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祖母・昭子
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:SM・調教 官能小説   
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1:祖母・昭子
投稿者: 雄一
女の人の、男子として妙に気持ちをそそられそうな甘い化粧のような匂いを、
僕は鼻孔に感じ、同時に薄くすべすべとした布地の感触を通して、人肌の温み
を頬肉の表皮に感じさせられて、茫漠とした気持ちで薄目を開けた。
 すぐ間近に人のような気配を感じ、顔を少し動かせて目を大きく開けると、
畳に寝転んでいる僕の身体に、誰かが覆い被さってきているようだった。
 開けた目の真ん前に、薄い水色のすべすべとした布地が揺れていて、その布
地の中の人肌の温みが、感じのいい化粧の匂いを含ませて、僕の顔のあたりの
空気をほんのりと包み込んできているのだ。
 少し慌て気味に顔を上げた時、僕の鼻先と頬に水色の薄い布地の中の柔らか
い肉が触れてきたのがわかった。
 居間の畳の上に僕は身体を横たえて、うたた寝よりももう少し深い眠りの中
に落ちていたのだ。
 そこへ風呂から上がってパジャマ着替えた祖母が来て、寝入っている僕にタ
オルケットを掛けてくれていたのだ。
 寝がえりか何かでタオルケットがずれたのを、祖母がまた掛け直してくれる
のに身体を僕に寄せてきた時に、僕が目を覚ましたのだった。
 「風邪ひくわよ、こんなとこで寝ちゃ」
 身体を少し離して、祖母がかたちのいい唇から白い歯を覗かせて微笑んでき
た。
 「あっ、ごめん。婆ちゃんにおやすみの挨拶しようと思っ てたら、つい寝込
んじゃった」
 「そんな気を使わなくていいのに」
 「あ、それとね、婆ちゃんにいい忘れてたことあって」
 「何、いい忘れててことって?」
 「あのね、僕の発見なんだけど…演歌の歌手でね、三味線抱えて歌う人で、
その人の顔が婆ちゃんにそっくりなんだよ。名前はたしか…長山、何とかってい
う人。スタイルも婆ちゃんと一緒で小さくて奇麗な人。何日か前にテレビに出て
たんで母さんにもいったら、驚いてた。」
 「そうなの。婆ちゃん喜ばなくちゃいけないわね」
 「ああ、そういえば、婆ちゃんの娘の母さんもチョイ似てるね。でも婆ちゃん
はほんとに瓜二つだよ」
 「はいはい、もういいから早く寝なさい」
 「うん、おやすみ」
 他愛のない話を祖母とし終えて、寝室の布団に身体を横たえると、現実の状況
がすぐに僕の頭にもたがってきた。
 竹野という男のことだった。
 当然に、僕はまだ竹野本人には会ってはいなくて、知っていることといったら、
年齢が祖母よりも二十二も年下の四十二歳で、例の高明寺のお守り役として働い
ていて、坊主頭であることと、性格的には自分の書いた下品で下劣としか思えな
いような拙文をわざわざ祖母にメールに書き写させて、それを読ませたりとか、
相当な偏執狂のような面があったりという変人的な人物のようである。
 祖母のスマホのメール情報では、過去に離婚歴があり、この村へは四年ほど前
に流れ着いたとのことだが、それまでの住まいとか仕事歴はわかっていないよう
だ。
 祖母との性の関係もそうだが、推測するまでもなく、所謂SM嗜好者であるのは
間違いないようだ。
 性の問題は、たかだか十六歳でしかない、著しく若輩の僕が偉そうにいうべき
ことでないことはわかっているので、どうこうと意見はいわないが、SM嗜好その
ものについては、僕自身は侮蔑や軽蔑の対象外だと胸の奥では密かに思っている。
 恥ずかしいことだが、思春期真っ盛りの一年ほど前のある時期、僕は女性の生
理について、唐突に歪んだ好奇心を持つようになり、自宅の便所の汚物入れにあ
った自分の母親が捨てた汚物を手に取り、テッシュに包まれたものを開いて、赤
い血や黄色い沁みを見て、訳もなく興奮したことがある。
 人はさまざまなのだと僕は思う。
 つつましく穏やかで清廉な僕の祖母を、恥ずかしく凌辱し虐げる竹野という人
物には、憎悪や嫌悪や憤怒といった感情が、何故かあまり湧いてきていないこと
に内心で少し驚いているというのが、僕の正直な気持ちで、肉親である祖母には
