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官能小説家の憂鬱
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ノンジャンル 官能小説   
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1:官能小説家の憂鬱
投稿者: ぽんぽこ ◆e.YwbpOdo.
私の書斎は、常に薄闇に沈んでいる。

厚手のカーテンは外の光を遮り、薄ぼんやりとした電球の灯のみが、古びた机と埃をかぶった書棚、そして私の指先に馴染んだ古いタイプライターを照らしている。

この閉ざされた空間こそが、私の真の王国であり、私の歪んだ魂の棲み処だ。ここに生き、ここでのみ、私は本当の自分として呼吸している。


皆さんは、サキュバス、あるいはインキュバスをご存知だろうか。夜ごと人の夢に忍び寄り、甘美な誘惑で快楽を与えて、その精を啜る淫靡な悪魔である。

カトリックは快楽を伴う性を罪と断じ、子作りの為に性を営む。それを神の教えとし、快楽を求める享楽的なセックスを悪魔の囁きに同一視して禁じる。

けれど私にとって、性とはまさしく悦楽の沼であり、神にも等しい至福の源泉だった。むせ返るような甘い毒に堕ちること。寧ろそれこそが、今の私の生きる意味だ。



私は、地方の山村に代々続く、名主の当主を勤める男で齢は既に四十七を数える。

友と呼べる人間はおらず、屋敷に籠もって執務に追われる。外に出て関わる人間と言えば、政治と金、と利権を求める者ばかりだ。

随分年下の妻が居るが、私に畏れを抱く彼女と、屋敷内で顔を合わせる事は殆ど無い。

だが、私にとってそれらの事は全てどうでもよく、些末な話だ。私の生は決して世俗の表面にはない。この薄明かりの籠もる書斎の奥こそ、私のすべてであり、私の真の姿で居られる場所だからだ。ここには、誰よりも美しい、私だけの為に存在する女と共に居られる。


彼女の名は、一美。
私の意識に住まう、私だけに見える存在だ。

しかし彼女は、単なる架空の存在と呼ぶには、あまりに生々しく、あまりに濃密な実在感を纏っている。

四十七歳、私と同じ歳月を生きる女。いつからか、気付いた時には既に私の傍にあった。

髪の一筋、肌の質感、微かな体温まで、私はそのすべてを脳内に完璧に描き出している。彼女は、食べ、笑い、私と愛を交わし、声をあげる。完全なる私だけの秘宝だ。


一美は優しく、自らの意思で私に付き従う。決して私に逆らわず、私を見捨てない。私の命令にはどんな倒錯も、どんな陵辱も、彼女は愛と服従を込めて受け入れる。

そして何よりも、その黒曜石のような瞳は、常に私ひとりだけを映している。彼女の唇は私の名を囁くためにあり、その指は私のために肌を濡らすのだ。


私の綴る官能小説は、すべて私が目にした彼女の記録である。彼女の肉体の微細な動き、吐息の温度、甘くくぐもった喘ぎ声。

私は彼女とのやり取りやその感触を事細かに逐一脳裏に焼き付け、彼女の存在を形に残し記録するかのように、タイプライターのキーを叩き、紙に刻みつける。

それこそが、私の彼女への愛情表現であり、至高の悦びである。


では、その一端を、あなたにも垣間見せよう。


私が心の内で名を呼ぶと、薄闇の書斎にふわりと、一美が現れる。薄手のワンピースに包まれ、静かに私を見つめるその瞳は、いつものように深い慈愛と服従の光を湛えていた。


「孝宏」


その甘く湿った声。私が彼女を呼び出した瞬間、彼女は既に私の望みを悟り、柔らかい笑みを湛えている。


「ここに来なさい」


命じると、一美は私の前に静かに立った。わずか数歩の距離に、その吐息すら私の耳朶をくすぐるかのように感じる。私は一美に静かに告げた。


「その服を脱ぎなさい」


一美は俯き、躊躇いに震えた手を動かす。ワンピースの裾に指をかけ、ゆるやかに、その生地を滑らせてゆく。

先ず露わになる肩口の稜線、乳白色の肌に鎖骨の陰影が浮かぶ。控えめに身体を覆う下着。薄暗がりの中、淡く浮かび上がるその胸元は汗ばみ、まるで絹を滑らせたように柔らかく、誘うように息づいていた。


