うまくまとめられず長くなってますが、読んでいただいてありがとうございます!
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「ふふっ、栞ちゃんすごく幸せそうだったねぇ」
「あの子も若い内から苦労したみたいだけど、本当楽しそうだったね」
ランチ会の帰り道、綾乃と真紀は並んで歩く。
「真紀、ありがと。私…みんなの話が聞けて良かったよ」
「まぁ不安はあるかもしれないけど、ひとりで悩むより誰かといた方が良いこともあるから…」
「そう…だね」
「でも綾乃…思ったよりサッパリしてるよね?
もしかして…一緒にいる相手、いる?」
ニヤッと真紀が顔をのぞき込む。
「えっ、な…」
「ははーん、顔赤らめちゃって。彼氏いないって言ってたじゃん~」
「そんな…今さら付き合うとか…ないから」
「なんで?バツイチ子持ちだから?」
「それも…あるけど、向こうにはまだ未来があるから…」
「…その人の未来、あんたが勝手に決めることじゃないでしょ。
綾乃といたいって思ってるんじゃないの?」
「それは…そうかもしれないけど…」
「うーん、自信なくしてるのは分かるけどね。
でもその人の気持ちとか、ちゃんと聞いてあげなね」
自分が愛した男性が、浮気をして子どもに手を上げた。
自分には人を見る目がないんだろう。
私は他人とは幸せになれないんだろう。
そんな薄暗い気持ちはずっと心の底にある。
『ずっと、あや姉のことが好きだよ』
私も、侑人のことはずっと好き。
ずっと大好きでいたいから、関係を変えることが怖い。
『僕のこと、ちゃんと考えて欲しい』
考えるって、侑人との未来を?
まだ大学生で、これからたくさんの人と出会っていくのに?
そんなの怖い。
いつか私のことなんか見てくれなくなるかもしれない。
「こらっ!また暗いこと考えてるでしょ!」
コツンッと真紀に小突かれる。
「勝手に決め付けて、自己完結するなよ」
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「ちょっと遅くなっちゃった」
ハァハァと、小走りで家路を急ぐ。
「ちがう~もっとうえ~」
「えぇ~しっかり手ぇ伸ばしてよ~」
「ああーさがってるよぉ、ゆうとー」
公園から凛太郎の声が聞こえた。
ハッと足を止めのぞき込むと、侑人に肩車された凛太郎が木に向かってブンブンと手を伸ばしている。
「あっ…あ、とれたぁー!!」
「やったぁー!!」
どうやらバドミントンのシャトルが引っかかっていたようだった。
「もぉーゆうとへたくそすぎる!」
「ごめんごめん」
そう、侑人は昔から運動がダメだった。
「しかたないから、おれがまたおしえてあげる!」
「ふふっ、ありがとー
じゃあ帰ろっか。そろそろママが帰ってくるよ」
「うんっ」
ふたりは手を繋ぎ、楽しそうに歩き始める。
待って、私も一緒に…
「た、ただいまっ!」
思わず大きな声で呼び止めると、ふたりが目を輝かせて手を振っている。
『その人も、綾乃といたいって思ってるんじゃないの?』
家に着くと、凛太郎はお土産のドーナツを高らかに掲げなから家に入っていく。
「今日は、どうもありがとう」
「ううん、ランチ楽しかった?」
「うん、楽しかった」
「良かった!じゃあ僕はこれで…」
「っ…待って!」
あや姉がぎゅっと僕のセーターを掴む。
「あの…今晩は…もう少し近くで、話がしたい…です」
あぁ…ここが家の前なんかじゃなければ、彼女を抱きしめたのに。
つづく
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