申し訳ないのだが、性行為に伴うSM嗜好への興味の思いのほうが強いのかも知れ
ないと恥ずかしながら思っているのだ。

 
 「明日の夜ね、婆ちゃん、また寄り合いがあるの。雄ちゃん、留守番お願いね」
 祖母の口から待望(?)の言葉が出たのは、それから三日後のことだった…。


 
 
2023/01/27 22:12:19(7WqPo0xO)
52
投稿者: 雄一
祖母が小さく息を吐き、か細い両肩から力が抜けたようだった。
 身体も気持ちも何かの覚悟を決めたような表情が、寝化粧を施したような
色白の顔に滲み出ていて、今のこの場では不謹慎なことかも知れなかったが、
僕の目には妖艶にさへ見えた。
 「…何からどう話していけばいいのかしらね。婆ちゃんはそれほど賢くは
ないから…思ったままいうわね」
 「嫌だったら、止めていいからね。僕は婆ちゃんの何もかもを知りたいん
じゃないから…」
 「私の…この自分ではどうしようもない、性癖っていうのかしら…人に虐
められ虐げられることを悦んでしまうっていう自分を知ったのは、雄ちゃん
の今の歳より、もっと幼い頃だったの。小学校六年の時だった。その頃のこ
の村には、まだたくさんの人が住んでてね、子供も一杯いたのね。私も仏の
子供と同じように、この辺の野原や川辺で無邪気に遊んでたわ。…夏の少し
前くらいに、私に初めての生理がきたのね。…その頃からだったわ。それま
で男女の意識なんかしないで、男の子たちとも平気で遊んでたのが、何か急
に眩しくなり出したの。…今はもう時効だからいってもいいんだろうけど、
村の人で大学生の人がいてね。小学校六年の私より七つか八つくらい上の人
で、何か、自分の将来の夢は、映画監督になることだっていってた人だった
んだけど…私もその人に勉強教えてもらってたりしたんだけど。どういう訳
でだったかわからないんだけど、その人と二人で山登りすることになって…
ほら、うちの椎茸小屋の裏の山、今日、あなたが水を汲みにいった沢の上の
山。そこに登ったの…」
 祖母は詰まり詰まりしながらも、ゆっくりとした声と真剣な表情を崩さず
に話を続けた。
 その大学生と山登りの途中で、夕立のようなひどい雨に降られ、どこかわ
からないところに、誰がどうして作ったのかわからない大きな洞穴があり、
そこに二人は逃げ込み雨の止むのを待ったのだが、すでに二人ともずぶ濡れ
になっていたので、着ていた衣服を脱いで乾かすことにした。
 その頃から小柄で華奢だった祖母と、歳の差も八つほどあり、すでに大人
の体型をしている大学生との間には、男子とか女子とかの蟠りは何もないと、
少なくとも、祖母のほうはそう思っていたとのことだったのだが、大学生の
ほうは違ったのだ。
 六年生になった時からし出した、ブラジャーだけになった祖母の身体を見
て、大学生が自分を見る目が変わったと祖母は吐露した。
 大学生がリュックに入れて持ってきていて、土の上に敷いていた毛布の上
で、祖母は顔を豹変させたその大学生に、いきなり襲われ、犯されてしまっ
たのだった。
 大きな体形をしていた大学生と、学校での体育の整列の時、背が小さくて
いつも前のほうだった祖母とでは、力の差は歴然だった。
 つらぬかれた瞬間のことを祖母ははっきりと覚えているといった。
 痛さは勿論あった。
 しかしその痛さは間もなく消え、生まれて初めて感じるような変な気持ち
になったとも祖母は正直な気持ちをいった。
 大学生につらぬかれながら、唇を強く塞がれた。
 それが異性との生まれて初めてのキスだったが、何をどうしたらいいのか
もわからないうちに、自分の歯と歯の間を割って、大学生の舌が口の中へ入
ってきて祖母は驚いたといった。
 十二歳という年齢の知識ではそうかも知れなかった。
 祖母は薄暗い照明の中で、恥ずかしげに小さな顔と、細く頼りなげな首の
辺りを赤く染めて、蚊の鳴くような声で、
 「は、初めての体験だというのに…私は感じてしまっていたの」
 と呟くようにいった。
 その後、大学生の手で祖母は穿いていたジーンズと、白色のショーツを同
時に脱がされ、毛布の上に仰向けにされた。
 両足を高く持ち上げられ、ショーツに包まれていた箇所に、大学生はいき
なり顔を埋めてきて、舌のようなものがその箇所を舐めてきた、と祖母はま