そして一美は手を後ろに回し、ブラジャーを外す。豊満な胸が重力に引かれ、わずかに垂れ、その頂点に暗い薄紅色の乳首が硬くそそり立ち、凹凸がある大きめの乳輪が丸く囲んでいる。その光景を、私は永遠にも似た静寂の中で凝視した。


「さあ。ショーツも脱いで」

彼女は訴え掛けるような目で私を一瞥し、逡巡の後にショーツの縁に手を掛ける。

恥じらいながらゆっくりと下ろした薄布の下から、黒く繁る陰毛が露わになり、その奥に繋がる陰裂は、一美の興奮を表すかの様に既ラビアが開き、密やかに紅潮した秘肉が顔を覗かせる。

薄暗い灯りの中、濡れそぼったその陰裂は仄かに光を反射し、淫靡な香気すら漂わせるようだ。


「私によく見える様に座りなさい」


一美は、言われるままにベッドの縁に座り、太腿を静かに開く。一美は指を添えてその秘裂を更に開くと、色素沈着した陰唇に縁取られた陰肉が花弁のように息づいている。開いた膣口が時折ピクリと蠢き、一美が欲しているのが見て取れる。

私は、それを飽くことなく凝視しながら命じる。



「自慰をして逝ところを、見せなさい」

冷徹な声で。彼女は即座に従い、指先を濡れそぼった秘裂へ這わせる。甘く艶めく粘膜を開き、その奥を指で掻き混ぜるように動かし、愛液に塗れた指の潤滑でクリトリスを捏ねる。


「ああ……孝宏……」


か細い声が漏れ、次第に吐息は熱を帯び、身体が小さく震え始める。そのたびに、私の悦楽も高まる。指の動きが速まり、愛液が溢れ、艶やかに濡れた太腿を伝い落ちる。

薄暗い書斎に湿った音を響かせ、甘い喘ぎ声を濡らしながら、快楽と苦痛の境をさまよう視線を私に投げながらも、その指は止まらない。


「もっとだ、もっと奥を……その穢らわしい欲を私に見せろ」


私は命じ、一美はさらに指を深く挿し入れ、陰裂から響く湿った音は一層大きくなる。


「あっ!!あああっ!」

身体が大きく仰け反り、額には汗が滲む。私に向ける蕩けた瞳の奥には、私への愛と、抗うことのできぬ服従の炎が灯っていた。指は一本から、二本、三本に増え、動きが激しさを増していく。やがて彼女の腰が跳ね、全身が硬直する。


「あぁっ……う、うぅっ……!」


短くも甘美な絶叫が、薄闇の書斎に響いた。爪先を真っ直ぐに伸ばした一美の身体は何度も強く弓形に反り返り、一美は苦しそうな呻きを漏らす。

「あぐうっ…うっ…」

緊張から一転し、汗に濡れ桜色に上気した肢体はぐったりと脱力し、余韻に浸るように暫く痙攣を繰り返した。


私はその姿を逐一観察し、詳細に脳裏に焼き付けながら、己の内なる歪んだ欲望が満たされるのを感じた。


私は、この世界で最も愛する彼女を辱め、貶め、尊厳を蹂躙することで、己の性を確認する。そしてその醜悪な悦びを、私は文字に写し取り、物語という名の檻に閉じ込めた。



ああ、私は何と罪深き男か。だが、この罪こそが、私に生を実感させる唯一の糧なのだろう。

 
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2025/06/16 08:27:05(HQshCu6f)
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