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1:後輩は性奴隷……11
投稿者:
悠
後輩は性奴隷……11【最終話】
そんなバカなっ。 じゃああいつは……あいつは一体、いつから俺のことを…… 私、思うの。 私達はきっと、あの子の分まで── 先輩には…… 先輩にだけは、知られたくなかったのにっ! ────── 後輩は性奴隷……11‐1 2限は昼休みの前の講義である。 それが早めに終わり、抗議後の一服を味わっていた。 昨日寝るのが遅かったためか、頭がボーッとして欠伸ばかりが口をついて出る。 今日はバイトがあって、シフトは真里と組んでいたはずだ。 今朝のメモ用紙と昨日の彼女を思い出しながら、ブラックの缶コーヒーを飲み干す。 あと5分もすれば昼休みに入るだろう。 学食でメシ食って、煙草吸って、3限に出て、バイトだ。 それまでに、真里とどう顔を合わせたらいいのかを考えておこう。 「………………」 何か大事な用事を忘れている気がする。 何だ……? (……あ!カメラマンのバイト!) 確か、今日の昼休みに来ると友人が言っていたはずだ。 「やべぇ……」 煙草を灰皿に投げ捨て、部室棟へ向かう。 ただ断るだけなのに、どうして俺はこんなに猛ダッシュしているのだろうか。 部室棟の入り口に立ち、自動ドアが開いた瞬間の隙間をすり抜け、階段を駆け上がる。 こういう時、俺は大抵写真部が3階にあることを恨んでいる。 そんなことは置いといて、3階踊り場を曲がると、部室の前に女性が立っているのが分かった。 丁度、今からノックをしようかというタイミングらしい。 だがしかし、彼女に近付く度に俺は失速していった。 「……悠?どうしたの?」 それはこっちの台詞だ。 大体、 「なんで、はぁ、朱音が、おんねん」 息が切れ切れだ。 こんなの前にもあったな……。 「カメラマンのバイトを探しててね」 「え?じゃあ昨日部室に来たのってお前かぃ」 「うん……あれ?悠、写真部なの?」 「写真部だと悪いか?ま、入れよ」 というわけで、朱音を部室に入れた俺は早速話を聞くことになったわけだが……。 「あんなに写真嫌いだったのに……すっごい意外」 「撮られるのが嫌いなだけや」 「でもあんな写真撮れるんだから、きっとセンスがあるんだよ」 「まぁ……それで、本題やけど」 照れ隠しにそう言いながら、バイトの用件に会話を運んだ。
2010/05/24 19:20:51(rPKEqtrb)
投稿者:
悠
後輩は性奴隷……11‐7
明日に輝くと書いてアキラ。 それが、性別も知ることなくこの世を去った、俺と朱音の子供の名前だ。 明輝は俺を許してくれるだろうか。 ここ何日かは本当に大変だったけど、そのおかげで俺は沢山のことを学んだ気がする。 気付いたことも、間違っていたことも、自分のことも……。 明輝。 朱音の言葉を信じて、俺なりに罪を償っていくよ。 だから、しっかり見ててくれ。 そんな願いを、澄み渡る青空の向こうに込めていた。 残すところはあと一つ。 結衣の事だけだ。 今ならきっと、素直に向き合える気がする。 ……いや、俺は結衣と、しっかり向かい合いたいんだ。 「っ……こ、講義……でないんですか……?」 俺の足音に振り返った女の子は、直ぐに顔を背けて膝を抱え直した。 「俺、方向音痴らしくてな。気付いたらここに着いとったんや」 低い堤防の道路沿いに並ぶ、すっかり葉っぱだけの桜の木々。 絶え間なく、穏やかにせせらぐ川の流れ。 花見のシーズンが終わったこの川原に人の姿はなく、そこにあったシルエットが結衣だと直ぐにわかった。 「……嘘って、わかってたんですね」 「わかったのはもっと後やけどな」 膝を抱える腕にぎゅっと力を入れる結衣。 「そうやって……期待させたんですよね」 「結衣……?」 「……っ。ごめんなさいっ。