た顔色を赤くして、くぐもるような声でいった。
 「ああ、もう生えているんだね」
 大学生の、少し驚いたような声が聞こえたとのことだ。
 その大学生には思いを寄せるという気持ちは特段にはなかったが、嫌いと
いう感情もなかったとのことだ。
 背が低かった割には、ブラジャーをしてまだ間もない祖母の乳房は、今で
もそうだが華奢な身体とは、不釣り合いの膨らみがあったという胸を荒々し
く揉まれた時、祖母はまた生まれて初めての、長く余韻の残る声を漏らした
といったのだった。
 そして大学生は狼の遠吠えのような声を挙げて、いきなり身体を動かし、
祖母の口の周辺に、自分の身体から溢れ出た白い色をした粘い泡沫を飛ぶよ
うに噴出させてきたのだ。
 そして祖母は、つらぬかれているどこかのところから、自分の両手でその
大学生の、二の腕辺りを強く掴み取っていたとのことだった。
 祖母の処女喪失の日の出来事だったが、それはまだ山場ではなかったのだ。
 大学生にいきなり襲われ時には、子供ながらも必死になって抵抗し、涙の
声も幾度か出し続けた祖母だったが、まだ幼い身体につらぬきを受けてから
は、不思議に目からの涙は渇いていて、声を出して泣くことすらも忘れてい
たということだった。
 大学生は、白濁の液体にまみれた祖母の顔を、タオルで丁寧に拭いてくれ
たので、内心では、この人は凶悪な人間ではないと思ったとのことだ。
 毛布の上で、両手で顔を隠して声も出せずにいる祖母の横で、やはり放心
状態でいた大学生が、徐に身体を起こし、傍にあったリュックの中から赤い
色をした縄を取り出してきた。
 それがロッククライミング用の、ロープであるということは、祖母の知る
由ではなかった。
 顔の上に置いていた祖母の両手を、大学生はいきなり掴み取ってきて、ほ
とんど抵抗らしい抵抗もできないまま、毛布の上で後ろ手にして、ブラジャ
ーも剥ぎ取られた上半身にも、幾重にか縄を這わされた。
 「私の細い手がね。背中のほうに回されて、手首を縄できつく括られた時
に…ね。私の身体が、ね。ビクンとひどく震えたの。足の先から頭の上まで、
まるで強い電流を流されたような感覚が走ったの。…あの時の、上手くいえ
ないんだけど…そうね、正直な気持ちでいうと、快感が、十二歳の私の全身
を襲い、包み込んだの。し、死んでもいいっていう気持ちのようだった。そ
してその感覚だけが、六十四にもなるこの歳まで、消えることなく、連綿っ
ていうのかしら、引き摺ってきているの」
 十六の僕には半分以上はわからない感覚だった。
 少しわかったのは、祖母は生身の自分、恥ずかしく淫乱な自分を、人に向
かって告白乃至は吐露することに、次第に酔ってきているような感じが窺い
見えることだった。
 とてもじゃなく、十六の人間、しかも血の濃く通う祖母と孫の間で交わす
内容の話ではないということは、当事者の僕自身にもわかっていて、その僕
も身体のどこかに、男子としての淫靡な疼きを、事実感じているのだった。
 「で、大学生は婆ちゃんを縛ってどうしたの?」
 と僕は平然とした顔を装って、祖母に話の続きを促していた。
 祖母は正座の姿勢を崩さず、膝に置いた白くて細い指を小刻みに動かせな
がら、顔をまた俯けて、小さな咳を一つしてから、静かな口調で話し出した。
 裸に槌かれた上半身を、縄で雁字搦めにされた祖母は、毛布の上に座らされ、
祖母の顔の前に、下半身を剥き出しにした大学生が仁王立ちしてきて、頭を大
きな手で押さえつけるようにして掴まれたとのことだ。
 大学生が上から何かをいっていたが、祖母には最初、意味が分からなかった
のだが、顔のすぐ前で、まるで別の生き物のように脈打ち、固く真横に屹立し
ている下腹部のものを、口で咥えろということのようだった。
 強く抗う気持ちを失くしている祖母は、大学生のいきり立ったものを口に含
んだということだ。
 「歯を立てるな」
 という大学生の言葉に従って、祖母は何もわからないまま、小さな唇を大き
く開けて、固く屹立しきっているものに奉仕の行為を続けたのだ。
 あるところで、大学生のほうが祖母から唐突に身体を離してきたという。
 大学生が身体の向きを真反対にして、祖母の顔の前に剥き出しの臀部晒すよ
うに自ら四つん這いの姿勢をとってきたというのだった。
