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祖母・昭子   最終章   2
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:SM・調教 官能小説   
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1:祖母・昭子   最終章   2
投稿者: 雄一
「もう、決めたんだからね!」
 こちらが何もいわないうちに、紀子が強く思いを込めた口調で、僕の背中に向けて言葉
を投げつけてきた。
 振り返って紀子の顔を見ると、切れ長の目の端を吊り上げて、僕に何の反論も許さない
という強い意思を訴えているようで、つんと尖った鼻からの息も荒そうだった。
 その視線の意外な強さに、僕は少したじろいでしまい、
 「あ、ああ、そうかい」
 と思わず首を頷かせてしまっていた。
 「お夕飯も、雄ちゃん、作れないでしょ」
 気持ちの切り替えの早い紀子は、そういって早足で僕の横をすたすたと追い越していった。
 家に帰っても、紀子は公園での話など忘れたかのように、祖母が朝に干していった洗濯物
を取り込んで畳んだり、庭先の枯草を竹箒ではいたりと動き廻っていた。
 僕は居間にだらしなく寝転んでテレビを観ていたが、紀子が休まず動いているのは、やは
り公園での話が頭に残っていて、それを紛らわさせるのに、ばたついているのだと思い、あ
まりかまうことはしなかった。
 学校では陸上競技の花形選手で、男子生徒の間でもマドンナ扱いされている紀子に、これ
ほどの甲斐甲斐しさがあるのは、僕にも少し意外だった。
 いつだったか紀子が、
 「将来は貧しく細やかでも、好きな人とつつましく楽しく生きていけたらいいの」
 と呟いたことがあり、その後で、雄ちゃんみたいな怠け者は対象外、と釘を刺されたこと
があった。
 「雄ちゃん、お夕飯の買い物行こ」
 手の甲で額の汗をぬぐいながら、僕の前に座り込んで座り込んできた紀子に、
 「一人で行けない?」
 と抵抗の言葉をいったが、結局はいう通りにさせられ、坂道を下りる羽目になった。
 案の定、雑貨屋の叔父さんには、よう、新婚さんいらっしゃいなどと冷やかされて帰って
きたが、紀子は妙に真に受けて、私って、結構大人に見えるのかな?といい気になっていた。
 帰り道の途中で、紀子は自宅の母に、友達の家で泊っていくのでと、嘘の連絡をしていた。
 夫婦間の重く暗い事情もあってか、母親からの細かな追及もないようだった。
 夕食はキムチ鍋だった。
 因みに夕食の食材費は、僕が払わされた。
 外はすっかり夜になっていて、鈴虫の鳴き声がたまに聞こえるだけで、田舎の静寂が僕と
紀子しかいないこの家を包み込んでいた。
 二人で居間で見るともなしにテレビを観ていたのだが、夕食の時までは声を弾ませていた
紀子が急に無口になっていた。
 また両親のことを思い出したのかと思っていたら、違っていた。
 就寝のことを考えていたのだ。
 「…田舎って、静かなのね」
 いきなりしんみりした声で、紀子がいってきた。
 「静かなのはどこでも一緒だろ」
 「田舎の静けさってね、空から降ってきて包み込むって感じしない?」
 「何、詩人ぶってんだよ。静かなのが怖いのか?」
 「あなたってデリカシーないわね」
 風呂は僕が先に入って、紀子にも入れというと、妙にもじもじしてるので聞いてみると、泊
まる用意してきてないから入らないと、誰かに拗ねるようにいってきた。
 「世話のかかる奴だな。だから帰ったらよかったんだよ」
 「私は帰らないといったけど、雄ちゃんは私に帰れとは一回もいってない」
 「そりゃ、お前のあの時の、剣幕がすごかったから」
 そういい残して、僕は祖母の室に紀子用の布団を敷きにいった。
 祖母の箪笥を開けて、紀子の着るものを探したら、来客用と思える寝巻が整理されて置いて
あったので、それを持って室を出て居間に戻ると、彼女は座卓の前でまだ妙にそわそわしと落
ち着かなさげに、無意識のように手を握ったり開いたりしてた。
 「何そわついてんだよ。これ寝巻な」
 「ありがと、やっぱりお風呂入ってくる」
 紀子は渡された寝巻を抱え込んで、浴室のほうに立っていった。
 この時僕は気づいた。
 紀子は僕と二人きりで一軒家に寝ることになったことに、今頃になって妙に緊張しているの
かも知れないと思ったのだ。
 こういうことが初めての体験なら、そうなのかも知れないと、僕は一人で顔を緩ませ笑みを
浮かべた。
 もう一つ自分自身のことでも、気づいたことがあった。
 この夏休み以降の僕なら、紀子ではないが、女性と一軒家で夜を過ごすというこ
意識し、まず最初に湧いてくる淫猥性に満ちた欲情という感覚が、どういうわけなのか、微塵
も湧き上がってこないのだ。
 これは僕にとっては驚嘆の事象だった。
 紀子に女性としての魅力を感じないというのでは、当然にない。
