２０２１年秋、日本はコロナ禍を克服し、その反動で人恋しくなった日本人は全般的に「蜜」志向に向かっていた。またそれを後押しするように「少子化」を問題視する流れができていた。特に問題視されたのは若者のセックス離れだ。

俺は50代のサラリーマン。40歳のころから男性ヌードモデル、AV俳優など、こっそり副業をやってる。ご察しの通り露出狂だからだ。特に「女性向け」と言われるAVでは断トツのトップ男優。強みは甘いルックスと鍛えぬいた肉体とバキバキの勃起チンポ。米国のポルノサイトでも活動しており、俺の無修正ヌード見たさで日本人女性の登録も１００万人を超えている。

「女性向け」AVはニッチで一般的には知られていないしマスメディアでとりあげられることもない。女性ファンも知ってて知らないふりをするから、俺が有名なAV男優だなんて周りの誰も知らない。

いや厳密には誰も知らないわけではなく、膨大な女性ファンは俺を一目見た瞬間に有名AV男優「栗田クルス」と見抜く。会社にも数名、俺のファンがいるが、決して俺を話題にしない。そうした瞬間にAVファンであることがすぐばれるからだ。

そんなわけで俺にとってAV男優は快適な副業になっていた。しかしある日、コーセー省少子化対策課と名乗る女性の電話を受け、俺の人生が音を立てて、変わり始める。

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