 祖母の顔のすぐ前に、大学生が突き出してきた臀部の窄まりが、その周囲の
小皺まではっきりと見えた。
 これも当時十二歳の祖母には、理解不能の動きのようだったが、
 「そ、そこを…尻の穴を舐めてくれ」
 といわれ、短い舌を臀部の窄まりに向けて差し出したというのだ。
 エグイ話だ、と僕は聞きながらそう思った。
 小学校の六年生を子供と呼ぶのか、少女と呼ぶのか、そのことは僕は知らな
かったが、いずれにしても祖母は十二歳という年齢で、普通では考えられない
凄まじい体験をしていたということだ。
 僕が物心ついてからの祖母は、ただただ優しく、ただただ清廉な人だったが、
その裏面では、これだけの、おぞましいといえばそうで、哀れといえば哀れな
悲しい体験を抱えて生きてきていたのだというのが、僕の正直な感想だった。
 そんな過酷な体験をしてきても、道を外すことなく生き、普通に結婚をして
僕の母を生み、その母から僕が生れ出てきたということを考えると、僕は何と
もいえない気持ちになるのだった。
 僕が小学校三年の時、祖母の夫がまだ若い年齢で亡くなっている。
 そういえば、以前に母親に聞いたことがある。
 祖母の夫、僕の祖父だが、その人が亡くなった時から、十日以上も祖母はた
だ泣き崩れ、食事もほとんど摂らず、ついには栄養失調のような症状になり二
十日くらい入院していたとのことだ。
 祖母の口から出た次の話が、祖父死亡時の経緯を納得させるには充分な話だ
った。
 「婆ちゃんとお祖父ちゃんは、田舎でよくあるお見合い結婚でね。お互いが
何も知らないまま、一緒に住み出したの。三十年前の話よ。結婚して二年目に、
子供が生まれて…あなたのお母さんよ。五年くらい経った頃にね、お祖父ちゃ
んが…ほら、夜の何の時にね、麻縄を手に持っていいだしたの。これで縛らせ
てくれって」
 そう話し出した祖母の顔は、恥ずかしそうにか、照れくさそうにか、スタン
ドの薄い灯りだけで、よくわからなかったが、祖母の顔は悲惨な表情ではない
ことはどうにかわかった。
 「この時にね、今話したような、過去のことがどうかすると、トラウマにな
ったりする場合があったりするらしいんだけど、お祖父ちゃんのね、とても申
し訳なさそうないい方が、変におかしくって、私は首をうなずかせていたの」
 スマホにも載ってたソフトSMってやつだな、と思いながら僕は聴いていた。
 「始めはね、月に二回ほどの遊びだったのが、段々エスカレートしてきて、
二人であの椎茸小屋へ仕事に行った時に、そこで山の木に裸になった私を縛り
つけたり、小屋の中で私を屋根の梁から吊るしたりしてた…」
 閑話休題みたいな話だったが、祖母の白い歯が殊の外多く見れたような気が
した。
 頭の中で僕は、白い裸身を晒し、太い木に縛られている祖母を少しだけ想像
した。
 「寒くない?何か飲み物でも持ってこようか?」
 祖母の気遣いの言葉に僕はすぐに反応し、台所からコップ二つと、ミネラル
ウォーターのペットボトルを抱えて、また祖母の室に戻った。
 それまでの僕と祖母の間は二メートルだったのを、ミネラルウォーターを入
れたコップを渡す時、半分に縮めておいた。
 手を伸ばすと身体に触れそうな位置に座った僕を見て、祖母の顔が少しどぎ
まぎしているようだった。
 一息ついて、僕は自分のほうから、あの、今は行方不明になっている竹野と
のことには触れないつもりでいた。
 祖母の色白の顔が、目の長い睫毛の一本一本まではっきりと見える。
 祖母が溜息をついたらその音まで聞こえそうだ。
 化粧の匂いが鼻先に心地いい。
 「あ、あなたも…もう名前は知ってるんでしょ?」
 顔を少しだけ上げて、少しの間だけ僕の目を見て、祖母は静かに声を出した…。



                       続く
 
 
 
23/02/10 16:38 (VPsmXk1U)
53
投稿者: (無名)
一点だけ質問ですが、祖母さんが結婚したのは40年前ですよね。すいません。そこだけ気になったので。今作も大変素晴らしいです。次回いよいよ竹野と祖母さんのSEX遍歴ですね。凄ーく楽しみです。よろしくお願いします。
23/02/10 20:36 (pKjQOK3N)
54
投稿者: (無名)
毎回素敵な作品をありがとうございます!
