はぁぁ…
ベッドに寝転び、僕はため息をつく。
まぁ、そう簡単にはいかないよな。
とは言え、みんなに認めてもらえなかったことは結構ショックだった。
僕があと5年くらい早く生まれていたら違ったんだろうか。
コンコンッ ガチャッ
「侑人、ちょっと降りてきなさい」
「……」
無言で僕は、母親の後を付いて居間に入る。
「あっ…あや姉」
居間には僕の両親だけでなく、あや姉と彼女の両親も座っていた。
「え、凛太郎は…」
「もう遅いから隣の部屋で眠ってるわよ。
ほら、座んなさい」
促され、あや姉の横に座らされる。
無言の空気に押し潰されそうになるが、僕は負けてたまるかと、ぐっと堪えた。
「…凛太郎が、あんなに喜ぶとは…参ったよ」
おじちゃんが静かに呟く。
「みんなが帰ったあとも『いつから3人ですむの?』って、綾にずっと聞いてたのよ」
おばちゃんも、少し困ったように笑う。
「侑人、誰かを養うってのは、家族を作るってのは…好きだという気持ちだけで出来ることじゃないんだ」
「あなたにそれだけの覚悟がある?こないだまで学生だったあなたに」
「……あるよ」
「侑人…あんたねぇ」
「あるって、みんなに信じてもらうまで…伝え続けるしかないだろ!
僕がどれだけあや姉を大事に思ってるか…」
みんなが再び沈黙になる。
僕が頼りないから…僕が……あぁ、悔しいよなぁ。
俯いたまま、ギュッと目を閉じる。
「…3年、かな」
「そうよね、最低それぐらいはね」
「まぁ、妥当かなぁ」
「…え?」
ガバッと顔を上げると、みんながうんうんと頷いている。
「あの…」
「綾、ゆうちゃん。これから3年間、付き合いなさい。
それまではふたりの結婚は認めません。
だが、これはお前たちを信じていないからじゃない。
3年かけて、本当にふたりでやっていく覚悟があるのか、ふたりで凛太郎を育てていけるのか…じっくり、ふたりで考えなさい」
「おじちゃん…」
「お父…さん」
「あのなぁ、俺たちがお前らふたりのことを信用してないわけないだろ。何年お前らの親やってると思ってんだ。
でもな、さすがに急過ぎる話だよ。ふたりだけならまた離れれば済む話だが、綾ちゃんには凛太郎くんがいる。
3年はしっかり向き合って、それでも気持ちが変わらないのであれば…ふたりの思うようにしなさい」
「親父ぃ…」
「綾、そういうことだから、良いわね?」
「お母さん…」
「綾ちゃん、さっきはおばちゃん…勝手に紹介しようとして悪かったわねぇ。
そりゃあなた…大好きな人がいるなら、その人と一緒になって欲しいと思うわよぉ。
…例えそれが、うちのぼんやり息子であってもよぉ…」
「ぼんやり…」
「いいえ高橋さん、綾はちょっと口うるさい子だから、少しくらいぼんやりしてるくらいが良いわよぉ」
「お、おばちゃん、フォローになってない…」
「とにかく、だ。3年間付き合うこと、俺たちが口出すのはここまでだ。
そっからはふたりとももう大人なんだから、自分たちで判断して、決めなさい」
「あっ…ありがとうございます!」
「ありがとう…ございます…」
僕たちは頭を下げながら、ぎゅうっと手を握り合った。
つづく
結局長くなってしまいましたが、次で最後になります。
読んでいただけたら嬉しいです!
よろしくお願いします(*^^*)
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