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1:感想を頂ければ幸いですm(__)m
投稿者:
淡々タヌキの○○
◆5j8r7Z2at.
N県O市…8年前僕が住んでいた場所…。今、そこへと向かう列車の中に居る。
僕は本当にツイてない。最近付き合い出した彼女がホテルから出てくるのを見てしまった。しかも相手は俺が通う大学の学園長…手が早いので有名なタラシだ。彼女に問いただす事も出来ず、憂鬱な日々の中で受けたテストなど惨憺たる物で、大学にも行かなくなり、落第ギリギリ状態だった。 そんな僕を見兼ねて、母が用事を頼んできた。気分転換でもしてこいという事らしい。 もし今の僕を癒してくれるとしたら、従姉妹の双子の香流(かおる)と杏梨(あんり)の笑顔だけだろう。 とても可愛い娘達で、きっと美人になってるに違いない。そんな想いが頭を過ぎっていた。 最寄り駅の改札ロビーに立つ。迎えが来ているらしいけど、その気配は無い。辺りを見回しても、やたら気合の入った感のお嬢さんが二人居るだけだ。出来るだけ関わりたくない。 途方にくれて立ちすくんでいると、先程のお嬢さん達がこっちを見て何やら話している。ヤダなぁ…、あっ!こっちに来る。 僕の傍で挟み込む様に立ち止まると、クルクルと回りなからジ~っと全身を見始めた。 (金なんか無いぞ…) 二人並んで僕の正面に立つとグッと顔を近づけて来た。 (だ、誰か…助けてくれ…) ニコッ(^∇^)×2 ……? 「あ~、やっぱりチイ兄じゃん!」 『…え?』 背の低いお兄ちゃんだから、チイ兄…僕の事をそう呼ぶのはこの世に二人しか居ない…という事は…。 「俺、香流だよ。相変わらず背低いな」 「杏梨だよ、久しぶりっ」 間違いない…。その瞬間、僕の中で何かがガラガラと音を起てて崩れ落ちていった。 茶髪にバリバリの化粧とピアス、流行りのネイルと派手めな服装。昔の面影なんて全く無い。 ・・・・ 「何ボケ~っとしてんのさ、さあ行くよ」 「荷物これだけ?」 両腕を抱えられ、タクシーに押し込まれた。 しかし、助手席も有るというのに、何故3人並んで座るんだ?これじゃあ拉致られてるか、警察に突き出される痴漢にしか見えないよ。運転手も怪訝そうな顔でバックミラー越しに覗いている。 「何見てんだよ?ちゃんと運転しろよ!」 ドスッ! 香流が運転席のシートを蹴飛ばした。 夢なら覚めてくれ…出来るだけ早く。心の中でそう願った。 慌てた運転手がバランスを崩した時、僕の腕に二人の柔かな膨らみが押し付けられる。加速する鼓動…二人にバレはしないだろうか? 神社の近くで車が停まる。この先の細い道を上がっていけば叔父さんの家だ。 良く見れば提灯が並び、屋台の準備をしている人がいる。 もう秋祭りか…。そんな事を考えていると、向こう側からこれまた気合の入った方々がやって来る。 ザザッ! 「あ、お早うございます、香流さん、杏梨さん」 モーゼの十戒の様に道が開く。どうやら二人は結構【顔】らしい。人垣を抜ける間に皆が僕を品定めする様に見ている。妙に居心地が悪い、何なんだ一体? 「まさか香流さんのコレっすか?」 一人が親指を立てる。 「馬~鹿、従兄弟だよ」 そんな僕の思いを余所に二人はどんどん進んでいく。 叔父さんの家に着いた。僕が引っ越した後、少し後に建て替えたらしい。 「久しぶりね。疲れたでしょ?」 叔母さんが笑顔で迎えてくれれ、叔父さんは相変わらず無愛想だ。 客間に荷物を置いてから、改めて挨拶をする。本当はビジネスホテルにでも泊まるつもりだったが、叔父さんが家に泊まればいいと言ってくれた。土産話に花が咲くと従姉妹達の話になったが、叔父さん達は少し暗い表情を見せた。 「か…恰好良いと思いますけど。向こうにもあれだけの娘達は居ないですよ」 僕の言葉にも複雑な表情を見せるだけだった。 元々ボーイッシュだった香流と女の子らしかった杏梨、二人の変貌ぶりと、新しい家…落ち着かない。まるで見知らぬ他人の家に預けられた子犬の様だ。 居辛くて散歩に出掛けた。新しくなった物、朽ちていく物…否が応でも僕に8年の流れを突き付ける。そして此処にも…。 「チイ兄ーッ!」 祭装束に身を包んだ香流達が現れた。 「どうしたのさ、ボーっとして。さては俺達に惚れたか?それとも欲情したのか?」 『ば…誰が欲情なんて』 正直杏梨達に見とれていたのは確かだ。凄く似合っている。逆に昔のままなら違和感所の話じゃないだろう。 此処の山車はかなり大きくて、何種かある。女山車もその一つだ。聞けば今年は二人が先陣を引くらしい。 得意満面の従姉妹達。もうかなりテンションが上がっている。 「オ~イ、香流、杏梨!」 暫く話し込んでいると向こうで二人を呼ぶ声がした。手を振り走り去る二人に8年前の幻影が重なる。 ―祭当日― 様々な屋台が灯かりをつけ、祭囃しの中、大勢の人が賑わいをみせている。 「オラーッ!気合入れろー!!」 威勢良い掛け声と共に走り抜けて行く杏梨と香流。飛び散る汗…今まで見た誰よりも輝いている二人に僕は目を奪われていた。 綺麗だ…。それが素直な感想。それに引き換え、僕は……。 滝の様に伝う汗でサラシとかが透けて見える。 (うわっ…アイツ等ノーブラか?) 引き締まったお尻にうつる下着のラインが分かる。 香流ってば黒のTバックか…かなりセクシーなの履いてるなぁ…、杏梨はバックプリントか…杏梨らしい可愛らし……!?。 違う!! あんな位置に有るのはおかしい。まさか…? 考えたくない疑問を胸に二人を呼び出した。 「チイ兄、俺達の晴れ舞台見てくれた?」 『…ああ』 「恰好良いかったでしょ」 『…ああ、素敵だった』 「ヤリィッ!」 僕の言葉に凄く嬉しそうに、高く掲げた手を打ち合わせた。 『・・・』 「どうしたのさ、チイ兄?」 俯き黙ってしまった僕の顔を覗き込む。 『…なあ、一つ聞いていいか?』 「何々、愛の告白?」 いつになく真剣な表情の僕を思わず香流が茶化す。 『杏梨…その腰のモノは何なんだ?』
2010/10/23 21:43:45(J242Utdq)
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淡々タヌキの○○
◆5j8r7Z2at.
