「あの…明日もまた、出掛けるんですか?…」
行為の後、二人共に暫く荒い息を整え 少し落ち着いた頃、恐る恐る 裕美子に尋ねてみた
「分からない…昨日は朝方に主人に起こされて行ったけど、私が先に起きていれば、主人にお願いしていたと思う…」
心の不安定な少女期に暴漢に襲われた裕美子は、恐怖感と性的興奮の区別が付かなくなり、周期的に襲われた当時の場に訪れては 秀之の歪んだ愛情を具現化した玩具で慰められていた
「そうですか…」
「ごめんなさい…タカちゃんにこんな異常なお願いをして、いっぱいして貰っているのに…身体は満足しているのよ?でも…」
裕美子の瞳から、一滴、二滴と露が零れた
「謝らないで下さい、でも、出掛けるなら自分が寝ている間に行って下さい…じゃないと引き留めてしまうかも…」
絞り出す様な小さな声でそう告げ、裕美子に背を向ける 自分はただの子種、二人の間に割り込む様な立場では無いと、頭では分かっているのに、何故こんな馬鹿な言葉を吐いたのだと、自身を責めた
翌朝、やはり裕美子は傍らから消え、布団も綺麗に畳まれていた
仕方ない、どうしようもない、と自分に言い聞かせ、甚平を着たまま表に出た
「お、早いな」
秀之が離れの作業場からのっそりと現れた 徹夜でもしていたのか、身体中に何かの切り屑を纏っていた
「あ、おはようございます…あれ?裕美子さんと一緒では?」
秀之は首を横に振る どうやら裕美子は一人で沢に出掛けたようだ
「ちょっと、出掛けてくる、タカは待ってろ」
秀之は作業着のままウェーダーを身に付け、沢へ降りて行った
あの岩陰では、裕美子が独り 狂った様に自慰を繰り返していた
「あっ、ああ…イク、イク、…タカちゃん…」
秀之ではなく、タカ、と呟きながら何度も果てる裕美子を、秀之は岩場の上から仄暗い表情で眺めていた
間違いなく、裕美子は秀之を愛している、だが、歪んだ心は秀之ではない誰かを求めていた… 本当に裕美子が求めている相手は、もしかしたら、あの暴漢なのかも知れない
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