私、こんなこと言うつもりじゃっ……」 ハッとした様子で此方を向いた結衣だったが、直ぐに視線をふるふると泳がせて顔を背ける。 「私……帰ります」 「待てよっ」 立ち上がった結衣の手首を、俺は咄嗟に掴んでいた。 「放して!」 「放さへん!」 少し抵抗されたものの、徐々に腕の力が抜かれていく。 「先輩には……先輩にだけは、知られたくなかったのにっ!」 安心しきっていたのか、掴んでいた手首がスルリと逃げていく。 しかしそれは、結衣が此方に向いた反動のためであった。 ようやく彼女を前から見ることが出来たものの、涙の滲んだその顔に、俺は何もできなかった。 「知ってますか?!私がずっと、ずーっと前から、先輩に触れたかったことっ」 ……知らない。 知ってるわけがない。 「知りませんよね?私も知りませんでしたから。でも……気付いてたのに、知らないフリをしてたってわかったんです」 彼女の気持ちが、堰を切ったように口から言葉っとなって溢れて来る。 結衣。 俺にお前の全てを教えてくれ。
10/05/25 15:26
(q6/AYgXG)
投稿者:
悠
後輩は性奴隷……11‐8
「私の初めては、自分の指でした」 それから始まった結衣の話に、俺は全てを受け止める覚悟で耳を傾ける。 「覚えてますか?私とお姉ちゃんの部屋が、ベランダで繋がっていたこと」 当時朱音は一戸建てに住んでいて、外観は確かにそうなっていたと思うが、隣が妹の部屋だとは知らされていなかった気もする。 「気になりませんか?恋人同士が家で何してるのかって。やましい意味じゃなくて、何となく」 まさか……見ていたのか? 俺たちの行為を。 「初めは覗くだけだったんです。何故かドキドキして、やめられなくて……でもある日、お姉ちゃんが……首輪を……」 結衣は恥ずかしそうに視線を落とし、一区切りつける。 「それからは、先輩が来ることが楽しみになりました。覗く度に、お姉ちゃんが酷い目に遭う姿を、自分に置き換えて……私……」 被虐嗜好者だと知ったわけか。 「ここで先輩を見たとき、その時のことが蘇ってきて……我慢できなかったんです。人と体を重ねるのが初めてだったのに……」 「えっ?!」 まさか……嘘だろ。 俄には信じられない。 むしろ、慣れていると思ったくらいなのに。 「その……メールとかネットでは何度かあるんですけど、実際に抱かれたのは……先輩が初めてなんです」 結衣……。 「すごく気持ちよかった。一人でやるよりも全然……憧れていた快感に、手が届いたと思っていたんです」 でも、続ける結衣の視線は、とても低い位置に向けられている。 ここで彼女を撮った時の、俺と同じ様に。 「でも、私は気付いたんです。どうして今まで誰にも抱かれてこなかったのか。恋人に求められても、躊躇っていたのかを」 それは、もしかして……。 「私は、お姉ちゃんの彼氏に……先輩に惹かれていたんだって」 「でも、おかしくない?」 俺は我慢しきれずに、矛盾点を尋ねてみる。 「だって、それに気付いたのは朱音と会うより前のことやろ?なんで俺が朱音の元カレってわかったん?」 結衣の様子が変わったのは、彼女が朱音と出くわす前だ。 時間軸が噛み合わない。 「……すみません」 突然そう口にした結衣は、少し川の方へ足を進めた。 「見たんです。先輩がバイトに行ってる間に、あの鞄の中……」 つまりさっきの謝罪は、俺がバイトしている間に家の中を引っ掻き回したことに対してのものだったのである。
10/05/25 16:31
(q6/AYgXG)
投稿者:
悠
後輩は性奴隷……11‐9
