東京にある私立の中高一貫の女子校。2月のバレンタインデーだけど、あたしたちは、女子ふたりで地下鉄をまってる。共学校の女子とはちょっと違う。
「ふたりでどこか行くの?」後ろから白いマフラーをしたひとみ先輩の声。「いいえ、帰りです。」高等部2年生の先輩は中等部2年生のあたしたちと比べるとずっと大人だ。「この間、お菓子の差し入れ、ありがとうございました。お菓子のおかげで話がはずんじゃって、ね、真吉備。」佐江があたしに同意を求める。「うん、お金、使わせちゃった。」「いいよ、バイトしてるし。」「高校生はいいですよね、バイトできるし。」「羨ましいよね、佐江。」「う~ん、佐江たち、けっこうかわいいから、私がやってる仕事、紹介しようか?」「えっ?中学生でも大丈夫なんですか?」「今から、私、渋谷に行くけど一緒においでよ」