咄嗟に腰を隠し、蒼白になる二人。 「な…何って?そんな所見てたの?チイ兄のスケベ」 『茶化すんじゃない!叔父さん達は知ってるのか?』 詰め寄る僕と同じ早さで下がる二人。 「親父は怒ったし、母さんは泣いてた…」 『何故いれた?』 「か…恰好良いから…」 ピクピク… 杏梨は嘘やゴマカシをしようとすると右耳が動くクセが有る。 『耳…動いてるぞ』 慌てて耳を抑える。 浮ついた理由で叔父達を悲しませる筈は無い。 「言わなきゃいけないのか?俺達にだって言いたく無い事くらい有る」 庇う様に前に出る香流を杏梨が征する。 「いいのか?杏梨がいいなら、俺も…」 どうやら二人に関わる事らしい。 僕の中で警告音が響く。聞くな!…と。 「チイ兄には現在(いま)の私達を見て欲しいから…」 大きく深呼吸をした後、真剣な目で僕を見つめる。 「いいんだね…チイ兄」 ドーンッ!ドドーンッ! 祭りの最後を飾る花火が上がる中、僕は驚愕の事実にうちひしがれた。 『そ…そんな…』 今から5年前…丁度中学に上がったばかりの杏梨達は旅行中の男達に乱暴された。代わる代わる何度も犯され、全身は獣達の精液で汚された。通り掛かった叔父によって大乱闘の末、男達は捕まったが、男達のを完全に使い物にならなくさせた為、叔父さんも過剰防衛で逮捕されかけたが、相手がナイフを持っており、不起訴処分となった。 だが香流達の受けた心の傷は大きく、暫くは家から出られなかった。 上っ面のみの同情と興味本位の眼差し、心ない中傷が二人の心の傷を更に深くしていった。 そんな杏梨達を叱咤激励し、精神的にも体力的にも強くさせる為、叔父さんは香流には空手を、杏梨には合気道を習わせた。最初は怯え、嫌がった二人だが、回りの励ましもあり、どんどん強くなっていった。 言い寄る男達を蹴散らし、復讐に来た男の仲間達を返り討ちにし、弱者を助けた事で皆から一目置かれる様になったらしい。 そして杏梨のタトゥーは自分に負けない為の誓いの印という事なのだと…。 二人が輝いて見えたのは過去を受け入れ、今を見つめて未来(ゆめ)へと自ら進んでいるからだ。 『…わ…悪かった…』 僕は二人を傷つけたに違いない…。 しかし二人は笑顔を見せた。 「いいよ、過ぎた事だもん」 「それより今度はチイ兄が俺達を受け入れる番だよ」 受け入れる…簡単に言うが言葉だけじゃ信じてもらえないだろう…苦悩する僕に杏梨がトンデモ無い事を口にした。 「あのね、私達を抱いて欲しいの」 『ば…そんな事出来る訳ないだろう!』 途端に二人の顔が曇り、物凄い剣幕で叫びだした。 「何故?従姉妹だから?こんな姿だから?それとも私達が汚れていると思って…」 『違うっ!!』 思わず叫んでしまった。 『違う…違うんだ…僕にはそんな資格は無い…』 香流達とは違い、過去に囚われ、現在を受け入れられず、未来を見る勇気の無い僕には杏梨達を抱く資格なんて有る訳が無い。 「資格とかそんなの関係ないよ…」 「俺達が抱いて欲しいと思ってるんだ、チイ兄に」 包み込む様に僕を抱きしめる。二人の身体は木漏れ日の様に温かく、少しだけ化粧と汗の匂いがした。 「さあ、家に行こう…」 シャーー 今、香流達はシャワーを浴びている。一緒に入る?と言われたのには本気で焦った。先に浴びさせられた僕は杏梨達の部屋に居る。