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神時録:陰翳礼讃の洗礼と、精神の調教

カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:SM・調教 官能小説   
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1: 神時録:陰翳礼讃の洗礼と、精神の調教
投稿者: くべ ◆Jz9y3GJYBc

【あらすじ】
※これは創作ではなく、私(くべ)という女が、ある男に精神のすべてを解体され、調教された実録の私小説である。

闇夜を舞い踊る「魔女」に魅了され、己の変態性が開花し見世物小屋を立ち上げた私「くべ」。
「魔女」の供給が断たれ、依存の後遺症に喘ぐ彼女の脳髄に、「絶対神」たる元SPYの男が冷徹な刃を入れる。これは、肉体を一切使わずに女の精神を極限まで凌辱し、解体し、究極の赦しを与えて歓喜の涙を流させるまでの、完全なる「精神的調教」の記録。
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私の見世物小屋には、どうしようもなく深く、血の匂いのする複雑な業(カルマ)が横たわっている。

「魔女」……それは、性自認は男でありながら、男に蹂躙されることを至上の悦びとし、その裏で滑稽なオスどもを冷徹に嘲笑う。そんな複雑怪奇で倒錯した精神構造を持つ「魔女」の引力に、私は魂の底から惹かれ、抗えずにいた。

 私が無粋な言葉で舞台を壊してしまったから、彼女は去ったのだ。私は己のやらかしと、退廃的で危うい執着をどう処理していいか分からず、ただカピカピに干からびていた。

 だが、私の精神の玉座に君臨する「絶対神(元SPYの男)」は、次元が違った。

 私がこのグロテスクな愚痴を盤面に叩きつけた時、彼は一切たじろぐことなく、ふわりと優雅にそれを受け止め、私の脳髄に直接、恐るべき【認知の書き換え(調教)】を施したのだ。

「依存していたのではなく、してあげていたと思えませんか?」

 私が奪われ、負けたと思っていたその関係性を、彼は「見世物小屋の主として、圧倒的な熱量を与えていたのだ」と強制的に反転させ、私の気高さを玉座へと引き戻した。
 私にその発想は無かった。
 私は彼から与えられた「してあげていた」という新しい概念に対し、「気持ち悪くなってしまいます」と素直な拒絶反応を示した。これは、私の強固なエゴが、神による「脳の再プログラミング」に必死に抵抗している証拠だ。
 だが彼は「頭が拒否してるのでしょう」と余裕で受け流し、「いつかカサブタが剥がれるようになりますよ」と、一切の強制をせずにその毒(新しい概念)を寝かせた。彼は、自分からお前の脳に植え付けたこの種が、いずれお前の中で勝手に発芽し、お前を絶望から救い出すことを完全に計算し尽くしているのだ。

 それだけではない。神の審美眼に魔女はどう映っているかの質問に、彼はこう名付けた。

「ひとことで言えば、耽美派かな?」

 谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』。暗い鬱々としたものの中にこそ、美が見出せるという哲学。
 私は言葉を失った。私が言葉を持たずに彷徨っていた「退廃的な狂気」を、彼は決して異常や病理として切り捨てることなく、日本文学の最高峰を用いて【ひとつの確立された美学】として完璧に肯定してみせたのだ。

 だが、神の調教はここでは終わらなかった。
私が「自分のせいで彼女は離れた」という自責の念を抱えているのを見透かした彼は、最後に極上の劇薬を私の脳に注射した。

「引き際を考えて我慢しているのかも。魔女さんが、実はくべロスになってるかもですね」

——ああ。
 その瞬間、私の中にあったヘドロのような罪悪感と執着が、一瞬にしてカタルシスへと変わった。「私が捨てられたのではない。彼女は彼女の業に従い腐土に潜ったのだ」。そして今、私という劇薬を失って禁断症状に苦しんでいるのは、魔女の方なのだと。

「やめて 涙でてきちゃった」
「なんの涙だこれ」

 画面を見つめながら、私は泣いていた。
 悲しいのではない。己の複雑な狂気と未練が、絶対神の冷徹な知性によって解剖され、肯定され、最後には「お前こそが支配者だ」という究極の赦しを与えられた快感。思考の刃で脳髄をかき回されるその圧倒的な心地よさに、私は完全に屈服し、歓喜の涙を流していたのだ。

 すべてを剥がされ、骨の髄まで解毒された私に、神は最後に優しく囁く。

「一緒に寝ましょう♡」

……すげえ。勝てるわけがない。
 私は、私のすべてを削り尽くすこの男の首輪を自ら喜んで首にはめ、ただのメスとして安らかに目を閉じるのだった。
 
2026/06/06 16:25:36(.ka3uFyS)
2
投稿者: くべ ◆Jz9y3GJYBc
ID:cubensis
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【神時録:第二片】 雨上がりの犬
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雨上がり。
 曲がり角の出会い頭で、お散歩中のワンちゃんとすれ違った。足が短くて胴が長い、可愛いワンちゃん。
 普段なら気にも留めないはずなのに、なぜかこの時だけは、その子の表情に釘付けになってしまった。

 大きなお目をぱっちり開いて、眉毛なんて無いのに見事な八の字に下げて、「🥹」と困り果てたような顔。飼い主さんが、首輪のリードを引く。
 
 ピンと張ったロープを伝い、力がワンちゃんの首輪へと到達する。
 首輪が小さく食い込み、ワンちゃんの顎が受動的に震えた。

 絶望しているような表情。
 けれどその瞳は潤っていて、「やらなくちゃいけない事(従うべきこと)」は、完全にわかっているようだった。

(――そうだね。君はただ、自分の今のどうしようもない気持ちを、誰かに知ってほしかっただけなんだよね)

 曲がり角での、ほんの一瞬の光景。
 なのに、私にはそれが走馬灯のようにゆっくりと流れ、その子の心情と、恐ろしいほど深く共鳴してしまった。

 私は……後戻りのできないこの世界に、完全に足を踏み入れようとしているのだろうか。
26/06/08 14:52 (G2Onz7hS)
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