「えぇ話やないかぁ・・。」
何故かエセ関西弁になるサクラ。
胸が一杯で普通に話すのは照れ臭い。
関西弁の皆さん、ゴメンナサイ。
「でも、不思議ですよね・・。」
「ん?何が?」
「全然、エッチじゃなかった・・。」
彼はどうあれ、少なくともナナには、あの瞬間、性欲や欲情という不純な気持ちは微塵も無く、それが何なのかは分からないが、これ以上ない程、純粋な気持ちだったのだ。
「それ以降は変わっていきましたね・・」
手を、指を、唇を、舌を互いの躯に、肌に這わせ、その手触り、匂い、体温を感じながら、互いの欲情を確かめることにより性的な昂ぶりを求め合う二人。
徐々にではあるが、二人は互いの肉体を性的に悦ばせる術を習得していく。
「どっちが好きなの?」
「うーん。どっちも捨て難い、かなぁ。」
・・この正直者・・。
「高校受験が終わって・・」
違う高校ではあるものの、ナナとその彼氏は、各々が希望していた高校への合格通知を手にした。
今までのように、同じ学校で毎日のように顔を遭わすわけでもなければ、新しい人間関係も生じるだろう。
流石に一生を誓い合うことを望んでいるわけでもなければ、互いを信じきれないわけでもない。
ただ、何か確かなものが欲しかった。
それさえあれば、拠り処になるような気がしたし、それがあっても駄目になるのであれば、それはそれで致し方ない。
このまま二人の関係が、会わなくなったことを理由に自然消滅することだけは嫌だった。
高校の合格発表後、卒業式まで数日を残すのみとなったある日。
いつものように学校の片隅、、それは教室であったり、他人の眼につかない校舎裏の死角であったり、、で抱き合う二人。
その日はグラウンドの端にある体育器具庫であった。
「ちょっと待って。学校で、だったの?」
「だぁーって、しょうがないですよぉ。」
唇を尖らせて訴えるナナ。
中高生の男女が他人の眼を避けて睦み合うことが可能な場所は少ない、いや、無いと言っても過言ではない。
行動範囲も狭く、属する地域の監視の目も中学生には取り分け厳しい。
互いの自宅、その個室がオーソドックスなのだが、家族構成、住宅事情により事情は異なる。
「じゃ、サクラさんは中学生の時、どうしてたんですかぁ?」
「あ、あたしは・・」
初カレ、は・・
・・高校生になってから・・
・・なんですよ、はい。
「あ、そうなんだ・・。」
ならば、学校、つまり高校の敷地内では、そういう行為はしなかったのか。
「・・し、した・・。」
「ほらぁ。」
で、でも・・中学校で初体験は・・
・・どうなのかなぁって・・。
「じゃ、サクラさんの初体験は何処だったんですか?」
実は・・
・・その彼氏とは別れちゃって・・
・・大学生になってから・・なの。
「ふーん。とにかく、ですよ・・」
学校は真面目なことをする場所である。
つまり、学校において為されることは真面目なことなのだ。
故に学校という真面目な場所で為されたナナの初体験は、真面目な行為に他ならない。
「少なくとも、あたしは真剣でした。」
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