見た目の派手さとは違い部屋の中は女の子らしい感じだ。ただ僕が風呂にいる間に慌てて片付けたらしいのは、クローゼットの扉からハミ出たブラが物語っている。 いい香り…だけど落ち着かない。 「俺達の部屋に入った[男]はチイ兄が初めてだよ。親父さえ入れた事無いんだから有難く思ってね」 香流がそんな事言ってたっけ。 「タンスとかいじっちゃ駄目だからね!」 これは杏梨のセリフ。 ベッドを並べる為に動かした跡が有る。どうやら本気らしい。 ガチャ… 『ワッ…!』 思わず立ち上がる。 「お待たせ、チイ兄…」 香流達がバスタオル一枚を纏っただけの姿で入って来た。化粧も落としていて、髪こそ茶色いものの、昔のまま大きくなった二人が居た。 ……綺麗だ。まだ幼さを残す肢体に僕の魂は魅入られてしまった。 「あのさぁチイ兄、いつまで俺達をこんな姿でいさせるの?」 「一応、私達にも[恥ずかしい]って感情は有るんだけど」 呆ける僕に香流達が文句を言う。 『あ…いや、ゴメン。あんまり綺麗だから見とれて…』 「有難う…チイ兄にそう言われると嬉しい」 「当然じゃん、この身体はチイ兄の為に磨いたものでもあるんだから」 二人の反応は様々だけど、互いに僕の手を握り身体を擦り寄せて来た。 「キスして…チイ兄…」 顔を真っ赤にして僕を見つめる。 杏梨と香流、二人に唇を重ねる。小鳥の挨拶の様な優しいKiss。 「そんなんじゃ駄目、ちゃんとして」 『…解った』 僕の首に腕を回し顔を近づける二人に再び唇を重ねる。舌を差し入れようとすると、一瞬身を硬くしたが、すぐに自分から舌を絡めだした。 腰にまわした手を下げようとすると、僕を突き飛ばす様にベッドに押し倒した。 「今度は私達がチイ兄にキスしてあげるね」 どういう事だ? 『…あっ!?』 二人は膝まづき、あさましく反応してしまった[もう一人の僕]を取り出すとニッコリと笑い舌を這わせ始めた。 「私達を見てこんなになったんだ、なんか嬉しいな」 「チイ兄のエッチ」 ペロ… まるで合わせ鏡の様に上下に動いたかと思うと、一人が亀頭をくわえると、もう一人が蟻のと渡りから陰嚢へと代わる代わる攻め始める。 このままじゃマズイ。 『なあ、二人ともお尻をこっちに向けてくれないか?』 そういうと二人は少し困った様な顔をした。 「は…恥ずかしいから、バスタオルをかけたままでいい?」 二人は背中を向けて立ち上がると、スカートの様に腰に巻き着け、腰を降ろした。 「み…見るんじゃねえぞ」 自分達は僕のを見てるクセに…。 「ヒッ…!」 「ヤッ…!」 バスタオルの中に入れた手が内股に触れただけで、また瞬間的に身体を強張らせるが、後は触りやすい様に自分から脚を開き気味にしてくれた。 サワサワとしたアンダーヘアとまだ閉じたままの淫唇。双児なのに伝わってくる感触が違う。縦筋に沿って指を這わしながら敏感な部分を探る。杏梨は幾分か上ツキ気味で、香流は少しだけ陰核が小さ目の様だ。 互いの敏感なボタンを転がす様に弄っているとシットリと濡れ始めた。指先で触れる度に二人の口や舌の動きが止まる。 「ィャ…」 「ャメ…」 入口に指を入れようとした瞬間、震える様に零れた言葉…。 思わず僕の指が止まる。
10/10/23 21:44
(J242Utdq)
投稿者:
淡々タヌキの○○
◆5j8r7Z2at.
