視界は全くない。
腕は椅子の背もたれを挟んで後ろ手に拘束されて動けない。
言葉を発したいが口は黒く丸く所々に孔の空いた枷で塞がれている。
呼吸をすると孔を通して奇妙な音が鳴り、吐き出した息に混じって口の中に溜まった唾液が飛沫する。
「早織、ありがとう。とても素敵だ。」
耳元で優しく囁かれ、彼女は軽く頷く。
そして声の主は後ろに立ち両肩にそっと手を乗せ、ゆっくりと胸へと這わせていった。
乳首には触れないよう指の腹だけで乳房を撫で回す。
「ぉ…ぅ……。」
枷で開ききった口からなんとも情けない声が漏れ、微かにでも感じる度にその情けない声と共に口内で貯水された唾液が枷と唇の隙間から溢れてくる。
"あぁ…これが夫の……誠一の望んだ交わり方なんだ…。ずっと私に言い出せず抑え続けてきた本当の彼なんだ……"