山形は名湯や秘湯が多い。
蔵王、銀山、肘折、姥湯、上山、天童、赤湯、等々――。
加奈子が訪れた鬼瓦村には、村で唯一の秘湯があった。
ネットやガイドブックには載っていない。
交通の便も悪い。
知る人ぞ知るというマニアックな秘湯だった。
加奈子は予約していた宿の車に駅まで迎えに来てもらった。
鬼瓦村は周囲を山々に囲まれた秘境に近い村落だ。
人口200人弱。
斜面や僅かな窪地に集落がある。
道で人を見かけることは滅多にない。
静寂と寂寥に包まれた寒村だった。
午後3時。
加奈子は温泉宿に到着した。
湯治専用の小さな安普請だ。
食事も部屋も質素だった。
加奈子はここに一週間滞在するの予定だった。
一週間後の徹の帰宅に合わせて東京に戻るつもりでいた。
一週間は執筆から何から全て仕事を止めて温泉療養するのだ。
加奈子は部屋で浴衣に着替えた。
粗茶を飲んで少し休んだ。
宿は一軒家に毛が生えた程度だった。
宿内も静かだ。
加奈子は廊下を歩いて秘湯へと向かった。
宿泊客の他、日中は村民も入りに来るらしい。
秘湯によくあることだが、ここの温泉は混浴だった。
温泉のみならず洗い場から脱衣所から全て男女共同だ。
ドイツのサウナでは男女が全裸で混浴する。
日本でも混浴があること自体は特に珍しいことではない。
進んだジェンダーフリーとも言える。
が、鬼瓦村では恐らく未開発国と同様の感覚で、村民全員に家族のような感覚があった。
加奈子が温泉に入ったときは幸い誰もいなかった。
時間をかけて躰を洗う。
湯舟は広くはない。
源泉自体がここだけしか存在しなかった。
男女別にするほどの湯量がない。
加奈子は一人でゆっくりと湯に浸った。
大自然の中、鳥の囀りが時折聞こえる程度で、静かだった。
加奈子が温泉に浸って十分ほど経つ。
脱衣所に人の気配した。
ドア開いて男が一人、全裸で温泉に入ってきた。
顔つき躰つきから観光客ではなく村民だと分かった。
「東京からだってね、何にもないけど、ゆっくりしていって」
といった内容を方言混じりに男は喋った。
50歳前後に見えた。
男は洗い場で躰を洗いながら加奈子と雑談を交わした。
村民の中に若者はごく僅かで、ほとんどが40歳代以上だという。
全員が農民で村人達の食料はほぼ自給自足とのことだった。
後から60歳前後の男達が3人入って来た。
無論、彼らも村民だ。
この秘湯を訪れる旅人も年々減少し、年間十数名程度だという。
最近はほぼ村民のための温泉になっていた。
加奈子は、夫が出張中でここに一週間逗留する予定であること、仕事疲れを癒す目的で来たことなどを男達に話した。
「子供は?」
と聞かれた。
「3人います」
加奈子は答えた。
加奈子と話しながらも男達の視線は加奈子の肉体に注がれていた。
狭い湯舟だ。
加奈子を囲むように男達が近くに寄って来ている。
加奈子は乳房を両手で隠すようにして温泉に浸っていた。
が、男達が全裸の女を目の前にして理性を保てるとは思えない。
男達の手がじきに自分の躰に触れてくる。
そんな予感があった。
男達との長話で上せた加奈子は「お先に」と言って温泉を出た。
温泉を上がってから脱衣所に入るまでの僅かの時間も、男達の視線が加奈子の乳房や尻に集まっているのを加奈子は感じていた。
若い娘がほとんどいない村だ。
老齢を迎えた男達が加奈子のような妖艶な肉体を拝みたくなるのも当然だ。
明日以降、村の男達と交わることになる。
加奈子はそう予感した。
脱衣所で浴衣を羽織ると加奈子は部屋に戻った。
部屋と廊下は襖で仕切られているのみだった。
鍵がないから誰でも部屋に入ろうと思えば入れる。
が、他に客はいないのか宿内は静かだった。
やがて夕食が部屋に運ばれてきた。
夜更けに何か人の気配を感じて加奈子はふと目覚めた。
羽毛布団をいつの間にか剥がされている。
加奈子は足元に人の気配を感じた。
男だった。
男が加奈子の浴衣を剥いで指で加奈子の脹脛や膝を触っている。
その手が徐々に加奈子の太腿を這い、股間へと向かっていた。
村の男達と交わることになるとの予感は意外に早く的中した。
とはいえ、夜這いを受けるのは初めてだった。
廊下とは襖一枚を隔てただけの部屋だ。
誰でも侵入できる。
いつの間にか男の手が加奈子の股間を優しく弄び始めている。
加奈子はパンティーを履いていなかった。
特別な理由はない。
浴衣を着る際は加奈子はいつもそうしていた。