「だ…大丈夫だよ。チイ兄ってばヤラしい触り方するから」 「じ…上手じゃん。本当は遊び馴れてるんじゃないのか?エッチイ兄」 こっちを向こうとしない。妙にうわずっているその声は感じているというより、無理に何かを堪えている様に感じるのは気のせいだろうか。 もう一度触ろうとする指を避ける様に立ち上がり振り返る。 「さ、そろそろヤろうよ、チイ兄」 「こっちは準備OKだよ」 ニッコリと笑い、バスタオルで胸から下を隠す様にしてベッドに横倒わる。 (気のせいか…) 恥ずかしいだろうと蛍光灯のスイッチに手を延ばした瞬間、二人が大きな声で叫ぶ。 「だ…駄目ッ!消さないで。消したらチイ兄の姿が見えなくなっちゃう…」 咄嗟に振り返った僕の目に映った物、それは尋常じゃない程に何かに怯え、大粒の涙が溢れる蒼白な二人の顔だった。 そしてその瞬間、僕はやっと今まで感じていた違和感の意味を理解した。二人はあの日の恐怖から完全には立ち直れていないのだと。 幾ら強かろうと、皆から一目置かれてようと、彼女達はまだ十代の少女なのだと。 『もう…止めよう』 服を拾い上げ、立ち上がろうとする僕に、バスタオルがはだけるのも忘れ、飛びかかる様に縋り付く。 「い…嫌ッ!止めないで!行っちゃヤダッ!!」 つい先程の秋祭り、あの時までの勇壮さは微塵も無い。まるで悪夢を見て泣きながら親の元へときた子供の様だ。否、彼女達は今だに悪夢の中にいる。 「現在の私達を見て欲しいから」 「今度は俺達を受け入れる番だよ」 二人の言葉が蘇る。この言葉の意味…、それがまさに今のこの二人の姿だったんだ。杏梨と香流、二人はいまだに闇の中から抜け出せずにいる。頼りは弱々しく小さな光…たがそれは彼女達にはとても大きく暖かな存在。しかしその光が今まさに消え失せようとしている。 「チイ兄とって決めてたの」 「チイ兄じゃなきゃ駄目なんだよ」 震えながらも、決して腕を放そうとしない。本当なら[男]を見る事すら辛いだろうに。 『香流…杏梨…』 ゆっくりと腰を降ろし、震える二人の身体を抱きしめる。 『解ったよ…。大丈夫、全て僕に任せて…。三人で行こう、光溢れる場所に…』 彼女達の頬を伝う悲しみを口づけで拭う。 「チイ兄…」 やっと二人の顔に明るさが戻り、満面の笑顔が僕を包み込む。 「チイ兄っ!有難う!!」 「だけど、チイ兄…」 何故だ?香流の表情だけが少しだけ暗く下を向いてる。 『どうした…』 「あのさ…幾ら恰好良く決めてくれても、これじゃあ…」 『うわぁっ!?』 香流の視線の先に有るギンギンに反り返ったモノを慌てて隠した。 『アハハ…』 「アハハハ」×2 明るい笑い声が室内に響く。 『で、誰からなの?』 「ハイ!私から」 間髪入れずに返ってくる杏梨の声。どうやら順番まで決めていたらしい。少し寂しそうに座る香流を横に杏梨がちょっと緊張した面持ちで横になる。 「優しくシテね、チイ兄」 勿論そのつもりだ。髪を撫で優しくキスをする。首筋、耳を愛撫しつつ、触れるか触れないかの繊細なタッチで胸を…。杏梨の口から吐息がもれ始め、全身から力が抜けていくのが判る。 「ハ…ア…ン…」 もう胸の先端が硬く尖り始めている。杏梨はかなり敏感な体質らしい。身体をずらし徐々に下へと移動させていく。交差させて胸を隠す腕をトントンと叩くと、理解したのか躊躇いながら手を降ろした。 指でもそうしたようにいきなり敏感な部分には触れず、形を確かめる様に、焦らす様に、ゆっくりと回りから先端へと…。痛々しい程に硬くなった乳首を指と舌で転がし、口に含んで軽く吸いあげると、杏梨の身体が跳ねる。 「ンン…ンフゥ…」 はしたない声をあげまいと手で抑えているようだ。 『イイよ。杏梨声を出しても』 杏梨の顔が真っ赤になる。 「チイ兄のイジワル・・・」 左手と口で乳房を、そして右手でふくらはぎから徐々に杏里の恥ずかしい部分へと愛撫する。 ギュッと脚を閉じようとするのを優しく征する。 『ダ・メ・・』 杏梨の秘唇はもうテロテロに濡れていた。先程とは違い、かなり粘度が濃い。本気で感じてくれているみたいだ。人差し指と薬指で拡げ、中指で溢れる愛液を掬い取る様に曲げた指先で肉芽を刺激する。 「ふわぁ…あふぅ…ひゃぅ…」 触れているのは【僕】だというだけで、安心感は有るのだろうが、その反面【僕】に見られている、触られている事実が杏梨の恥ずかしいという感情を掻き立てる。 体を入れ替え、爪先から付け根へとキスの雨を降らせる。 「え?ちょ…チイ兄!?そ…そこ駄目ッ!!」 杏梨の秘唇は蜜を溢れさせていて、舌ですくうと切なげな声をあげる。自己主張をする肉芽は少しでも触れてもらいたそうに、その体積を増していて、舌先で転がす度にどんどん溢れてくる粘り気を増した甘露と杏梨の感情。少し刺激が強いのか、僕の頭を押さえて動きを征しようとする。 「ふわぁ…チ…チイ兄、ま…待って。