「ねぇ~」
けだるい気分を全身から発散させながらまり子が退屈を訴える。
「コイツいじめんのもそろそろ飽きない?」
コイツというのは木野彩香のことだ。1年の時にエレベーターではなく外部から入って来た人間の一人で、見るからにお嬢様という雰囲気のせいでクラスにも馴染めず、私たちの玩具になった。
「たしかに、今じゃコイツなんでもするしね」
まり子に同意したのは晶だ。最初の頃は嫌がる彩香に無理やり色々なことをやらせるのが楽しかったけれど、今では彩香も何の反抗も見せなくなっていた。
そうなると逆に面白みがなくなって、2年になる今では一人暮らしをしている彩香の部屋をたまり場にするくらいの価値しかなくなっていた。
そんな彩香の部屋に一通の手紙が届く。それには妹の杏奈が来春から同居するということが書かれていた。
「これってさ……」
手紙を見た途端、さっきまで無表情だった全員の顔色が変わった。どうやらまだまだ楽しめそうだ。