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1: 湯上がり勘違い夜話
投稿者:
erabenovel
温泉宿の湯気窓に映る街灯りが揺れていた。
「やっと着いたー! 千秋、足痛くない?」 颯人が大袈裟に背中をさする。 「大丈夫だってば。颯人が荷物持ちすぎなだけよ」 千秋は笑いながら彼の手を引いた。ロビーには先に到着していた柚心と結斗が待っていた。 「遅いよー。もうチェックイン済ませたから」 「え、早くない? 私たちが一番乗りだと思ってた」 柚心が小首を傾げると、結斗が得意げに胸を張る。 「柚心が部屋選びにこだわりすぎてさ。結局一番高い部屋になったけど」 「それがいいの! せっかくの旅行なんだから」 四人は揃って柚心の部屋へ向かい、卓を囲んで座った。旅館自慢の会席料理が次々と運ばれてくる。 「乾杯ー!」 日本酒の小徳利が空になるたび、新しく注文が重なった。千秋は頬杖をつき、少し目が回るのを感じていた。 「千秋、顔赤いよ。もう限界?」 「……限界じゃないもん。まだ飲める」 颯人が心配そうにグラスを取り上げようとすると、千秋はむずかる子どものように奪い返した。 「柚心ちゃんは強いねー。私も負けないから」 「負けない負けない」 結斗が茶化すように手を叩く。楽しい時間はあっという間に過ぎた。気づけば卓には空になった徳利が並び、千秋も柚心も頬を染めてふらついている。 「明日の朝は……風呂入って……朝食……」 「んー、わかったー……」 颯人の声も遠く聞こえる。千秋は畳に突っ伏したまま、まぶたが重くなるのを抗えなかった。 https://erabenovel.com
2026/06/08 20:06:39(DCC7LG8b)
投稿者:
erabenovel
畳の感触が消え、ふんわりとした柔らかさに包まれていることに気づいた。千秋は薄く目を開けたが、真っ暗な闇が視界を覆っている。電気は消え、窗帘の隙間から頼りない月光が床に落ちているだけだった。身体を動かそうとして、四肢が鉛のように重いことに気づく。まだアルコールが回っているらしい。記憶が曖昧だ。卓を囲んで笑い合っていたこと、颯人が心配そうに顔を覗き込んでいたこと、そこから布団に移動したことだけが断片的に蘇る。
「ん……」 隣から小さな寝息が聞こえた。目を凝らすと、闇に慣れた視界にふくらみが見える。柚心だ。その向こうには結斗が寝ているはず。千秋は自分の左側にも気配を感じた。颯人だ。同じ部屋で川の字になって眠っている。静かだった。旅館の廊下を歩く足音も、遠くで聞こえる話し声も消えている。深夜なのだとぼんやり理解した。千秋はまぶたを閉じ、再び眠りの底へ沈もうとした。その時である。布団の端が小さく動いた。誰かが起きたのだろうか。颯人か、それとも柚心か。気にしようと思ったが、思考がまとまらない。するりと、何かが布団の中へ入り込んできた。冷たい空気が一瞬入り込み、それから熱が近づいてくる。千秋は息を止めた。誰かが背後に潜り込んできたのだ。身体が強張る。心臓が早鐘を打ち始めた。颯人だろうか。トイレに起きて、戻る場所を間違えたのだろうか。それとも、何か別の意図があるのか。背中越しに伝わる体温。荒い息遣いが耳元で聞こえる。千秋は動けなかった。恐怖と、もう一つの得体の知れない感情が胸の内で混ざり合う。相手は何も言わない。ただじっと、千秋の反応を待っているようだった。
26/06/09 00:29
(21Tx1ijJ)
投稿者:
erabenovel
暗闇の中で時間が止まったようだった。千秋は背後の気配に身を固くしたまま、相手の次の動きを待っていた。やがて、温かい手が彼女の腰にそっと触れる。
「っ……!」 小さく息を呑む。その手は動きを止めず、ゆっくりと千秋の脇腹をなぞり上げた。優しく、しかし執拗な愛撫。まるで千秋の身体を確かめるように、指先が一寸一寸肌を滑っていく。颯人だ。千秋は即座にそう判断した。同じ部屋で川の字になって寝ているのだから、背後にいるのは彼氏しかいない。トイレに起きて戻ってきたのか、それとも最初から目が覚めていたのか。理由はわからない。でも、颯人が興奮しているのだということだけは理解できた。普段の彼は優しくて、どちらかと言えば奥手だ。こんな風に夜中に忍び込んでくるようなことはしない。でも今夜は特別なのかもしれない。旅行の解放感と、飲み過ぎたお酒のせい。千秋は固まっていた身体からゆっくりと力を抜いた。拒否するつもりはない。颯人となら、何をされても構わない。その反応を待っていたかのように、背後の手が動きを活発にした。浴衣の裾から手が入り込み、直接肌に触れる。温かい掌が、千秋の腹を愛おしむように撫でる。 「ん……」 鼻から甘い息が漏れた。背中に押し付けられた男の体温が、布団の中でじんわりと伝わってくる。耳元で聞こえる荒い息遣い。熱い吐息が首筋をくすぐるたび、背筋にぞくぞくとした感覚が走った。颯人、今日は随分積極的ね……。心の中でそう呟きながら、千秋は目を閉じた。暗闇の中、触覚だけが鋭敏になる。指が肋骨を数え、脇の下をくすぐり、胸のふくらみに触れる。 「あっ……」 下着の上から胸を包み込まれ、千秋は小さく声を上げた。慌てて口元を手で覆う。隣で柚心が寝ている。その向こうには結斗。もし起きられたら……でも、その背徳感が逆に興奮を高めた。同じ部屋で、友人たちのすぐ隣で、こんなことをしている。見つかったら大変だ。その緊張感が、千秋の心臓を早鐘のように打たせる。背後の男は構わず、胸を優しく揉みしだき始めた。指先が尖った先端を擦り、鋭い快感が脳天を突き抜ける。 「んんっ……っ」 唇を噛みしめて声を押し殺す。でも身体は正直だった。胸の先端が硬くなり、下着の中で擦れる感触に、太ももの内側が熱くなっていく。耳元で男の呼吸が荒くなる。興奮が伝染するようだ。千秋もまた、身体の奥底が疼くのを感じていた。男の手が、身体の曲線を滑り降りていく。腰、そして太ももへ。千秋は無意識に少し足を開いた。相手を受け入れる準備をするように。背後の気配がさらに密着し、耳元の息遣いが熱を増していく。
26/06/09 12:18
(21Tx1ijJ)
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