わ…私、へ…変…」 杏梨がもうすぐ絶頂に達しかけているのだと解った僕は動きを止める。 虚ろな眼で僕を見る杏梨…。 「チ…チイ兄ぃ…来て……」 杏梨の脚の間に身体を入れ、上に移動する。ジッと見詰める僕に対し杏梨は小さく頷く。 「…んっ!?」 亀頭が入り口に触れた瞬間、反射的に身を硬くする。 『大丈夫、力を抜いて…』 やはり怖いのかギュッと瞼を閉じている。シーツを握り締める手がより大きなシワを作り出す。 ズニュ… 少し奥へと進めたが、更に身を硬くしてしまう。 『杏梨、目を開けて僕を見て。そして僕を感じて…』 優しく頬を撫でる。恐る恐る瞼を開く杏梨に微笑みかけると少しだけ安心した様だ。 『僕が見える?まだ怖い?』 「ううん…でも何か恥ずかしいよ…ぁぁ…」 僕の背中に手を回し、はにかむ杏梨の膣へと腰を進める。 少しずつ少しずつゆっくりと奥へと…。亀頭が全部埋まった瞬間、杏梨は小さな吐息を漏らした。 1/5…1/4…1/3…僕が杏梨の中へと入っていく。 コツン… ようやく3/4が挿入った時点で、亀頭の先が何かに触れた。それは杏梨の一番奥…これ以上は無理だ。 「ぁん…チ…チイ兄、これって…」 『そう、ちゃんと挿入ったよ』 杏梨の膣内はとても熱く、幾重にも連なる襞が僕に絡み付いてくる。杏梨自身とは別にその一枚一枚がまるで意志を持っているかの様だ。 『大丈夫?』 「う…ん、怖くないよ、むしろ変な感じ…。何だか熱くて、ジンジンするの…」 何て表現したらいいのだろう…。淫らな聖女と悦びを知った少女とが交差する杏梨を…。 溶ろける様な眼差しで訴えてくる。 「ね…ねぇ…う…動いて…いい…よ」 『あ…ああ…』 ゆっくりと腰を抜き差しすると、一緒に杏梨の小陰唇が引っ張られ、その度に杏梨の中からエッチな液体が流れ出る。 「チ…チイ兄、も…もっと…もっとぉ…」 その声に促される様に僕のスピードが上がっていく。僕が動かすリズムに杏梨の声と腰がシンクロし始める。 やがて杏梨の膣内が急に縮み始める。イクのが近いらしく、急かす様に絡み付く肉襞が僕を高めていく。 「チ…チイ兄、へ…変だよ、何かが…何かがきちゃう。私…私、おかしくなっちゃう!」 『あ…杏梨ぃ…』 僕もそろそろ限界が近付き、トップギアに入った頃、突然杏梨が脚を腰の辺りで交差させ、僕を思いっきり抱き締めてきた。 「チイ兄…チイ兄…き、来て、お…お願い…」 『ば…馬鹿、脚を放…』 ドクッ… 「あ…ああ…ああん…」 身体と同じく肉襞が僕を締め付け、大きく仰け反ったかと思うと、ガクッと倒れ込んだ。 僕が膣内射精したのと同時にイッたようだ。ひとしきり射精し終わった後、やっと脚を解放した。 僕の精子が拡がっていくのと同じように、全身に幸福感を感じ、杏梨は恍惚としている。 『馬鹿、何であんな事したんだ。もし、万が一に…』 僕の台詞を杏梨の唇が遮る。
10/10/23 21:46
(J242Utdq)
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淡々タヌキの○○
◆5j8r7Z2at.
「大丈夫、今日は安全日だから、ちょっと残念だけどね…もし、出来ちゃったとしてもチイ兄なら…」
全く、無茶を言うなぁ。本来なら従兄妹同士でこんな事するのだって大問題なのに…。 ゆっくりと身体を起こすと、ニッコリ笑ってもう一つの僕にキスをする。 「有難う、チイ兄…」 まだ、ヒクヒクと雫を漏らす肉棒を愛おしそうに舐め吸い上げる。 「うふ…変な味…」 ちゅぽ… 射精後少し萎えかけていた僕が元気に戻ったのを確認すると、自らベッドを降り、手を差し伸べる。 「さぁ、香流の番だよ」 もう一人の従姉妹、香流はずっと僕と杏梨の行為を見ていたらしい。顔を真っ赤にして何かモジモジと脚を摺り合わせている。 「う…うん…」 杏梨が着けていたバスタオルを手に取ると、自分が座っていた場所に被せる様に置くと布団の中に入ってきた。何気なくバスタオルの方に目をやろうとすると、慌てて僕の顔を自分の方に向けさせる。 「ば…馬鹿、見るなよ」 僅かにバスタオルの隙間から覗いたシーツは少し変色している。どうやら杏梨とのエッチを見て自分でもシテいたらしい。 香流の顔をのぞき込むと頬を真っ赤にして視線を逸らす。 『さぁ、イイかい?香流…』 「いちいち聞くなよバカ、恥ずかしいじゃん」 パシッ 香流の手が僕の視界を塞ぐ様に頬を叩く。そっと手を退け、香流の頬にキスをする。 「ぁん…」 杏梨と同じく触れただけでピクッと反応するが、違う点と言えば恐怖に脅えている訳では無く、自慰行為によって過敏になっているからの様だ。 杏梨と同じようにゆっくりと時間をかけて触れ、全身にキスをする。乳首は少し小さめだが、若干濃いピンク色。一度杏梨として射精している為、僕自身にも反応を楽しむ余裕が出来ていた。 