」
「それっておかしいよ、、、嫌われたくないから、失いたくないから他の人とセックスするなんて、、、」
「泉さんになんか、、、わたしの気持ちは分からないよ、、、」
「そうだね、、、でもわたしだったら、ちゃんと広田くんに相談する、、、それで嫌われたとしても、、、広田くんを好きなのに他の人となんて絶対セックスしない、、、」
「口だけだったらいくらでも言えるよね、、、」
「香織、、、わたしも泉さんの言う通りだと思う、、、」
「なによ、、、玲奈まで、、、」
「香織のシタこと、、、雫と変わらないよ、、、」
「違う、、、一回だけと言われたから、、、だから、、、」
「バラされたくなかったらまたって言われたらどうするつもりだったの?」
「そんなこと無い、、、ちゃんと約束した、、、」
「あんな男を信じたの?実際にこんなことしたじゃない、、、」
つづく
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