 正直にいうと、どうしようもないくらいに、僕は紀子のことが好きだ。
 どこがというのではない。
 彼女の全部が好きなのだ。
 夏休みからの二ヶ月足らずの間に、たかだか十六という若年の身ながら、祖母を含めて何人
かの女性と僕は知り合い、ほとんどが本能剥き出しの思いで、男女の深い関係を持ってきて、
今もそのどれもを断ち切れずに、正しく本能と欲情の赴くままにだらだらと続けている。
 それぞれの女性にそれぞれの良さがあるから、僕はそうしているのであって、社会通念上の
良識などというものは考えないことにしている。
 血の繋がる祖母とのことでも、僕には不浄な思いなど微塵も感じていないのだ。
 それでいて、紀子といる時は、十六歳の少年と少女になって、汚れも何もない純粋な交流が
続いていて、僕自身でいえば、彼女といる時は、小煩くてどうしようもないと思いながら、心
のどこかがひどく安心できているのだった。
 つまりは僕という人間の、二面性の顕著な事象がこれなのだった。
 テレビのチャンネルスイッチを弄っていたら、公共放送で古い洋楽の特集をしていて、あま
り上手くもない日本人歌手が、自分で自分に酔ったような声で、聞き覚えのある歌を唄ってい
た。
 確かサイモンとガーファンクルとかいう二人が唄っている、「明日に架ける橋」で、僕の父
親が鼻歌で唄っていたのが気に入って、スマホで聴いて僕も好きになった楽曲だ。
 テレビ画面の歌手は気に入らなかったが、メロディーが好きなので僕も思わず鼻歌で口ずさ
んでいたら、風呂から出た紀子が居間に戻ってきた。
 「あ、この歌、私も好き。雄ちゃんも好きだったよね?」
 そういって濡れた長い髪をバスタオルで拭きながら、紺地に花柄模様の入った浴衣姿で、寝
転んでいた僕の真横に座り込んできた。
 石槌かシャンプーの匂いが、僕の鼻先を擽ってきていた。
 「この歌の意味、どういうのか知ってる?」
 紀子が聞いてきた。
 「知らないよ。俺はメロディーが好きなの」
 「つらい時がきて、友達が見つからない時、僕は君の味方っていう歌だよ」
 「ああそう」
 僕は本当に歌の意味は知らなかったが、
 「よかったな、お前、俺がいて」
 とすぐに返してやった。
 しょってるとか、自惚れてるとかの反論があると思ってたら、
 「うん…」
 と思いも寄らず素直な声が返ってきたので、僕は少し拍子抜けして、次の言葉が続かなかっ
た。
 夜もすっかり更けてきたので、
 「寝るか?」
 とさりげなくいって、座卓の前から立ち上がった。
 会話はなくてももっとここにいたそうだった紀子は、渋々という感じで立ち祖母の寝室に、
少し項垂れるような表情で歩いていった。
 その後ろ姿を見て、
 「お前、背高いから浴衣の丈、少し短いな」
 冗談口でそういって、僕は自分専用の室に入った。
 この時も、僕は全くの普通の十六の少年の気持ちだった。
 好きだという思いは変わらずにあったが、紀子を抱きたいとかいう、不埒で邪悪な思いと
いうのが、まるで湧いてきてはいなかった。
 布団に入って十分ほどスマホを弄ったりしていたが、眠たくなったので、スタンドの灯り
を消そうとした時だった。
 入口の戸の向こう側で、人の足音のような気配がした。
 この家に今、いる人間は僕と紀子の二人だけだ。
 顔を上げて入口のほうに目を向けた時、紀子の不安げな声が戸の向こう側から聞こえてき
た。
 「どうした?」
 と不信げに聞く僕に、
 「入っていい?」
 普段の紀子とは似合わないような、弱々しげな声が返ってきた。
 僕は布団の上で上体を起こして、
 「いいよ、入れよ」
 女の子が寝るに際して、何か困ったことでも起きたのかと思い、優しい声でいってやると、
戸がゆっくりと開いて、丈の短い浴衣姿の細い身体が、足を忍ばせるようにして入ってきた。
 何故か両手で胸に枕を抱きしめていた。
 「何だよ、お前」
 薄暗いスタンドの灯りの中で、僕の顔を見て安心したように薄笑みを見せて、いきなり僕
の真ん前に滑り込むように座り込んできた。
 「静かすぎて、怖くて眠れない」
 小学校の低学年の子供が、親に甘えて訴えるような目でいいながら僕を見つめてきた。
 「な、何、子供みたいなこといってんだよ、お前」
 予想もしていなかった突飛な申し出に、僕のほうが泡を食ってしまい、声を詰まらせなが
ら紀子を見ると、両手で胸に抱えた白い枕が最初に目に入った。
 「い、一緒にって、お前、ここに寝るっていうの?」
 「そう…」
 もう自分で決め込んだような口調でいいながら、少し不安げな眼差しで、胸の枕をもう一
度抱き締め直していた。
 「お前さ、自分が今、何いってんのかわかってるのか?…」 
   


 

 
 
 
 
 
 
 

 
 
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2023/05/08 09:38:20(Z0bYU42k)
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