身体を動かす度にフワッと鼻を擽る香流の香り。化粧でもコロンでも無い香流自身のフェロモンみたいな物が僕を興奮させる。その香りが漂ってくる場所は勿論…。 「ひゃう…ん」 その発生源に手をやると既に洪水の様に愛液が溢れている。そっと掬い上げ、恥ずかしい液体を纏った指を香流の目の前に持っていく。 『ホラ、もうこんなになってるよ。何で…?』 ゆっくり指を開いていくとキラキラと光を反射しながらイヤらしい吊り橋を作る。それでなくとも上気だっている香流の顔が更に赤くなる。 「だから聞くなって!変態みたいだよ…ハァァ」 クスッと笑って香流の脚の間に身体を移動させる。眼前にテラテラと濡れた陰毛と秘裂が現れる。流石にアンダーヘアまでは染めてはいないらしい。綺麗なカラスの濡れ羽色だ。ぷっくとした肉丘がとても美味しそうに思えて思わず口を付ける。香流から溢れる泉の水は生暖かいイオン飲料みたいな味だ。 ピチャピチャ… ワザと聞こえる様に音をたてて舐めあげる。舌先を尖らせ秘孔に差し入れ動かすと僕の頭を挟み込む様に内腿を閉じてくる。 「ハゥ…チイ兄の意地悪、お…音なんかたて…ないで…」 刺激が強すぎるのか、羞恥に耐えられないのか、両手で僕の頭を押し退けようとする。 ビクッビクッと付け根に近い部分の筋肉が微妙に痙攣をいている。 『…香流』 僕の心の中を悟ったのか、小さく頷く。少し緊張してる気がするがこれだけ濡れているなら大丈夫か…? 「い…いいよ、チイ兄…」 香流に身体を重ね、秘唇に宛う。少し押し進めようとした瞬間、香流の変化に気付く。 濡れてない…。先程まであれほど溢れ出していた愛液が全く乾いてしまっている。少し刺激すればまたすぐに濡れてくるのだが、いざ挿入しようとすると瞬時に乾いてしまうんだ。 身体は反応していても心の一番奥が拒絶している。香流の心の傷は杏梨よりかなり深い様だ。男に挿入されるという事自体がトラウマになっているに違いない。考えあぐねた結果、僕は少し乱暴とも思える行動に出た。 「え…な…何?」 香流の背中に手を回す様に抱き寄せ、互いの身体を入れ替える。つまり僕が下で、香流が乗っている状態だ。 「な…何するの?」 突然の行動に香流は不安の色を隠せない。 『香流、自分で挿れてごらん』 「ば…馬鹿ッ!?そんな恥ずかしい事出来な…」 これ以上ない程に顔を染めた香流だったが、途中まで出かけた言葉を飲み込み、大きく深呼吸をする。 「分かったよ、チイ兄」 体を起こし、僕の腰の上に座る。香流の性格を考えれば無理して挿入させかねない。まずはペニスが当たる事に慣れさせる方が良いだろうと思う。僕はいきり勃つ男根を押さえ込む様にして座り、前後に動く様に指示した。つまり下世話な言い方をすれば、ドテ素股という事だ。 「う…うん」 恐る恐る僕のモノに触れ、腰を下ろす。ペニスが香流の襞に包まれた瞬間、思わず声を漏らす。 「あ…熱い。凄く…」 ゆっくりと前後させ始めると香流の中から熱い愛液が溢れ始める。包皮から顔を覗かせる程勃起したクリトリスが僕に擦れる度に身体に電撃が走り、香流の中の【雌】を呼び起こし始める。 「ハァ…ハァ…ハァ…、チイ兄、な…何これ?何なの…俺変だよ。こ…腰が勝手にぃ…」 香流の愛液は僕のお尻を流れ、シーツを濡らす程溢れ出している。これならもう大丈夫かもしれない。 『さぁ、挿れて…香流。僕も香流が欲しい』 「…うん。キャンッ!?」 腰を上げた瞬間、跳ね上がったペニスが香流の敏感な突起を打った。 「じゃ…じゃあ挿れる…ね」 手を添え、泉溢れる秘唇に亀頭を宛ったまま固まってしまう。 「や…やっぱり怖い。怖いよ、チイ兄。ど…どうしよう…チイ兄…」 『…香流』 瞳から大粒の涙が流れる香流の手を杏梨が優しくそっと包む。 「大丈夫、チイ兄は優しいよ。抱いて貰った私が言うんだもん。私としてるのを見てたでしょ」 杏梨が香流に唇を重ねる。 「…ン」 「さあ、チイ兄を信じて」 コクンと頷くと僕を見詰め、消え入りそうな声ですがる。 「チイ兄、お願い。俺の事【好き】って言って。そしたら俺怖くないから、頑張れるから」 『ああ、好きだよ香流。大好きだ』 ゆっくりと腰を下ろそうとする香流に向かい、魔法の呪文を繰り返す。 ジュプ…ジュプ…といやらしい音をたてながら香流の膣内へと飲み込まれていく。 「あ…ああ…チイ兄…チイ兄ぃ…」 香流の一番奥に辿り着いた瞬間、ハフゥ…と色っぽい吐息を漏らす。 「は…挿った…挿ったよ、チイ兄」 『ああ、ちゃんと挿ったよ、香流』 僕の視線が二人の結合部分に有ると気付いた香流は、慌ててその部分を手で覆った。 「見るな!馬鹿ぁ」 『アハハ…ゴメン。さ、今度は上下に動いてみせて。僕を感じさせて』 「…うん」
10/10/23 21:47
(J242Utdq)
投稿者:
淡々タヌキの○○
◆5j8r7Z2at.
