いつしか奈緒と取っていた連絡も途絶えがちになりメールのやり取りすら無くなっていた。
髪を茶髪に染めメイクも濃いめになり大学生の彼氏と付き合っていると噂が流れていた。
学校でたまに顔を合わせても奈緒の方から視線を逸らし離れていく。
大樹は寂しさを感じながらも彼女自身が選んだ道だからとそれを受け入れた。
そしてむかえた中間試験。
大樹は初めて学年トップになった。
奈緒は6位だった。
常にトップだった彼女にしてみれば信じられない成績。
そしてその頃から奈緒の周りにいたとりまきが少しずつ減っていった。
表情も冴えなく曇りがち、、、
そして期末テスト。
大樹は続けてトップだったが奈緒は、、、
20位にすら入っていなかった。
20位以下は職員室の廊下に張り出され無い。
だから実際に何位だったかは分からない。
そしてこの頃にはただ一人ポツリと過ごす奈緒の姿をよく目にするようになっていた。
華やかだった取り巻きは誰ももういない。
ある日の放課後、大樹は二年生の女子生徒に呼び出され告白をされた。
可愛らしい女の子だったが心は動くこと無く丁寧に断った。
他にも何人かの女の子に告られたが、どうしてもその気にはなれなかった。
肩を落として去って行く女の子を見送っていると不意に後から声をかけられた。
「砂生くん、、、相変わらずモテてるんだね、、、」
「高倉、、、」
言葉を交わすのも久しぶりだ。
「あの子、、、身の程知らずだよね、、、あの程度で、、、」
まるで上から目線の言葉に大樹は眉をひそめた。
「まっ、いいけど、、、砂生くん、明日の土曜、何か予定ある?」
「明日は駅前の予備校に夏期講習の申し込みに行くつもりだけど、、、」
「ふ〜ん、、、そうなんだ、、、分かった、じゃあね、、、」
そう言うとさっさと行ってしまう。
なんなんだ、あいつ、、、
それにしても、、、
久しぶりに話したけど、、、
雰囲気が違う、、、
それにはっきり言って茶髪がまるで似合っていない、、、と自分は思う、、、
高倉はやはり艷やかな黒髪がよく似合う、、、
しかし考えても仕方が無いこと。
彼氏の好みなのだろう、、、
そう自分には関係無い、、、はずだった、、、
夏期講習の申し込みを終え外に出ると奈緒がいた。
壁に寄りかかりつまらなそうに地面を軽く蹴っている。
大樹を見つけると顔をほころばせ駆け寄ってくる。
「申し込みした?」
「ああ、、、でもどうしてここに?」
待っていたのか?
「わたしもここで夏期講習受けるんだ、、、」
「そうなのか?」
「うん、、、同じクラスだったらいいね、、、」
「そうだな、、、」
本当はどちらでもいい、、、
「ねえ、、、これから少し話さない?久しぶりに、、、」
「いいけど、、、」
どういうつもりなんだろう、、、
奈緒はブルーのワンピースだった。
カフェに入り向かい合って座ると胸元にシルバーのネックレスが目に入った。
彼氏からのプレゼントか、、、
奈緒は気にすることもなく生徒会時代の話を始めた。
しきりに懐かしがり、次第にしんみりとした表情へと変わっていく。
あの頃は愉しかったねとため息をつく。
どうしたんだろう?
彼氏と何かあったのか?
違和感ばかりが頭をよぎり大樹はイマイチ話に乗り切れない。
「ね、、出ようか?少し歩こうよ、、、」
そう促され店を出る。
二人で並んで歩いた。
「こうしてると二人でデートしてるみたいだね?」
「いや、、、そうでも無いだろう、、、」
お前、彼氏がいるだろう、、、
口には出さない、、、
「わたし、、、彼氏と別れたんだ、、、」
「えっ、、、」
歩きながら奈緒を見る。
すると奈緒は大樹の腕を取りカラダを寄せてきた。
「ねえ、ホテル行こ、、、わたし、砂生くんとシタい、、、」
こいつ、、、何を言ってるんだ、、、
奈緒は更にカラダを寄せて耳元で囁いてくる。
「わたしね、、、凄くいいんだって、、、」
冗談では無い、、、
本気で言ってる、、、
「どうしたの、、、黙っちゃって、、、あっ、分かった、、、砂生くん初めてだから、、、大丈夫だよ、、、わたしが全部教えてあげる、、、」
こいつはもうあの高倉じゃない、、、
虚しさが込み上げる。
「お前、、、そういうことは好きなヤツとしろよ、、、」
断わられるとは思ってもいなかったのだろう。
奈緒は立ち止まり驚いた表情で見つめてくる。
自分が誘えばどんな男だって、、、
「えっ、、、だって、、、砂生くん、、、だから、、、」
大樹は奈緒の腕を振りほどいた。
「高倉、、、お前、変わったな、、、」
ハッと表情を変え大樹を見つめながら下唇を噛み締める。
「さようなら、、、高倉、、、」
去って行く大樹を奈緒は立ち尽くしたまま見送っていた。
つづく
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