「ち、ちがう、、、わたし、、、これは本当に違うの、、、今日、会社でぶつけて、、、」
そんなわけがない、、、これはそんな事で出来るようなアザじゃない、、、
「言い訳しないでくれ、、、それは絶対にキスマークだ、、、」
「そうじゃない、、、信じて、、、お願い、、、」
「やっぱり、、、お前は浮気してたんだな、、、」
「してない、、、浮気なんてしてない、、、」
「フェラもイヤらしい言葉も、、、ソイツに仕込まれたのか?」
「違う、、、違うよ、、、凪としかシテない、、、好きなのは凪だけ、、、」
「もう何も聞きたくない、、、南、お前とはお終いだ、別れる、、、」
「イヤだ、別れたくない!」
凪は構わず服を着て荷物をまとめ始めた。
「凪、、、何してるの?」
「出て行く、、、もうお前とは暮らせない、、、」
「イヤだ、、、凪、そんなのイヤだぁ、、、」
南の頬を大粒の涙がつたう。
嗚咽が響き渡る。
俺を裏切っていたくせに、、、
二人が気まずい状況なのに、わざわざ残業だとウソまでついて男と逢ってセックスしていたくせに、、、
二人のあいだを悩んでいた自分が滑稽に思えてしまう。
このオンナは俺が悩んでいるあいだ、他の男とキスをして、フェラをして、卑猥な言葉を撒き散らし、、、キスマークを付けられカラダを繋げ快楽を貪っていた。気持ちが悪い、、、吐き気がする、、、
とりあえず一週間ほどの荷物をまとめ玄関へと向かう。
あとの荷物は南がいないときに持ち出せばいい。
「待って、、、凪、どこへ行くの?」
「お前には関係ない、、、」
「ごめんなさい、、、本当は違うんだよ、、、赦して凪、いかないで、、、」
「もうおそい、、、お前のことは絶対に赦せない、、、その男と仲良くやればいい、、、」
「ちゃんと話すから、、、全部話すから、、、凪のこと愛しているの、、、いかないで、、、」
涙を流し必死に訴えてくる。
他の男との経緯など聞きたくもない。
どんな理由があろうと南は俺に隠れてソイツとセックスを重ねていた。
「聞く気は無い、、、聞きたくもない、、、さようなら、南、、、」
別れを宣言し、部屋を出る。
通りかかったタクシーに乗り込む。
服を着た南が飛び出してくるのが見えた。
凪は構わず運転手に行き先を告げホテルへと向かった。
ホテルでの生活が三日続いている。
プロジェクトも一段落がつき、軽く打ち上げの飲み会が開かれた。
その開放感でみなが盛り上がる。
中には泊まり込みで仕事をしていた者もいる。
その反動で皆のテンションは高い。
しかし凪の胸の内は暗く沈んでいた。
本当だったらこれから南にプロポーズのはずだったのに、、、
けれども、これで良かったのかも知れない、、、アイツの本性が結婚前に分かったのだから、、、
あれから何度も南からスマホで連絡があったが、すべてブロックした。
もう二度と連絡を取る気は無い。
「凪先輩、、、珍しいですね、、、まだ帰らないんですか?」
一年後輩の沖野ミユ。
整った可愛らしい顔立ちをしているが、170の長身でモデル体型、金髪のまさにギャル風。
スリムなのに胸だけ量感がスゴイ。
そしてその見かけによらずメチャ仕事が出来る。
凪とは違い閃きタイプだ。
「まあな、、、」
「彼女さん、待ってますよ、、、」
そう、今までは早めに飲み会はひけていた。
そして凪が同棲しているのをミユは知っていた。
「もう待ってないよ、、、というか、俺達別れたんだ、、、」
「えっ、、、どうして、、ですか?」
「うん、、、まあ、色々あって、、、」
「そんな、、、わたし、凪先輩は彼女さんと結婚すると思ってたのに、、、あっ、ごめんなさい、、、」
「いいんだ、、、そのつもりだったけど、仕方がないよ、、、吹っ切るさ、、、」
「じゃあ、わたし、立候補しようかな、、、先輩の彼女に、、、」
いたずらっぽくミユが微笑む。
「沖野、彼氏いるだろう?」
「そうですけど、、、実はわたしも彼と全然うまくいってなくて、、、」
「そうか、、、でも俺はやめておけ、、、俺なんか、、、」
「そんなこと無いですよ、、、だって先輩、背が高いし、、、それに、、、」
「ふ~ん、、、それから?」
「背が高くて、、、う〜ん、、あれ、、あれ、、、」
「それだけかよ!」
「残念ですが、、、」
二人は吹き出した。
ミユはいつもその場を和ませてくれる。
それも彼女の才能だと思う。
凪は久しぶりに笑っていた。
「先輩、わたし達、、、すごく相性いいと思いませんか?」
「う〜ん、、、思わない、、、」
「酷い、、、でも、、、」
ミユが声をひそめて妖しい瞳で見つめてくる。
「きっと、、、エッチもすごく相性いいと思う、、、」
「えっ、、、からかうなよ、、、お前酔ってるだろう?」
「フフッ、そうかも、、、」
「ヤレヤレ、、、しょうもない、、、」
そのとき声をかけられた。
「凪くん、、、海原くんだよね?」
声の主を見あげると、、、女性が立っていた。
目の覚めるような美人。
スッキリと整った優しげな顔立ち。
スーツを着こなす、いかにも仕事が出来る大人の雰囲気。
髪型はあの頃と違う。
ライトブラウンのミディアムボブ、、、
七年ぶりだった。
一段と魅力を増した美晴が目の前にいた。
つづく
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