そうっと雁首ギリギリまで引き抜くと綺麗なピンク色の襞が捲れ出るのが見えた。香流の漏らす切ない声と共に腰の動きが早くなっていく。出し入れを繰り返す度に陰茎には細かい泡となった愛液が溢れ、卑猥な音が室内に響く。その音に興奮した香流の眼は虚ろになっていく。 「ハァァ…き…気持ちいい。気持ちいいよ、チイ兄ぃ」 ギュウっと締め付ける香流の肉襞。膣内に有る少しザラッとした部分が亀頭を擦り、杏梨とはまた違った快感が僕を襲う。 「止まらない、止まらないよ、チイ兄」 僕も香流の動きに合わせる様に下から腰を突き上げる。無意識の内に香流は上下だけではなく、前後や円を描く様に動き出している。 「あふぅ…ち…チイ兄、俺…俺イク。イッちゃう、イッちゃうよぉ」 陰嚢から走る集束感。僕も射精が近い。 「か…香流、僕も…僕もイキそうだ。ど…退いてくれ、早く!」 「イヤッ!俺も、俺も欲しい。チイ兄のを…膣内(なか)に…膣内に出してぇ!」 僕の肩を押さえ付け、より一層締め付けを強くし、激しく腰を振る。 「イ…イク…イッちゃう!!」 ドクッ!ドクッ! 香流がイクと同時に僕も膣内に思い切り射精してしまった。 ガックリと倒れ込んだ香流は僕を抱き締めたまま、まだ腰を動かしていた。まるで余韻を惜しむかの様に。 満足げに僕のを抜くと右側に寝転がった。 疲れた二人は互いに僕の横で腕を抱き締め横になっている。ただ何故か片方の手は僕の股間に有るのだけど。 「ねえ、チイ兄…もう一回しようか?」 頭をすり寄せてきた香流が身元で囁く。 「あ~ッ!!ズルい。今度は私の番だよ」 「最初にチイ兄とするのを譲ってあげたじゃん」 「そんなの関係ないよ。それに香流の方が時間長かったよ!」 「そんな事無い!」 「有る!」 「無い!」 正に一触即発の様だ。掴み合いのケンカ寸前の二人を止めるにはこれしか無いか…。 『解ったよ。これなら良いだろう?』 抱き合ったままの二人を一緒に押し倒し、脚の間に割り込む。 「えぇ?な…何するの、チイ兄…」 「ちょ…ちょっと待って…」 二人の言葉が言い終わらない内に散々さわられて硬さを取り戻した陰茎を秘唇に差し込んだ。 「きゃふッ?!」 まずは杏梨だ。 「チイ兄俺にもぉ」 上になっている香流がお尻を振ってアピールする。 「あっ!チイ兄まだ抜いちゃ駄目ぇ」 交互に出し入れを繰り返し、二人同時に愛する。いつの間にか二人はどちらからと無く唇を重ねていた。 それから僕は順番に二人と何度も色々な体位でSEXをした。獣達にとらされたであろうポーズを打ち消す様に…。二人の悪夢を浄化する為に…。 タン…タン…タン… 何か飲み物でもとリビングに降りる。杏梨と香流は散々僕との行為を楽しんだ後、天使の笑顔で眠りに就いている。二人ともしっかりと僕に抱きついていて、起こさない様にベッドを出るのに一苦労だった。 …あれ? リビングの扉から光が漏れている。どちらかが消し忘れていたのだろう。 ライトを消そうとスイッチを探していると、人の気配がする。 『…誰?』 座っていたのは叔父さん達だった。当然といえば当然だ、ここは叔父の家で祭りの打ち上げが終わって帰った来ていたのだ。…という事は杏梨達との事が……。内心冷や汗がダラダラと流れるが、叔父さんの口から出たのは意外な台詞だった。 「済まなかったな…娘達の我儘を聞いてくれて」 やはり気付いている様だ。てっきり叔父さんに殺されるかと思ったけど、様子が違うみたい。 「あの娘達が本当に未来に進む為には、どうしても通らねばならない事だったのよ」 「娘達自身が決めた事だ、その相手がお前なら文句は無い」 叔父さん達の口振りからすると逆にこうなる事を望んでさえいた様にも思える。 「まあ、飲め…」 叔父さんがグラスを差し出し、叔母さんがビールを傾ける。 叔母さんはニッコリと笑っていたが、叔父さんは僕から視線を逸らし気味だった。 『…ハイ』 戸惑いながらも僕を受け入れてくれた叔父さん達。その時僕は不思議な暖かさの中にいた。 ・・・・・・・
10/10/23 21:48
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淡々タヌキの○○
◆5j8r7Z2at.
