その8
翌日から谷崎さんと色々な話をした。
私の現在までの事を話し、谷崎さんの学生時代からの話を聞いたりしながら、2人が独身で独り暮らしである事が判ると、男女のいい雰囲気になっていった。
ただ、谷崎さんが患者ではない私に興味を持っているのか定かでは無かったため、1週間後の外出日に外で会う事を提案してみた。
谷崎さんは、あっさり承諾してくれリバビリしながら大いに喜んだが、内心では、事務的な対応をする谷崎さんを半信半疑のままであった。
そこからの1週間は、リバビリ中に2人で外出した日のスケジュールを考えた。
旅行とは、出発前の準備が1番楽しいとは、よく言ったもので、谷崎さんも嬉しそうに色々なスケジュールを考えてくれ、美味しいランチの店を調べたり、車椅子の私を気遣い、ランチの後に映画へ行くプランを調べたりしてくれた。
そんな話をする谷崎さんの表情を見ていると、谷崎さんを疑う気持ちは、知らぬ間に消え、性的な対象ではなく、センチメンタルな関係に憧れる学生のようであった。 つづく
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