ある会社の思い出58
移動24
駅まで行って、博多方面の普通列車に乗る美奈代さんを見送った。数駅だから夜遅く帰宅する夫(僕の父親)より前に帰宅できるだろう。
長くてカタチがいい脚、キリッとした美しい顔立ち、大きな胸、、、すべてが極上のオンナだと思った。よりによって、あんな冴えない親父と結婚するなんて。バカな選択をしたもんだと思ったけれど、動機はなんとなくわかる。毎夜、毎夜、倒錯したヘビーなSEXに明け暮れるくらい、2人とも淫乱だから。
ボストンバッグをコインロッカーから取り出して、高速バスの停留所で待っていた。予定の時刻から30分も遅れてバスが到着。
乗り込むと、中はガラガラ。1階は無人状態。後部に2階に登る階段。指定席は2階のいちばん後ろ。
2階もガラガラ。誰もいない。
理由がわからなかったけど、ちょっと不安。なにかあったのかな?
発車間際に、息を切らせながら同じバスに金髪の外国人が乗り込んでくるのを2階の窓から見た。そのひとは、身軽なステップで2階の客席に登ってきた。
目と目が合った。
思わず、息を呑むほどの美人。
最近、ホテルの料金比較サイトで儲けてるオリハグの専属モデルさんそっくり。テレビでよく見るあの顔そっくり。
彼女は指定席を記号を確かめて、腰を下ろした。その場所はなんと僕の隣。
ココ、イイデスカ?
はい
ココデ、マチガイ ナイデスか?
指定席券を僕に見せるので、確認してあげると、間違いなく僕の隣の席。
心の中で「やったー」と叫ぶ。
日本語お上手ですね
ワタシ?
ワタシ、ヘタジャナイケド、ジョーズジャナイ(笑)
はにかんで笑う表情が天使のようにかわいらしい。
しばらくすると、バスが動き出して運転手からアナウンスが流れた。
「本日はハッピーリップス旅行社のチャーター便運行、博多発名古屋行きの夜行バスをご利用いただきありがとうございます。本日、福岡空港着陸予定の台湾発オレンジ航空が濃霧のため離陸できなかったということで、台湾からのツアー客のぶんの空席がたくさん出ております。ご乗車された方は本日に限り、空いているどの席への移動もご自由になさってください。」
意味わかりました?
僕は隣に座った金髪のモデルさんみたいにきれいな女の子に聞いてみた。
エエ、リカイデキタヨ。
ドノセキニウツッテモイイヨネ
そう。その通り。
でも、僕は移らないよ。
ここ、居心地よさそうだし、、、
ワタシモ
コノ セキ スキ。
アナタステキダカラ、、、
えっ?
僕は聞き間違いかなと思ったけれど、聞き間違いじゃなかった。
アナタトイッショ二イタイ。
ダカラ、ココデイイノ。
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