これからの僕たちのことを考える上で、あや姉といくつかの決めごとを作った。
①両親や周囲に伝えるのは、僕が就職してからにする。
さすがに学生の身分で「お嬢さんをください」的なことは言えないし、僕もプライドというものがある。
今は12月。4月になるまでは、周りに秘密にしておかなければいけない。
②最優先すべきは凜太郎。
これはあや姉の強い希望だけど、僕にも異論はなかった。
凜太郎を無下にするようなことがあった時点で、僕らの関係は終わりだ。
③窓際デートはなるべく続ける。
上記のように、僕らの関係は内密なものであるが、お隣さんということである意味距離が近い。
普段はあくまで『お隣さん』として関わり、恋人同士なのは23時~朝が来るまでだけだ。
しかし最初にセックスしてから、あや姉の部屋に行くことはなかった。
思いの外あや姉の声が大きかったので(可愛い)、いつ家の人に気付かれるか分からなかったからだ。
窓から侵入した男が娘さんとヤリまくっていることがバレたら、さすがにあの温厚なおじさんであっても僕は命の危機を感じる。
だからデートと言っても、窓の外で手を繋いだり、好きだと言い合うくらいだった。
周りからすれば、いつの時代の恋愛だと呆れられそうだけど、結局は僕らふたりとも、根がくそ真面目なんだろう。
それに僕は、これまで溜まりに溜まったあや姉への想いを伝えたかったので、あや姉が僕の声に耳を傾けてくれるだけで幸せだった。
とは言え僕も健康な成人男性なので、やっぱりあや姉には触れたくなる。
困ったねぇ、と言っていた矢先に棚ぼた的な出来事が起こった。
④お外デートは月に1回。
これは、あや姉のお母さんが「月に1日はリフレッシュして、ストレスを溜め込まないこと!」と強く申したようで、あや姉はありがたくその申し出を受け入れた。
僕らはその日をデートの日として、誰にも邪魔されないラブホテルで時間が許すまで愛し合った。
身体を重ねるたびに、あや姉はどんどん淫らで可愛い姿を見せてくれるので、僕は本当に1度だけ熱を出したことがあった。
そんな生活を続ける中で、季節は春へと移り、凜太郎とバドミントンをした公園も桜で満開になった。
僕は4月から3駅向こうのオフィスビルで、営業マンとして働いている。
周囲からは「ぼんやりしたお前が営業なんて出来るのか?」と言われたが、案外僕のこのぼんやりした感じは相手に警戒心を与えないようで、今のところは楽しくできている。
(ちなみにぼんやりしてるのは顔だけであって、頭の中はそこまでではないことは伝えておきたい)
ゴールデンウィーク、5/5のこどもの日。
この日はあや姉宅で凜太郎の端午の節句のお祝いをすることになり、我が家も招待された。
伝えるなら今日だろう!と腹を括ってあや姉の家を訪問する。
しかし想像以上の緊張に、僕はあや姉特製のちらし寿司をまったく食べることが出来なかったのを、今でも残念に思っている。
つづく
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