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奴隷人生
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:SM・調教 官能小説   
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1:奴隷人生
投稿者: 紺色 ◆fHUDY9dFJs
その1

約束の時間より1時間も早く人形町の駅に降り立った私は、初めての街をスマホ片手に、目的の建物を目指しゆっくりと歩いた。
自宅を出る前から早鐘を打ち続ける心臓は今では口から飛び出そうな程に胸の中で暴れまわり、血液は体内を自己最高速度で流れ続けている。

私は緊張に耐えかねて、一度立ち止まると胸に手を当て、大きく一つ深呼吸をした。

「よしっ!」強張った顔の筋肉を無理やりほぐし再び歩き始めると、アンティークのアイアンで作られた看板が目に入った。

安藤DESIGN OFFICE。

間違いない。ここだ。しかし、約束の面接の時間まではまだ50分もある。

自宅でも駅でも身だしなみはチェックしたが、もう一度鏡の前に立ちたくなり、
駅からの途中にあったカフェまで戻り時間をつぶす事にした。

横浜で生まれ育ち、大学も横浜だった私は渋谷や新宿には行ったことがあっても、
人形町という街は初めてだった。
そんな私でも入ってすぐ人形町っぽいな。と感じてしまうほど、その喫茶店はレトロで下町の匂いがした。

私はオレンジジュースをオーダーすると化粧ポーチを手に席を立った。

鏡に映る自分の顔はいつもと何ら変わらない。化粧も、グレーのリクルートスーツもさっき駅のトイレで確認した時と変化は無い。
鏡に映る自分に向かい笑顔を作る。少し引きつっているが、悪くない。大丈夫だ。
そう言い聞かせると、すでにオレンジジュースが置かれた席に戻った。

まだ、30分もある。時間を持て余した私はふと、ここ数か月の事を思い出していた。

ことの始まりは安藤デザインのチーフデザイナーをしている沢田さんのお話しを聞けるチャンスがあるけど麻衣子も来ない?と
友人の真美に誘われた事だった。

建築家を目指し、就活を続けている私達には安藤デザインはまさに高嶺の花であり、
その安藤デザインのチーフに会えるという機会はまたとないチャンスだった。

そしてその出会いをきっかけに私は今日の2次面接までこぎ着けたのだ。

ラッキーとしか言いようがないな。そんな事を思い、目の前のオレンジジュースに手を伸ばした時だった。

カランカランという懐かしい音とともにドアが開き、店員さんのいらっしゃいませーという声に合わせ、
私は何の気なしに入口の方に目を向けた。

「おっす!いつものね。」そういうとそのお客は私の向かいの席に腰を下ろした。

私の目は釘づけになり、世界が突如スローモーション動画に切り替わった。

うそ。まさか。。そのお客こそ安藤デザインの代表、安藤建志だった。

黒いツバ広のハットを被り、キャメルのロングコートを羽織り、黒縁メガネに
整えられたヒゲ、デニムにインナーはVネックの白T一枚。

182cmの長身に端正な顔立ち。まさに雑誌から飛び出てきたかのようだった。

テレビや雑誌、ウェブで何度も見ていたその顔が今、目の前に突如現れたのだ。

安藤建志は新進気鋭の建築家として数年前から注目を集めるようになり
最近ではその端正なルックスとハイセンスなファッションも注目を浴び、
メンズ、ウィメンズ問わずファッション雑誌に引っ張りだこになっていた。

どうしよう。。どうしよう。。今日の面接は総務部長が担当するとメールには書いてあった。
まさか今日安藤さんに会うというのは想定外で心の準備など出来ているはずがない。

だが、無視する訳にもいかない。声をかける?そんな勇気など湧いてこない。

「ん?大丈夫ですか?」

「えっ!あっ!はい!あの。。」
我ながらお粗末な展開だった。 ぼーっと安藤さんの顔を凝視した挙句、
声を掛けられ、何も答えられないまま赤面して俯いてしまっているのだから、目も当てられない。
いつもそうだ。私は引っ込み思案で赤面症で緊張すると言葉が上手く出てこない。

だが、これは一生を決めるかもしれない大事な場面なのだ。
粗相は出来ない。

私は安藤さんに気づかれない程度の深呼吸を1つすると意を決して席を立った。

「あっ。あの。。。その。。安藤さんでいらっしゃいますよね。。」

「うん。安藤といいます。よく知ってるね。」
安藤さんはそう言うと優しく微笑んでくれた。

「わ、わたくし、戸田麻衣子と申します!」
私はそれだけ一息で言い切ると深々と頭を下げた。

そんな私のつむじ辺りに安藤さんの豪快な笑い声が響いた。

「分かった、分かった!とりあえず座ってくれ。こっちが恥ずかしい。」

安藤さんにそう言われて、頭を上げると私は店内の注目を一身に浴びている事に気づいた。

「建志くんモテるねー。」そんなマスターの冷やかしが店内に響きわたると
あちらこちらから笑い声が漏れる始末だった。
私は居たたまれなくなり、身を隠すように安藤さんの対面に腰を下ろした。

「すみません。。」

「いやいや。いいよ。大丈夫。ところでどこかで会った事があるのかな?」

「いえ!とんでもない!た!」

「た?」

只のファンですと言いそうになって呑み込んだ。ファンなのは事実だが、面接を受ける立場なのだ
ミーハー心で応募してきたヤツかと思われたくはない。


「あの。わたくし、本日安藤デザインの2次面接を受けさせて頂きます、戸田麻衣子と申します。」


これが私と安藤さんの出会いであり、奴隷人生の始まりだった。









2015/01/17 18:33:13(Na2BS0nF)
22
投稿者: さた
待ってます お願いします。毎日更新されてないかチェックしてますよ
15/03/31 14:46 (UHxV7cby)
23
投稿者: 紺色 ◆fHUDY9dFJs
ごめんなさい。

あんまり読んでくださっている方がいないのかなと
感じると途端に書く気が失せる性格でして。。

今は、多忙な事もあり、なかなか書けず申し訳ないです。
15/04/02 15:25 (ryv6cIgZ)
24
投稿者: (無名)
読む者を夢中にさせる文章ですね
とてもワクワクしました
丁寧に書かれていますので
こちらも丁寧に読ませて頂きましたが

ここで終わられてしまっては
裏切られた気分です…
15/05/16 07:05 (ErCHpmTQ)
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