2つ離れた兄の友人・隆太のことを異性として意識しはじめたのはいつのことだろう。
中学、高校と兄と同じサッカー部だったこともあって、よく家に遊びに来ていたし、また隆太の家が父がおらず、看護師の母が忙しいこともあって、美奈子と駿と千晶、隆太とでディズニーリゾートに泊まりで遊びに行ったこともあった。
中学では、成績もよかったため、いじめられることはなかったが、読書やアニメなどを好むクラス内でも大人しいグループに属し、余り男子と接点もなかった千晶にとって、兄や父を除いては、唯一の心開いて打ち解けられる異性であり、隆太もまた妹のように可愛がってくれた。
そんななか、兄の友人ではなく、一人の憧れの男性として見るようになっていたのは自然だった。
高3の夏が過ぎ、サッカー部を引退し、受験勉強が忙しくなったためか、隆太が家に来ることも少なくなり、その後、兄が東京の大学に進学すると、隆太と会うことはなくなった。
兄たちの進学とともに自分も高校に入学はしたが、心の中に穴が空いたまま毎日を過ごしていた。
隆太と再会したのは、高校に入学して半年ほど経った頃である。
母から県内の大学の教育学部に合格したとは聞いていたので、もしかしたらどこかで逢えるのではという期待はあった。