朝になって、目を覚ます。
何もいわずキスをして、二人は起きる。ユキは顔を洗ってから、冷蔵庫を開ける。
「タクヤ、朝御飯どうする?」
「うーん、、、なんか作れそう?少しは食べときたいね。」
「じゃあ、少し待ってて。作るね~」
ユキは寝る前にタクヤに借りた大きめのTシャツを着ただけの格好で冷蔵庫から食材を取り出し、キッチンで作り始める。
「ほんとならすごいそそる格好してるんだけどな~」
タクヤが話しながら近付いて来て後ろに立ったと思ったら、Tシャツの裾をまくりあげる。
「キャッ!」
「中は俺のトランクスなんだよな、、、」
「もう、また言ってるし(笑)バカなことしてないで、テーブル用意してよ。」
「はいよ~」
朝食の片付けを終えるとユキは化粧を始め帰る準備に取りかかる。タクヤは練習場所に行くのに先輩が12時前には迎えに来てくれるそうなので、早めに帰ることにした。
いよいよ着替えにはいる。最初に昨日コンビニで買ったストッキングの封を開け、履いてみる。背が低いユキには、太ももというよりほぼ足の付け根までの長さがある。こういうのは始めてだったので、落ちてこないかなと心配だったけどこれなら大丈夫そうだ。タクヤがこっちを見ているのが見える。1ルームの部屋だから仕方ないのだけれど、じっと見られると恥ずかしい。
「見ないでよ、恥ずかしいでしょ。」
「あ、いや、ユキって変わった下着とか着ないじゃん。Tバックのパンツとかもはかないし、そんなストッキング始めてじゃん。なんかいいなあと思って。」
確かに、なるべく可愛いのと思って選んでたけど、セクシーな下着とか買ったこともない。Tバックのパンツとか、あんな下着はしたないとも思っていた。パンツのラインがでないようにとか理由はあるのだろうけど。
「何?興奮する?まだトランクスはいてるけど(笑)」
「いや、そうだけどさ、今からそれ脱いでノーパンで帰るんでしょ?めっちゃエロいし。興奮するわ~」
「もう、それは言わないで。仕方ないでしょ、なかったんだから。家帰るまでだけだし、大丈夫だよ。」
平気を装って言うが、はしたない格好で外歩くんだ、Tバックでさえはしたないと思ってたのに、何もはかないなんて。。。不安と共に思ってもいない感情がよぎる。が、その感情には気づかないふりをする。そうか~こんなので興奮するのか、タクヤといる時はちょっと色々考えようかな、と思う。
上も着替えいよいよスカートだ。このままトランクスはいて帰る選択肢もあるけれど、なんか気が引ける。
「ねえ、向こう向いてて。」
「あ、オケオケ。」
まあ、返事してるけどきっとこっち見るよね。。。
ユキは、意を決してトランクスを脱ぎスカートをはく。ちょっと違和感あるけど、他人からは絶対わからないはずだ。
「いいよ、どう?普通でしょ?」
見ていたはずだけど、見るように声をかける。
「いや、そりゃ、わかんないよ。透視できるわけじゃないんだから。」
「よし、なら大丈夫だね。」
時計は10時を指していた。まあ、ちょっと早いけどタクヤの準備を邪魔してもダメだし、何よりユキ自身の決心が揺らぐ前に帰ろうと思う。
「タクヤ、早いけど帰るね、今日頑張ってね!」
「あ、もういくの?てか、大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。タクヤの方が心配してるね(笑)」
「そうか~」
玄関に向かって歩くとタクヤが後ろからついてくる。靴を出そうとした時、タクヤがバッとスカートをまくる。
「や!何してるの!」
スカートは全体がずりあがり、おしりが丸見えになっている。前は当然大事なところがさらされているはずだ。太ももまでのストッキングが、艶かしい。
「ユキ、、、ホントにそんな格好で帰るんだね。ノーパンで外歩くんだね、、、今日土曜で駅とか人多いのに、、、やらしいなぁ、、、」
興奮してるんだろうなと思うが、とりあわないようにする。
「もう、何してるのよ。こんなことする人は外にはいないし!誰もわからないんだから。大丈夫でしょ。」
自分の中にうずく気持ちを静めるようにスカートを直しながら言う。
「まあ、そうだけどさ。」
「どう?直った?」
「うん、大丈夫だよ。」
「よし、じゃあ、行くね。がんばってね!」
最後にキスをする。
「ユキは気をつけてね!」
玄関を開け、お互い手を振り、そっと閉める。
ユキは、一度深呼吸をして歩き始めた。
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