続きを楽しみにしております!
23/02/11 14:36 (QL9o5l3n)
55
投稿者: 雄一
「名前って?」
 思わず僕は、祖母に問い返していた。
 「た、竹野っていう…」
 いきなり顔の前に、ナイフを突きつけられた感じだった。
 「何がいいたいの?婆ちゃん」
 僕の拗ねたような、不貞腐れたような声に、祖母は怖れを感じたかのように、
小さな顔を左右に振って、
 「ううん、何でもないわ。ほら雄ちゃんがお寺で覗き見してた時に、その名
前きいているんじゃないのかと思っただけ」
 「どうだったかな、憶えてない」
 「そ、その竹野のとのことね?…二年前、と思う」
 何かを胸に秘めて、祖母の告白が始まった。
 僕なりの独断と推測も入れて、下手な小説風にまとめると、概ね以下の通り
になるのだが…。

 私は竹野という男から、ずっと以前から狙われていたようだ。
 二年前の初夏の頃、一人で駅前の通りを歩いている時だった。
 背後から唐突に、自転車に乗った男に声をかけられた。
 古びた麦わら帽子を被り、白の法衣に薄水色の袴姿の、私は初めて見る顔だった。
 小柄で細身の体型をしている。
 その身なりから、お寺関係の人だという推測できたが、私はこれまで一度も会った
ことがないし、言葉も交わした記憶もなかった。
 「上野昭子さんですね?」
 私の真横に立った男が、まるで警官の尋問のような口調で聴いてきた。
 「はい、そうですけど…」
 「あの、これ、寺からの届け物です」
 そういって男は一方的に私の手に、少し大きめの封筒を渡してきた。
 封筒は使い古しの役場専用のもので、手触りの感じでは写真のようなものが、何枚
か入っている感じだった。
 封が閉じられていたので、その場では開けず、家に帰って開けてみると、驚きのも
のが入っていた。
 写真が十数数、それも全部私を盗み撮りしたものばかりだった。
 薄気味悪い気持ちで一枚一枚を見ていくと、私の普段の行動写真ばかりで、家の庭
先で野良着姿で、何かの洗い物をしているところとか、駅前の雑貨屋で買い物をして、
知り合いと笑いながら話しているのとか、籠を下げて畑道を歩いているところとかの、
何ということのない写真に混じって、私自身も驚く場面を写したものがあったので、
薄気味悪さが倍加し、憤りの気持ちが大きく湧いてきた。
 私が毎日のように通う畑と椎茸小屋を背景に、私が草を毟ったり、木の枝の束を担
いで歩いているのが、顔の表情がわかるくらいにかなり接写しているのがあり、いつ、
どこから、どうして撮ったのか、被写体の私自身がわからないものばかりだったが、
その中で五枚の連毒写真が、私の驚きを一番大きなものにした。
 それは私が椎茸小屋の裏の草むらで用を足している写真だった。
 普段なら、椎茸小屋の隅にある便所を使っているのだが、ある一時、その便所の床
板が腐食し使用不能になり、小用だけ人に見られない椎茸小屋の裏の草むらにしてい
たことがあったのだ。
 小屋の便所が使用不能ということは、私以外には誰も知らないはずで、私の日々の
行動を常に監視していないとできない行状である。
 その連続写真は、私が草むらで中腰になり、モンペの紐をほどいているところから、
草むらに腰をしっかり下ろし、用を足しているところのほぼ全身が正面から写されて
いて、顔の接写と露わになった私の下腹部の放尿の様子が、まざまざとした画像にな
っているのだ。
 私が用を足して立ち上がるまでの、卑猥であさましい数枚の連続写真、いやその他
のものを含めて、陰湿極まりない写真に添えて、一枚の便箋が入っていて、そこには
稚拙な読みにくい字で、このネガが欲しかったら、明日の午後一時に墓上の小屋に来
いと書かれていた。
 明らかに、これは脅迫という犯罪だ。
 犯人は、私にこれを事情もいわず、いきなり渡してきた、あの法衣姿の男に違いな