男の指が加奈子の陰核を弄んでいる。
男の指が加奈子の陰唇の割れ目をなぞっている。
男の指が加奈子の膣内をまさぐっている。
加奈子は寝ているフリでじっとしていたが膣は既に濡れていた。
やがて男が動く気配がした。
加奈子の両足を押し広げた。
加奈子の広がった膣に男はゆっくりと男根を挿入した。
加奈子のこれまでの経験からすると男根のサイズは小ぶりだった。
加奈子は両足を高く掲げさせられた。
小ぶりの男根が往復運動を始めた。腰をゆっくり前後させる。
相手の男が誰だかわからないのと小ぶりの男根ということもあり、加奈子はそれほど感じてはいなかった。
が、抵抗することもなく、されるがままに身を任せていた。
男の腰使いには張りがなかった。
ゆっくりとした単調な前後運動を繰り返すのみだ。
数分ほどそれが繰り返された。
やや荒い息遣いが聞こえたかと思うと男根の往復がやんだ。
男が荒くなった呼吸を整えている。
加奈子には射精を受けたという感触はなかった。
が、男根の持ち主は行為に満足したのか、加奈子の躰から離れると静かに障子を開けた。
無言のまま部屋を出ていった。
加奈子は情欲の疼きは頂点を極めていた。
手を股間にやると愛液が溢れている。
そこには僅かながら精液も混ざっているように感じられた。
加奈子は陰核に指をあてた。
このたまらない疼きを抑えるには自慰しかなかった。
加奈子は左手で乳房と乳首を擦り、右手で陰核を擦った。
加奈子はものの一分も経たない内にイキそうになっていた。
腰を上下させながら呼吸を荒くしていた。
そのとき、加奈子は廊下に面した襖がゆっくりと開く音を聞いた。
目を凝らすと再び誰かが部屋に入ってきている。
先の男がまた戻ってきたのか。
加奈子は慌てて再び寝たフリをした。
呼吸を整えるのを誤魔化すように静かな寝息を立てた。
できればまた挿入して欲しかった。
小ぶりの男根でもいいから激しく突き立てて欲しかった。
男が加奈子の浴衣を剥ぎ、太ももを露わにして股間に手を入れた。
恥ずかしかった。
すでに一度男根を入れられ、自慰行為を加えられた加奈子の股間はビチョビチョに濡れていた。
男は陰核や膣を弄んだ。
乳房にも男の手が伸びていた。
加奈子は寝たフリをしていたが、思わず「ああ……」と溜め息交じりの声を洩らした。
加奈子が目を覚ましていることは男にも伝わっているはずだった。
躰を弄ばれて躰を濡らした女が目を覚ましていないはずがない。
やがて加奈子は再び男根の挿入を受けた。
加奈子は先ほどとは男根のサイズや感触が違うことに気づいた。
先ほどのモノより硬くて太い男根だった。
すると、先ほど加奈子を犯した男とは別の男ということになる。
加奈子は昼間、混浴風呂で談笑した男達の躰を思い出した。
男は農作業で日焼けした逞しい肉体の持ち主だった。
頑丈なだけが取り柄の野卑な農民達の肉体を思い出した。
3人目の男は加奈子に覆い被さって正常位で加奈子を抱いた。
奥まで深く挿入すると力強く腰を遣って加奈子を犯し始めた。
加奈子は自ら足を大きく広げていた。
男の太いモノが膣を力強く押し広げて膣肉を激しく擦っている。
逞しく鍛えられた男の黒い肉体だった。
加奈子は男の責めに耐え切れなくなって声を洩らした。
男は加奈子に口づけして腰の動きをさらに早めていった。
加奈子は男の背中に腕を回して男を抱いた。
男は加奈子の舌と自らの舌を絡め、乳房を揉みながら激しく腰を打ちつけた。
「ああっ……はぁっ……」
加奈子が声を押し殺して喘ぐ。
全身が溶けそうなほどの快感が加奈子に襲い掛かった。
男根と膣が隙間なく密着して擦れ合っている。
男と女の淫液が膣内で男根にグチョグチョに掻き回されていた。
男と女はそうして互いの快楽や愛情を高め合っていくのだった。
「ああ……もう……い……い……く……ああっ……いく……い……いくぅ……」
加奈子が耐え切れなくなって躰を震わせた。
直後に男も呻いて痙攣したかと思うと立て続けに加奈子の膣内に精液を放出した。
先ほどの男とは異なり、今度は男の生ぬるい精液が子宮口に流し込まれるのを加奈子は感じた。
気持ちいい感触だった。
しばらく呼吸を整えると男は加奈子から躰を離した。
やがて立ち上がって無言のまま部屋を出て行った。
襖が閉まると再び何事もなかったかのような静寂が訪れた。
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