ある会社の思い出5
開発部を後にして、すぐ隣の部屋の前に立った黄金原社長は、不思議なことを言った。
「この部屋を君に見せるかどうか、ちょっとためらうなぁ。どうしようかな?」
僕はちょっと不安になった。浦島太郎の話や鶴の恩返しの話みたいに、この部屋を見たら夢が覚めちゃうような不安。
ためらうようなところでしたら、見ないでも、、、そう言おうとしたときに、社長が「やっぱり見てもらうね」と言って、指紋認証のチェックを受けてから、厚手の扉を開けた。
そこは一見、トレーニングジムのような感じの場所だった。
でも、よく見ると違った。
壁際には大きなエックスの形をした等身大の木組みが5台も横に並べられていた。エックスの4カ所に手脚を拘束するラバー製の輪が括り付けられている。
反対側の壁には、15,6のフックがあって、そこから紐付きのバイブや見たこともない奇妙な形をした器具が吊り下げられている。
「ここはなんですか?」
息を呑んで眺めた後に、僕は隣にいる社長にたずねた。
「やっぱり刺激が強すぎたわね」
「SM的な場所だということはわかるでしょう?」
僕は黙ってうなづいた。
「でも、それだけじゃないの。フロアーを見てちょうだい」
僕は促されるまま床を見た。
最初に、馬乗りにまたがって座るような鞍型の機械が目に入って来た。鞍の真ん中には大きなペニスの張り型が突き出てる。
その機械の後ろには、カヌーのように、オールを持って漕ぐと椅子がスライドする仕掛けの機械があって、その椅子にもペニスの張り型が突き出ていた。
すこし小型の似たような機械が3台あって、どれも人工の張り型が付いていた。
僕はこの部屋にさっき見た隣の部屋の女性たちが来て、お互いに責めあったり、この奇妙な機械を使ってオナニーする姿を想像した。
「もうわかったわよね。この部屋はウチの会社の福利厚生みたいなものなの。開発も営業も人事もほんとうに辛抱ばかりの辛い仕事でしょう? みんなイライラしたり、ムラムラしたり、、、だから、そんなときにはここに来てスッキリするの。いつでも誰でも、誰の許可ももらわないで、この部屋を使っていいのよ」
「男の人にはわからないかしら?
もしかしたら、男の人のほうがわかるような気もするんだけど」
「言葉で言ってもイメージわかないよね?」
そう言うと、黄金原社長は僕の手を引いて、自分から磔台のところまで行って、手を挙げて、脚を開いてみせた。
「こういうふうに手脚を広げて縛ってもらうのね。
そうしたら、相性がいいお友達の女の子にからだを舐めてもらったり、機械を使ってイカしてもらうの」
女社長の熟れた肉体が無防備な姿のまま、僕の目の前にあった。
赤いドレスのスカート丈はミニスカートよりも短くて、思いきり脚を広げたために、ほんの少し秘部が覗いている。驚いたことにそこは無毛で、ツルツルだった。
触れたいけれど、触れられないままでいると、脚を閉じて、(さあ出ましょう」とドアに向かって歩き始めてしまった。
2人だけのこの部屋で、今、彼女を押し倒して熟れたからだにむしゃぶりつきたい。そんな危険な感情を悟られた気がした。
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