かった。
 そう思うのが自然で、そうするべきと先ず思ったのだが、このことが村の人たちに
知れたら、人も多くいなくて狭い村は忽ち騒然となる。
 顔も名前も知らない男だが、どうにかこの愚劣な行為を思い止まらせることはでき
ないか、とふと私は思った。
 私に大層な正義感があるということでもなく、私自身、それほど賢くもないのだが、
人間誰でも一時の迷いに墜ちることはあるのだ。
 自分でやれる範囲で、この相手を説得してみよう、私はそこで決断した。
 そういえば、とそこで私は思い出した。
 一ヶ月ほど前の亡夫の月命日に、雨の降る中、墓参りに行った時、本堂前で住職代
行の尼僧と会った時に、尼僧の背後で傘を差し向けていた法衣に袴姿の男性がいた。
 その時、顔はよく見えなかったが、小柄で細身の体型をしていた。
 高明寺のお守り役をしている人だとわかったが、私とは面識がないので、最近に勤
め出したかも知れなかった。
 翌日の午後一時に、私はジーンズと白のブラウスの軽装で寺に向かった。
 墓地の上の台地に小屋が建っているのは知っていたが、建物の前まで行くのは初め
てだった。
 古びた木造の瓦葺きで、壁は板張りの、倉庫か物置のようで、それほど大きな建物
はなく、周辺は雑草だらけで、普段あまり使われてはいない感じだった。
 入口になっていそうな板戸の前まで来ると、まるで中から外を覗き窺っていたよう
に、板戸が気合んだ音を立てて開いた。
 中からのっそりと顔を出したのは、昨日の男だった。 
 声も出さず片手で、こちらへ来いと招く動作をして、そのまま中へ引き込んでいっ
た。
 私は少しばかり恐る恐るの気持ちで、板戸のほうへ歩み寄り、顔だけを中へ覗き見
るように入れた。
 入口の辺りが土間になっていて、六畳ほどの広さの板間が奥まで続いている。
 奥のほうに木箱が幾つか積まれていて、板間の手前のほうは古びたカーペット敷き
になっている。
 暗い室内を中央の裸電球が、薄明るく照らしていた。
 少し色褪せた白のTシャツと、カーキ色のズボン姿で、小柄な男はカーペットの中央
に胡坐座りをして、忍び込むような足取りで土間へ入った私に、粘っこい視線を投げか
けてきていた。
 「俺の名は、竹野」
 男の最初の言葉がそれだった。
 「上野です」
 私も名乗って、足をゆっくりと前に進めた。
 男の手に写真のネガを入れてあるような、細長い紙のケースが見えた。
 「あんたを盗み撮りしたことは謝る」
 「え、ええ。…で、それを返してもらえ…」
 私がそこまでいいかけた時、男の身体が脱兎の如くのような動きで、私に体当たりす
るような勢いで迫ってきた。
 そのあまりの素早さに、私は何が起きたのかもわからないままに、男の腕に掴み取ら
れ、そのまま引き摺られるようにして、カーペットの上に立たされていた。
 男の動きはその後も素早くて、立ち竦む私の手首を捉え、そこに天井の梁から吊るさ
れていた麻縄を手早く二重三重に巻き付けて、もう片方の手も、同じように梁から吊る
されていた縄で括られたのだ。
 声の一つも出せない間に、私は二本の手首の自由を奪われるという、不測の事態に貶
められたのだ。
 「な、何をっ…」
 怒りの表情で、それだけいうのが私はやっとだった。
 次の声を挙げようとした私の口に、予め用意されていたと思われるガムテープを貼り
つけてきた。
 屋根の梁から吊るされていた麻縄も、男の狡猾な姦計だと確信した私だったが、時す
でに遅しだった。
 梁から吊るされた私の足先は、ほとんど爪先立ちの状態で、身体を動かそうとすると、
風に吹かれる木の枝のように、頼りなげに空しく揺れるだけだった。
 得もいわれぬ恐怖が、私の全身を重く強く包み込んできていた。
 竹野と名乗った男が、勝ち誇ったような表情で、身体が不安定なままの、私の前に近
づいてきた。