しかし、それでも合点がいかない。 確かに鞄の中のものは朱音に使用したものだが、それは見てだけではわからないだろう。 それで結衣が、現状で満足してるかと訊いてきたのも納得がいく。 でも、いくら行為を覗き見ていたと言っても、世の中にごまんとある代物だ。 ……そうか。 卒業アルバムをあの辺りに仕舞っていたはずだ。 結衣はそれを見て、確信を得たのかもしれない。 「……悔しかったんです」 「なにが?」 結衣の隣に歩み寄って、高い空を見上げる。 「お姉ちゃんはもういないのに、先輩の中にはまだいたことが……」 あの宣戦布告は、俺の中の朱音に対するものだったのか。 いや、もしかしたら、「朱音にこだわり続けている俺」に向けられていたのかもしれないな。 「でも、ずっと先輩の中の存在だったお姉ちゃんが、昨日突然現れたんです」 もうダメなんです、と言う声は、今にも泣き出しそうなくらいに震えていた。 「お前はもう、俺の中で随分と大きな存在になってる」 この川原で胸を締め付けられたあの日から、性奴隷以上の存在に。 「……気休めですか?」 「ちゃう。真里が教えてくれたんや」 彼女が俺に、恋をする痛みや辛さを思い出させてくれたんだ。 「ずっと結衣のことが気になってた」 宣戦布告を受ける、もっと前から。 「でも今は、元カノの妹として気にかけてますよね?」 「……なんで?」 「なんでって……知られてしまったから。私はもう、その枠組みからでることはありません」 「……もう、俺の中に朱音はいないのに?」 「え?」 そよ風がサラサラと流れ、俺の顔を見た結衣の髪を靡かせる。 艶やかで、綺麗な黒髪を。 「昨日朱音と話して気付かれた。俺の中にいたのは朱音じゃなくて、朱音に置き換えていた『責任』やったことに……」 髪を耳に掛ける結衣からは、話の続きを待っているかような期待が少しだけ窺えた。 「でも……知ってるやろ?俺が犯した罪のこと。それを背負ったまま誰かと一緒になっても、相手はきっと幸せにはできな「私もっ……」 俺が言い切るのを待たずに、結衣は口を開いた。
10/05/25 17:48
(q6/AYgXG)
投稿者:
悠
後輩は性奴隷……11‐10
しっかりと俺の目を捕らえる結衣の瞳には、強い意思が宿っている。 「私も……一緒に背負います。先輩の痛みを、私にもわけてくださいっ。ちゃんと受け止めます……受け止めますからっ……」 彼女は、身長170センチしかない俺から見ても華奢な体つきをしていた。 年齢を聞かなければ、少女と表現してもいいくらいに可愛らしく、小さい。 その小さな体でこれだけの決心をする結衣に、心が射抜かれる鋭い痛みを確かに感じた。 こんなに広い心は、俺には勿体無い。 今まではそう思って、ずっと目を逸らしてきた。 でもそれじゃダメなんだ。 前に進むため、幸せな未来のために、俺は結衣という人物を必要としている。 この気持ちを、難しいごたくを抜いて、一言で言うとすれば…… 「好きだ」 「……え?」 強い眼差しだった瞳が、途端に大きく見開かれる。 「好きなんや、結衣が」 考えるよりも先に、体が結衣を抱き締めていた。 何度も感じたはずの体温なのに、今までとは全然違った温もりが胸の中に染み込んでくる。 「私も」 背中に回される結衣の腕は、しっかりと俺に絡み付く。 「好きです……先輩」 澄みきった空から陽光が降り注ぎ、水面がキラキラと輝いていた。 枝にとまった小鳥の囀ずりは、せせらぎの中へと溶けていく。 そんな5月の中旬に、一生忘れないであろう口づけを、結衣と交わした。 ‐完‐ Written by YOU(=ZIN). ※物語は終わりですが、官能小説板なので、恋人となってからの二人の初夜を同スレ内に書きたいと思います。
10/05/25 18:48
(q6/AYgXG)
投稿者:
カカ
いや~よかった。
結衣ちゃんと結ばれたラストで自分は大満足ですよ! 最終章は完結するまでコメントしないでおこうと思っていたんですが、これが予想以上に辛かったです… 笑 続編も期待しているのですが、過去にもここのサイトに小説を投稿されていたのですか?
10/05/25 22:15
(CqyfPuZK)
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