トゥルルルルル… 《5番ホームより○○方面××行きの列車が発車いたします》 翌日、僕は大学へと帰る駅のホームに立っていた。あの後叔父さんは何も言わずに僕の頭を撫でた。昔、僕が転んで泣いていた時と同じ様に。もしかしたら叔父さん達には僕の心の中が解っていたのかもしれない。 「チイ兄、本当に帰っちゃうの?寂しいな…」 叔父さん達の代わりに香流達が見送りに来てくれた。二人ともデニムのジャケットにミニ丈のフレアスカートと、服装こそ派手目のままだが、ナチュラルメイクで、香流にいたっては髪を黒くしていた。 『ああ、これ以上欠席するとマジに留年しちゃうからな』 「チェッ、情けないなぁ」 左右に陣取った二人の笑顔はこの上なく明るかった。 「何なら…さ、このままアタシ達を拉致ってくれてもイイんだけど?」 香流が嘘とも本音ともつかない冗談を言う。 『駄目だよ、そんな事したら今度は本当に叔父さんに殺されちゃうよ』 見た目だけが変わったのでは無く、彼女達は本当に未来(夢)に進める様になったのだろう。 香流の【俺】から【アタシ】へと、少し女の子っぽい口調に変わり始めている事でも心境の変化が有ったのが判る。 向こうのホームへと続く高架橋の階段を上がると、先に進んでいる杏梨達のスカートの中が見えた。 香流は黒のレースで、杏梨はピンク色か。色は違うが、同じデザインのTバックだ。 階段を降りようとした瞬間、いきなり杏梨が叫ぶ。 覗いてたのがバレたのかな? 「あーっ、そうだ!チイ兄、ちょっと待ってて。香流、ホラ…行こう」 一瞬だけボケッとした顔の香流の手を掴み、向こうの階段へと消えていった。 目で追うと二人はトイレへの中へと入っていった様だ。 「ハハ…やっぱり女の子だな…」 妙に納得し、笑みが零れてしまった。 《まもなく3番ホームに○□方面行きの列車が参ります。白線の内側まで……》 アナウンスが聞こえてくる。僕が乗らなければいけない電車だ。まだ、杏梨達は帰ってこない。 「香流、早く!早くっ!!」 「ちょっと、待って!これじゃ走れないって」 階段の向こうから元気な声が聞こえてくる。 「ハァ…ハァ…ご免…チイ兄、お待たせ…」 「ハイ、これ私達からのお土産」 余程急いで走って来たのだろう、二人とも顔が赤い。少し息が荒く、何故か妙に色っぽい。 だが、差し出された袋はそこら辺のコンビニや売店では売ってない可愛いリボン付きの紙袋。てっきり饅頭でも買ってくるのかと思ってた。 『あ…有難う、中身は何?』 袋を開けようとすると、慌てて止める。 「まだ開けちゃ駄目ッ!私達の【愛情】たっぷり入ってるんだからね」 「そうそう。でも温かい内にどうぞ!」 頬をくっつける様にして笑う二人。 温かい内に…?という事は食べ物なのか?それにしては妙に軽いしクッキーにしては固くもない。 袋に気が行っていた僕は、その時杏梨の耳がピクピクと動いていたのに気付かなかった。 《2番線ホームに列車が通過いたします。白線の内側までお下がり下さい》 ファウーン 「きゃあッ!?」×2 列車が通過する際の突風でスカートの裾が捲れそうになるのを慌てて押さえる。何だか可愛いと思ってしまった。 「…見た?」 真っ赤な顔でジーっと僕を睨んでいる。 『いや、残念ながら…』 二人はホッとした様に胸を撫で下ろした。 トゥルルルルル… 僕が乗る列車の発車を促すベルが鳴る。慌ててタラップに駆け上がる。 「あ…あのねチイ兄、私達チイ兄が…」 プッシュゥ… 二人の台詞をドアが遮る、ガラスの向こうで動く唇は何を告げようとしていたのだろう? 席の網棚に荷物を載せ、窓を開ける。ゆっくりと動き出す、大学の有る街行きの列車。同じスピードで歩き出す香流達。 『さっき何て言ったんだぁ?』 「何でもないよ!また来いよな、チイ兄」 「きっとだよぉ」 あっという間に僕達の距離を拡げていく車輪。大きく手を振る二人の姿が小さくなっていく。 「行っちゃたね…」 「うん…でもチイ兄なら大丈夫だよ、きっと…」 互いの手を握り、支え合う様に抱き合った。 フウ…。 ため息を吐き、車窓から流れ消えていく景色を眺める。来る時にはあまり気にしていなかったが、幾分か山の色が赤みを増している。 「ここにも未来に向かって時間が流れているんだな…」 そんな事を呟きながら、僕は杏梨達の事を考えていた。きっと二人は立ち直ってくれたに違いない。これからは自分達の未来(夢)に向かい進んでいくのだろう。僕も時間は流れている。だから未来に向かって進んでいける筈だ。いや、進むんだ。今度二人に会った時にとびっきりの僕を見せられる様に…。 ーエピローグー ガタン! カサッ… 車両が揺れた瞬間、網棚から何かが落ちてきた。 別れ際に杏梨達がくれた【お土産】の紙袋…。軽いので頭に当たっても痛くない。 『そういえば「温かい内にどうぞ」って言ってたっけ、一体何を…』 ガサッ 紙袋のシールを剥がし、中身を取り出す。 『うわあっ!?』 慌てて紙袋から出てきた物を隠す。突然大声を上げた僕を周りの乗客が怪訝そうな顔で見詰めている。 『す…スミマセン…』 周りに見えない様に背中で隠しながら壁に向かってもう一度中身を取り出す。 『あ…アイツ等何て物を…』 袋の中身それは女性物のショーツだった。しかも何気に温かい上にこのデザインは見覚えが有る…。 ああっ!?確かさっき階段で見た…。という事はこれはさっきまで穿いてたやつで、今の二人はノー…? 思わずまた叫び声をあげそうになる口を抑えようと手を口元に持っていくと当然だがショーツまでついてきた。 あ…香流と杏梨の匂いがする。…じゃなくて、あの悪戯娘達め…。怒りながらも顔は微笑んでいる僕がいた。 ショーツを袋に戻そうとした時、まだ何かが入っているのに気が付いた。 それはアッカンベーやVサインを決めた香流・杏梨の二人が胸を露わにしたツーショットのプリクラだった。 そしてそのプリクラには可愛い従姉妹達からのメッセージが綴られていた。 【頑張れ!チイ兄。大好きだよ!!】と…。 -END-
10/10/23 21:50
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