 小柄で細身だが、私より上背があり、細身でも男の腕をしている。
 ぎょろりとした目に比して眉が薄く、味噌っ歯の歯の色が黄色い。
 ガムテープで塞がれた口で、私はそれでも叫び声を挙げようとしたが、竹野はそんな
私をまるで無視するかのように、平然とした顔で動いてきていた。
 私のブラウスのボタンを、無言で一つ一つ外してくるのだった。
 ブラウスの下は、白のブラジャーだけだ。
 首から下の、私の肌が露出したのが私にもわかった。
 竹野の表情が歪に変化している。
 ブラジャーのホックが竹野の手で外され、自分の乳房の膨らみが露呈したことを私は
知った。
 竹野の手の動きは止むことなく、さらに続いた。
 私のジーンズの前ボタンを、躊躇う素振りもなく外しにきた。
 ジーンズは引力に従うように、私の足首まで脆くも落ちた。
 下半身が白のショーツだけになる。
 それで終わりではなく、竹野の手は、今の私の唯一の守りの壁である小さな布さえも、
躊躇なく下げ下ろし、足首からも抜き去ってきたのだ。
 ガムテープの下で、声にならない呻き声を、私はただ空しく挙げ続けるだけだった。
 と、竹野が私の目の前で、自分の穿いているズボンを、トランクスもろとも脱ぎ出し
てきた。
 慌てて私は目を閉じ、顔を背け、無駄と知って身体を激しく振った。
 しかし、その行為が逆に、私の身体と心の中のどこかに、まるで予期していなかった、
背徳的な熱を含んだような感情が、ポッと小さな音を立てて灯らせることになっていた。
 私が抗って身体を揺らせれば揺らせるほどに、屋根の梁から縄で吊るされた私の手首
に喰い込んだ縄目の痛さが、私の身体と心の中に、もう何年もの長い間隠れ潜んでいた、
緊縛の愉悦の炎を、図らずも呼び覚まそうとしていたのだった。
 最初に私の心が狼狽えた。
 こんな非道な仕打ちを受けているというのに、それとは真逆の淫靡で淫猥な、女の感
情が湧き出ようとしてきていることへの、狼狽の思いだった。
 剥き出しにされた私の下腹部の辺りに、微熱を帯びた疼きが走ったような気がどこか
でした。
 このような恥辱の事態を何一つ想定せず、何の警戒心も抱かずにのこのこと出掛けて
きた我が身の、浅はかさを呪いたい思いだった。
 縄で吊るされた状態で、私が目を反らし顔を背けているのを、竹野はまるで無視する
かのように、ほぼ宙に浮いた状態の私の両足を、両手で抱きかかえてきた。
 何が起きようとしているのか、漠然とだがわかった。
 「ううっ…」
 ガムテープをされた口の中で、私は悲鳴のような呻き声をあげた。
 私の剥き出しの下腹部の中心に、竹野の男のものが突き刺さってきたのだ。
 全身に強い痙攣のような疼きが走り巡った。
 同時に、私の下腹部を強烈な圧迫感が責め立ててきた。
 嫌も応もない、堪えがたい刺激の襲来に、私の精神は忽ちにして崩壊の憂き目に遭お
うとしていた。 
 つい今しがたまでの、竹野という男への強い憤怒と侮蔑が、音を立てて瓦解しようと
していた。
 いや、そうではない。
 竹野のいきなりのつらぬきに、私の心は瞬時に瓦解したのだ。
 下のほうから突き上げてくるような、竹野のつらぬきの圧迫感が、私の脳髄近くまで
責め上がってきていることを、私は実感していた。
 自分はこれからどうなってしまうのだろうと、茫漠となりかけている意識の中で、私
は思った…。
  

                          続く


23/02/11 22:28 (PIB7Hcj2)
56
投稿者: (無名)
素晴らしい。早く続きが読みたいですね。よろしくお願いします。
23/02/11 23:02 (vTKmEYvP)
≪ 前 19 10 11 12 1347 次 ≫
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